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散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

8月29日(金)閉幕ギリギリまで迷って足を運んだ大阪市立美術館のゴッホ展。

 

 

「家族がつないだ画家の夢」は、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)の画業を振り返る展覧会でなく、ファン・ゴッホ家が受け継いできたファミリー・コレクションに焦点を当てた展覧会でした。

 

 

ピストル自殺で亡くなった事から孤独な人生を歩んだと思われがちなフィンセント・ファン・ゴッホですが、生前は弟のテオドルス・ファン・ゴッホ(1857~1891)から金銭面で援助を受け、その家族とも付き合いがありました。

 

 

フィンセントが画家として活躍したのは、27歳から亡くなるまでの10年間と意外に短く、テオはフィンセントの才能を信じて援助してきましたが、絵はなかなか売れず、フィンセントの八つ当たりに悩まされる事もたびたびあったようです。

 

 

そして展覧会の概要。

 

『フィンセントの画業を支え、その大部分の作品を保管していた弟テオは兄の死の半年後に生涯を閉じ、テオの妻ヨー(1862~1925)が膨大なコレクションを管理することとなります。』

 

 

『ヨーは義兄の作品を世に出すことに人生を捧げ、作品を展覧会に貸し出し、販売し、膨大な手紙を整理して出版するなど、画家として正しく評価されるよう奔走しました。』

 

 

『テオとヨーの息子フィンセント・ウィレム(1890~1978)は、コレクションを散逸させないためにフィンセント・ファン・ゴッホ財団を設立し、美術館の開館に尽力します。』

 

 

『人びとの心を癒す絵画に憧れ、100年後の人びとにも自らの絵が見られることを期待した画家の夢も、数々の作品とともにこうして今日まで引き継がれてきました。』

 

 

心温まるファミリー・ストーリー。作品紹介はこちらです。

 

 
 
音声ガイドを聞くと、臨場感が増します。
 
 
最後に没入型空間で、フィンセントが甥のウィレムの誕生を記念して弟夫婦に贈った《花咲くアーモンドの木の枝》などを見ました。
 
 
一見の価値あり。大阪市立美術館は閉幕しましたが、9月12日(金)から東京都美術館を、来年1月3日(土)から愛知県美術館を巡回します。