散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

連休中に風邪をひき、ブログを中断しました。今回は、あべのハルカス美術館で見た「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち」より、第5章と第6章を振り返ります。

 

 

  第5章 点描派

 

印象派の最後のグループ展は1886年に実施されましたが、この時、グループの中核だったモネ、ルノワールらは最早参加しておらず、代わって初めて作品を発表したのがスーラ、シニャック、ルドンらの画家でした。この時スーラが発表したのが大作《グランド・ジャット島の日曜日の午後》で、その斬新な絵画技法(点描技法)を目にした批評家のフェリックス・フェネオンは、彼らを「新印象派」と名付けました。

 

ジョルジュ・スーラ(1859~1891)

《人物のいるバルビゾンの風景》1882年頃

スーラと友人の画家アマン=ジャンは、1883年10月にバルビゾンを訪れたが、この作品はその折に描かれたものと考えられる。スーラはバルビゾンで活躍したミレーを敬愛しており、この頃の作品には農民や労働者の姿が頻繁に登場する。ただしそこには社会的批判的な意識は見られず、あくまでも造形的な要素として人物は描かれている。

 

 

ポール・シニャック(1863~1935)

《クールブヴォワのセーヌ河》1883年

シニャックは色彩理論の研究を行う以前は、印象派のような絵画を描いていた。モネの作品に感銘を受けたことが契機となっており、空の表現やオレンジを含んだ植物はその影響が強く感じられる。作風のみならず制作スタイルにも影響を及ぼしており、本作もシニャックがセーヌ河沿いを散策していた時に生まれた作品である。

 

 

ポール・シニャック(1863~1935)

《カポ・ディ・ノリ》1898年

地中海沿岸の光と色彩に魅了されたシニャックは、1896年にイタリアの地中海沿岸にあるノリや周辺の地域を訪れた。地中海の港の風景と古典的な構図、補色対比を用いた極限の色彩表現、正確に計算されたモティーフがバランスよく融合されていることから、作品に強い思いを抱いていたことが窺える。

 

 

ポール・シニャック(1863~1935)

《コンカルノーの波止場》1933年

シニャックはボートや帆船に精通しており、生涯で三十二隻ものボートを所有していた。青と白の点描は海と空の風景を調和させており、画面に静けさと穏やかさを与えている。正確な光の分散と色彩の補色に加え、画家が感じた印象を直接表現する初期の印象派の手法も用いられている。

 

 

レオ・ゴーソン(1860~1944)

《ラニー=シュル=マルヌのエテューヴ通り》1885年頃

描かれているのはゴーソンの生まれ故郷の中心部で、この風景は現在もそのままの姿で残っている。この作品は複数の習作が存在し、完成に至るまでかなりの試行錯誤を経ていたことがわかる。その甲斐もあってというべきか、構図、色彩、筆遣いなど全ての完成度が高く、緻密な計算と丹念な仕上げが調和に満ちた画面を生み出している。

 

 

テオ・ファン・レイセルベルへ(1862~1926)

《グリ=ネ岬、或いは夏の霧》1900年

グリー=ネ岬はカレー地方の北側、フランス海峡沿岸のブローニュの北に位置する。全てのモティーフが短い筆致で描かれており、広大な海を見渡す風景は海と空が大部分を占めている。緻密な色の重なりや強調された輪郭からは、自然の豊かさや荒々しさを感じることができる。

 

 

アンリ・ル・シダネル(1862~1939)

《ヴェルサイユの薔薇のある家》1918年

ル・シダネルは庭仕事にも興味を持ち、家の周囲を薔薇で飾り、それを絵にしたが、造形的な美しさと神秘的なまでの精神性を感じさせるそれらの作品は、高い評価を得た。ヴェルサイユで描かれたこの作品も恐らく自宅がテーマとなっているのだろう。光と影の対比が見事だが、それがどぎつくならず、画面全体が調和と均衡に満ちている。

 

 

  第6章 20世紀の色彩画家

 

このエリアは撮影禁止でした。ここでは流派の概要程度にとどめます。

 

フォーヴィスム(野獣派)

 

キュビスムと並び、20世紀初頭に大きな影響力をもった絵画史上の変革運動、またはその流派。伝統的な写実主義における色彩体系や明暗からは離れた感覚主義的な絵画を特徴とする。原色の大胆な使用と荒々しい筆遣いが目立ち、たとえば樹の幹を赤くといったことがもなされた。アンリ・マティスのほか、ジョルジュ・ブラック、モーリス・ド・ヴラマンクらがその一員として知られる。

 

 

ナビ派

 

19世紀末のパリで活動した芸術家の一集団。「ナビ」はヘブライ語で預言者を意味する。ポール・ゴーギャンからの指導をきっかけに、ポール・セリュジエによって設立された。主なメンバーにはピエール・ボナール、モーリス・ドニ、ポール・ランソンらが挙げられる。

 

 

  エピローグ

 

入った所に「アルルの跳ね橋」をモチーフにしたフォトスポットがあり、よく見るとアニメーションになっていて、人が渡る様子を一部始終見ました。とても良くできていたのに、動画撮影NGだったのが残念です。

 

 

ゴッホは1888年3月中旬から2ヶ月間で「アルルの跳ね橋」を油彩で5点描いたらしく、あべのハルカス美術館の展覧会では最後の作品を見ました。来年2月から開催される「大ゴッホ展」では最初の作品が展示されるそうです。

 

 

今回の展覧会は印象派前と印象派後の美術界の流れが分かりやすく、期待以上でした。作品に画家の略歴が添えられているのも良かったです。今後、印象派展を見た時のバイブルになると思い、図録を買いました。

 

 

同時にアンドリュー・ワイエスの前売券を買って、買上金額は4,800円!プレゼントにポスターを戴きました。会期が終わったのに外しそびれ、今でも家の玄関に貼ったままになっています。

 

 

おわり