万葉歌碑の道 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 平磯緑地に入りました。緑が頭の上まで生い茂っています。日中は蝉も鳴かないので、意外と静かです。

 

 この日はとても暑く、猫も木陰で休憩していました。この猫、カメラ慣れしています。私がカメラを近づけても、逃げずにじっと正面を向いてくれました。

 

万葉歌碑の道に入りました。

 この道は「垂水に古典文学碑を建立する会」という団体が作った道で、垂水を詠った歌碑が6つあります。

 

石碑に刻まれた歌と解説です。

 

①志貴皇子(しきのみこと)の歓びの歌

 石(いわ)ばしる 垂水の上の 早蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも

  岩の上を流れて落ちる滝水のほとりに、初々しいわらびの芽が萌え出す春になりました。

 

②作者未詳

 石走る 垂水の水の 愛(は)しきやし 君に恋ふらく わがこころから

  岩の上を流れ落ちる滝の水のように可愛らしいあなたを、恋しく思うのも、私の心からなのですよ。

 

③摂津にて作る 作者未詳

 命をし 幸(さき)くよけむと 石走る 垂水の水を むすびて飲みつ

  愛しいこの命に幸あれと、岩の上から流れ落ちる滝の水を、手ですくって飲みました。

 

途中、道が二つに分かれていました。万葉歌碑の道は続きます。

 

④大綱公人主(おおあみのきみひとぬし)、宴に詠う歌

 須磨の浦人(あま)の 塩焼き衣(ぎぬ)の藤衣 間遠(まとお)にしあれば いまだ着なれず

  須磨の海人が塩を焼く時に着る藤衣は、縫い目が粗いですよ。そのように海人と出会うのは間遠であるから、いまだなじんでいませんよ。

 

⑤柿本朝臣人麻呂の旅の歌

 天離(あまさか)る 鄙(ひな)の長道(ながぢ)ゆ 恋来者(くれば)

 明石の門(と)より 大和島見ゆ

  はるか地方の遠い道から恋い慕って来ましたら、明石の海峡から大和の辺りが見えてきましたよ。

 

⑥柿本朝臣人麻呂の旅の歌

 燈火(ともしび)の 明石大門(おほと)に 入る日にか 漕ぎ別れなむ 家のあたり見ず

  私たちの舟も明石海峡に入る日になりましたが、これでいよいよ大和とも漕ぎ別れることになるでしょう。家のあたりはもう見えませんよ。

 

来た道を途中まで引き返し、今度は二つに分かれた道の反対側を歩きました。

 

塩屋漁港に出ました。散策は続きます。