野島地震断層 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 兵庫県南部地震は淡路島の北、明石海峡を震央とし、六甲山地・淡路島と大阪湾を分ける六甲-淡路断層系に属する活断層の一部が再活動したものです。
 この地震で淡路島の北淡町に現れたのが、長さ10kmに及ぶ野島地震断層です。


 野島地震断層は、北は江崎灯台から、途中、野島蟇(ひきの)浦の南で二又に分かれ、南は富島(としま)付近にかけて延長約10kmに渡り、途切れ途切れに続いています。地震断層に沿って最大1.2mの段差が生じ、梨本付近では海側の地面(西0.1m)が、他の地区では山側の地面(東0.2~1.2m)が上昇しました。断層を横切って作られていた階段・道路・水路・田の畔などは山側の部分が最大1.9mも右方向にずれ、断層運動の激しさを示しています。

 

 淡路島北部には、大阪湾側を北から順に楠本・東浦・野田尾断層が、播磨灘側を野島断層が、それぞれ北東から南西方向に延びています。これらの活断層群は弥生時代にもずれ動き、大地震を起こしました。兵庫県南部地震の後に行われたトレンチ発掘調査から、楠本・東浦・野田尾断層が約2,500年前に、野島断層が約2,000年前に、それぞれずれ動いたと考えられています。

 

 約10kmにわたる野島地震断層のうち、小倉地区内の長さ140mほどが野島断層保存館にそのまま残され、平成10年(1998年)に国の天然記念物に指定されました。

 

 道路に現れた断層

 

 二つに分かれる断層

 

 あぜ道の右横ずれ

 

 生け垣をずれさせた断層

 

 地割れとなって現れた断層

 

 断層運動により出来た一連の陥没構造

 

 まっすぐに連なる断層

 

 断層運動の時には、断層面の両側の岩盤がずれ動きます。このとき断層面に沿って大きな圧力が加わり、断層面近くの岩盤が細かく砕かれて粘土になります。これが「断層粘土」です。1回の大地震でつくられる断層粘土は、厚さ1mmから1cmほどです。

 

 断層粘土からできた断層面には、岩盤のずれ動いた方向と平行に、擦り傷などの線状の構造がつくられます。こうした線構造をまとめて「条線(じょうせん)」と呼んでいます。条線は、断層運動の向きを知るための大切な証拠です。

 

 横から見た断層。トレンチ壁面では、地面から約70度傾いて地下へ延びる断層面が見られます。断層面に沿って大地震で噴き出たくさび状の砂層や破砕された粘土層があり、野島地震断層が過去に何度も大地震を起こしてずれたことが分かります。

 

 兵庫県南部地震のマグニチュード7.3がどれぐらい大きなエネルギーなのか、よく分かりました。とても破壊力のあるエネルギーです。