ムーカ展 バンクシーからカウズまで① | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

先月15日(金)京セラ美術館。

 

 

「ムーカ展 バンクシーからカウズまで」を見に行きました。

 

 

MUCA(Museium of Urban and Contemporary Art)は、独ミュンヘンの中心部にあり、アーバン・アートや現代アートにおける20~21世紀の最も有名なアーティストの作品を展示している美術館。

 

 

今回の展覧会では、MUCAの所蔵作品より、バンクシーからカウズまで、10名のアーティストの作品を見ました。

 

 

ストリートアートは解説がないとさっぱり分からないので、音声ガイドを借りました。以下の文章は、一部解説から引用しています。

 

 

 

  バンクシー

 

ストリートアーティスト、政治活動家、映画監督、画家。世界的に有名であるにもかかわらず、その正体は不明のままである。1974年、イギリスのブリストルで生まれたと推測されている。

 

 

Bulletブレット Holeホール Bustバスト-弾痕の胸像》2006年

 

バンクシー自身が開催した展覧会「ベアリー・リーガル」出展作。古典的な彫刻胸像の額に弾痕を埋め込む事で、従来の芸術に風穴を開けるという意味が込められている。

 

 

Loveラブ Isイズ Inイン The Airエアー-愛は空中に》2003年

 

元々はステンシルの壁画。暴力や抗議という行為と、花を捧げるという平和的な行為の2つの対象的な要素を組み合わせることにより、観る者の権力に対する認識に異議を唱え、変革を実現する手段としての暴力の有効性に疑問を投げかけている。

 

 

Wrongロング Warウォー-間違った戦争》2004年

 

微笑む「死神」は、状況がどのように認識されるかを不気味に表している。バンクシーは2003年にイラク反戦デモに参加し、この画像をプラカードにスプレー・ペイントをして、群衆に配った。

 

 

Girlガール Withウィズ Balloonバルーン-少女と風船》2004年

 

元々は、2002年にロンドン・サウスバンクで描かれたもので、本作は、バンクシーがストリートの制作に使用したものと同じステンシル技法を使用している。

 

 

Welcomeウェルカム Matマット-ウェルカム・マット》2019年

 

バンクシー最新のコンセプト、ポップアップ・ストア「グロス・ドメスティック・プロダクト(国内総生産)」で販売された。玄関先で迎えるウェルカム・マットの刺繍には、ヨーロッパの密入国斡旋業者が配ったライフジャケットの切れ端が使われており、それは難民キャンプにいる女性たちによって手縫いで制作されたものだった。

 

 

Grapplingグラップリング Hookフック―鉤縄》2017年

 

本作に付属するマニュアルには、「高張力鋼製でアサルトグレードの戦術支援用全地形対応型クライミング装置」と記されている。

 

同年、エルサレムの検閲所近くのベツレヘムに自身のホテルをオープンした。ホテルの宿泊客は、芸術作品に囲まれながら眠ることができる。

 

 

Kateケイト Mossモスgreyグレイ)―ケイト・モス(グレイ)》2005年

 

アンディ・ウォーホル「マリリン・モンロー」のオマージュ作。被写体はイギリスのスーパーモデル、ケイト・モス。本作のバージョンは、スタンダード・エディションとは別に制作された、グレーとブルーの珍しい組み合わせである。

 

 

Palestineパレスチナ Wallウォールーパレスチナ・ウォール》2018年

 

本作は、イスラエルのヨルダン川西岸地区の分離壁の向かい側にあるバンクシーのホテル「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」の開業に合わせて制作されたものである。

 

ホテルの売店で土産物として独占販売された本作は、崩れかけたヨルダン川西岸の分離壁を地元のアーティストたちが手描きで描いている。平和への願いを込めて制作された。

 

 

Paranoidパラノイド Picturesピクチャーズ―パラノイド・ピクチャーズ》2002年

 

アンディ・ウォーホルが「広告シリーズ」でパラマウント・ピクチャーズのブランドを使用したことを意図的に模倣した。この皮肉たっぷりのバージョンには、ハリウッドの商業主義に対する軽蔑が散りばめられている。

 

 

Vandalisedヴァンダライズド Oilオイルー汚された油彩画》2007年

 

のどかな田園風景を低空飛行する、軍用ヘリコプターを描いている。兵器が郊外まで浸食する日は決して遠くないことを想起させる作品である。

 

 

Arielアリエル―アリエル》2017年

 

本作は、イギリスの荒廃した海辺のリゾート地ウェストン=スーパー=メアで、バンクシーが招いた58人のアーティストたちによって企画された「子供にはふさわしくないファミリー向けテーマパーク『ディズマランド』」の目玉作品だった。歪んだ像は「腐敗」を表現。人々にテレビの映像は空虚な視覚的物語であると忠告した。

 

 

Bacchusバッカス Atアット The Seasideシーサイド-海辺のバッカス》2009年

 

グイド・レー二が1621年に描いた傑作「バッカスとアリアドネ」の拡大版レプリカ。「バンクシーV.S.ブリストル・ミュージアム」展で公開。高尚な芸術を低俗な要素で汚すことで、都市のグラフィティにおける労働者階級のいたずらの価値を高めた。

 

 

Forgiveフォーギブ Usアス Ourアワ Trespassingトレスパッシング-彼らの不法侵入を赦したまえ》2012年

 

落書きをしている少年が祈りを捧げる様子を描いたこの絵は、いつもの冷笑的なコメントと異なり、自身の破壊的行為と、その道徳的・法的許容ラインへのこだわりに対する葛藤を伝えている。

 

 

Areアー Youユー Usingユージング Thatザット Chairチェア?―その椅子使ってますか?》2005年

 

エドワード・ホッパーの名作「ナイトホークス」のオマージュ作。ユニオンジャックのボクサーパンツを履いた男が片手に持っているのはオーストラリアのビール、フォスターズ・ラガー。おそらくサッカーの海外試合におけるイギリス人のネガティブなイメージをほのめかしているのであろう。

 

今、カフェの従業員の視線を一身に受けているこの男はバンクシーの分身。サッカーファンでもあるバンクシーは、礼儀正しく椅子が空いているかという質問をしながらも、まるでフーリガンのように、美術史における地位を要求している。

 

 

Fragileフラジャイル―われもの注意》2013年

 

バンクシーが格安販売を試みた作品。ニューヨークの5番街で見知らぬ老人が露店を開き、このステンシルを1枚60ドルで販売した。しかし、1枚目が売れたのは4時間も経ってからで、他の人々は一瞥もせずに通り過ぎるだけだった。

 

 

Barcodeバーコード Sharkシャーク―バーコード・シャーク》2002年

 

サメの形をしたバーコードをモチーフにしたステンシルの壁画には、社会における消費主義や企業ごとの商品・サービスの質に差がなくなる一般化に対するバンクシーの批判的なメッセージが込められている。

 

 

Raderレーダー Ratラット―レーダー・ラット》2002年

 

ロンドンのショーディッチにあるドラゴン・バーで開催された「サンタズ・ゲットー」にて発表された。バンクシーの作品に登場するネズミは、社会から疎外されたり、見過ごされた人々を象徴する存在として解釈できる。

 

 

今回の展覧会、展示物の約3分の1がバンクシー作品でした。バンクシーの斜に構えている感じが好きになれませんが、ストリートアーティストの第一人者である事は確かです。

 

 

つづく