ムーカ展 バンクシーからカウズまで② | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

京セラ美術館で見たムーカ展の続きです。

 

 

  バリー・マッギー

 

1966年、サンフランシスコに生まれる。1980年代から「ツイスト」という名で、グラフィック・アーティストとして活動。1991年にサンフランシスコ芸術大学を卒業し、絵画と版画の学位を取得。2001年のヴェネチア・ビエンナーレへの出品で、国際的に広く知られるようになった。

 

 

マッギーはギャラリーの壁に飾るストリート・アーティストの第一人者であり、彼の作品は、木や金属などのリサイクル素材と、

キャンバス、紙、絵の具を組み合わせている。

 

《Untitled―無題》2018年

 

《Untitled―無題》2021年

 

 

インタレーションの多くは、ガラス瓶やスプレー缶などの使用済み素材で構成され、抽象的で幾何学的な構造が特徴。そこにメッセージを含んでいるものもある。

 

《Untitled―無題》2018年

 

《Untitled―無題》2018年

 

 

カラーブロックやパターンを組み合わせるユニークな手法が象徴的で、彼が描く絵画とインスタレーションは、現代の都市文化を反映し、都市の生活者が毎日目にする広告で感覚過多になる問題に問いを投げかけている。

 

《Untitled―無題》2019年

 

《Untitled―無題》2018年

  

 

 

  スウーン

 

本名カレドニア・カリー。1977年、ニューロンドンに生まれる。19歳でニューヨークに渡り、ブルックリンのプラット・インスティチュートで絵画を学ぶ。アートが地域社会にどのような恩恵をもたらすかという点を重要視し、20年以上にわたって都市に作品を残してきた。

 

 

スウーンは、プリント制作工程に関する豊富な知識を生かし、小麦粉と水でできたペーストを使って絵や写真を壁に貼っていく手法のウィートぺースティングを用いて、直接街中にポートレイトを描くことで注目を集めてきた。彼女のアートは人々が経験する出来事を深く掘り下げ、感情、人間関係、個人と環境とのつながりを探求している。

 

SilviaシルヴィアElenaエレーナ》2008年

 

IceアイスQueenクイーン》2011年

 

 

  ヴィルズ

 

本名アレクサンドル・ファルト。1987年、ポルトガルのリスボンに生まれ、ロンドンのバイアム・ショー・スクール・オブ・アートで学ぶ。

 

 

リスボンを拠点に活動。壁やその他の材料の表面を型にはまらない道具や技法を用いて削り取り、作品に立体感を生み出すという独自の視覚的表現を確立。「現代の都市考古学者」と称されている。

 

Mattaマッタ》2018年

 

 

「破壊して創造する」という彼の哲学は、壁面アートだけでなく、スタジオ作品にも適用されている。例えば「消失シリーズ」では、木製のドアに彫刻を施し、トレードマークであるポートレイトを制作した。

 

Dispersalディスパーサル Seriesシリーズ #14―消失シリーズ#14》2019年

 

Dwindleドゥインドル Seriesシリーズ #03―衰退シリーズ#03》2019年

 

Acumenアキュメン Seriesシリーズ #02―洞察シリーズ#02》2019年

 

 

  シェパード・フェアリー

 

1970年チャールストンに生まれる。1989年ロードアイランド・デザイン大学在学中に、フランス人プロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアント(1946~93)が描かれたステッカーを街に大量に貼る活動をする。1992年同大学にてイラストレーションの学士号を取得した。

 

 

卒業後は自身のブランドの印刷会社「オルタネータ・グラフィクス」を設立。2003年にデザイン会社「スタジオ・ナンバーワン」を設立。ヴァージン、アディダス、ナイキなどを主なクライアントに持つ。また、さまざまなミュージシャンのアルバムのアートワークを数多く手がけ、音楽業界にも積極的に参加している。

 

 

Peaceピース Goddessゴッデス―平和の女神》2009年

プロレスラー、アンドレ・ザ・ジャイアントを意識した作品。女神は伝統的に勝利と平和を表す月桂冠を含む象徴的な要素で飾られている。穏やかで落ち着いた表情は、髪のオリーブの枝とともに、希望と和解へのメッセージを伝えている。

 

 

《MLK JR―マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師》2005年

公民権運動の先駆者であるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師(1929~68)は、フェアリーがその輝かしいキャリアの中で取り上げた数多くの重要人物の一人である。2008年には、バラク・オバマ元米大統領のポスターを手掛け、彼の大統領選での勝利を後押しした。

 

 

Bigビッグ Brotherブラザー isイズ watchingウォッチング youユーーあなたの行動は監視されている》2019年

本作は、ジョージ・オーウェルの古典小説『1984年』の復刻版の表紙として使用されたものである。フェアリーの初期のゲリラ的なぺースティングの多くは、間違いなく監視社会に対する反抗であり、監視カメラというモチーフは彼のキャリアを通して様々な形で登場してきた。

 

 

Obeyオベイ withウィズ Cautionコウション―注意して従え》2006年

本作の中央には権威的な存在感を放つ謎めいた人物、そしてその上には「Obey with Caution」の文字が刻まれている。自身のスローガン「Obey(従え)」を使い、「with Caution(注意して)」と続けることで現状の政治体制を闇雲に受け入れる危険性を指摘している。

 

 

Berlinベルリン Towerタワー》2011年

ベルリンテレビ塔は、ドイツ民主共和国誕生20周年を記念して建国日の1969年10月7日に竣工した。テレビ塔は「アスパラガスの茎」に喩えられ、西ベルリンからテレビ塔を見上げていたジャーナリストたちはこの塔を「Telespargel(テレ・アスパラガス)」と呼んでいた。

 

 

シェパード・フェアリーはバンクシーとは異なり、顔も明かしていて本名で活動するアーティストです。そのため、街の建築物にステッカーを貼ったり落書きをしたりといった器物損壊の罪で20回近く逮捕されています。

 

 

つづく