今回は社会人基礎力の12の要素の中の「規律性」を取り上げます。これもまた前回と同じく、「チームで働く力(チームワーク)」に含まれる要素になっている項目です。
規律性、ごくありふれた表現の言葉ですね。どのような意味を持つ言葉なのか、分かっている人も多いと思います。平たく言えば「ルールを守る、ルールに従う」といった意味ですよね。場合によっては「ルールを決める」という意味を含む事もあるでしょう。好き勝手なことをしない、秩序を重んじる、そんな意味が含まれている、それくらいの事を理解していれば何も問題はないでしょうし、問題は起きないと思います。
「規則性」と言った場合は社会の規則、約束、組織の規定を尊重してそれを守ることや、そのために自らの行動を律するという所までを含めたモノになっています。これは単に受動的にルールを守るというだけに留まらず、状況によっては臨機応変に、主体的に秩序を守る、さらに進めて秩序を作り出す能力までを指します。ここまで出来て、始めて評価されるという事でしょう。
一人暮らしの人が自宅で過ごすうえでも、日常生活の中で多少は何かルールを決めているんじゃないでしょうか。このような例では、自分で決めたルールを特に守らなかったとしても、自分が困るかもしれないという程度で済むかもしれません。しかし、社会人として他の人とのつながりの中で過ごすうえでは、ルールがあるならそれに従わなければなりません。特に、それが仕事につながる場合だと、自分勝手な事をすれば他の人に迷惑をかけてしまいます。こんな点も規律性に含まれるという事ですね。
社会人基礎力で言うところの「規律性」は、社会のルールや職場の規律、人との約束を守ること、そのために自律して行動する力です。だからこそ、規律性が「チームで働く力(チームワーク)」のところに含まれる要素になっているのでしょう。まさに、チームで働くために不可欠な要素なんですね。
具体的な内容を挙げると、例えば「報告・連絡・相談の徹底」などは、その最たるものの一つでしょう。仕事の進み具合や取引先との関係など、関係者の間で共有する情報は多々あります。報告や連絡、相談などを怠ると周囲の人や取引先にも悪影響が出て来ますので、避けなければなりません。そのためにも、ルールを守るという規律性は非常に大事なものです。
約束の時間や納期を守る事、コンプライアンスの遵守など、仕事の内容によって多少の違いがあるでしょうけれども、具体例としては同じような内容が挙げられます。周囲からの信頼を得て仕事を遂行するためにも、また、結果に繋げるための安定したパフォーマンスを発揮するためにも、自律も含めて規律性は必須となる能力です。
結局のところ、先に出てきたように「信頼される事」が重要なんです。特に仕事に関わる場合、その人を信頼できる人物としてみてもらう事が出来るかどうかで、仕事や取引先との関係が大きく変わって来る事に繋がります。最後は「人」なんですね。仕事のスキルが高い人物になることは重要な事ですが、信頼のできる人物になる事だって大事な事です。
そのためには、日頃からルールや時間を守ること、そして交わした約束事は厳格に守ることなどの姿勢が大切です。特にマナーや社内規定は厳守です。また、納期(つまりデッドライン)は絶対に守らなければなりません。
このような、ルールをキチンと守る、遂行するといった小さなことの積み重ねが、自分の信頼を得ていくんですね。ですから、社会のルールもそうですが、会社独自の決まりなどについても正しく理解したうえで、遵守の徹底が必要です。そして、時々でも自分の言動を振り返ってみる機会を作って、自分の身勝手で相手に迷惑をかけていないか見直すという事も、頭のどこかに置いておきましょう。
といっても、中には理解不能な事も出て来ます。苛立つことも出て来ますが、だからといっていちいち反応していては仕事は進みません。自分の感情や行動をコントロールできるようにする必要も出て来ます。怒ってみても仕方がありません。冷静になって、起きている問題について論理的に考えて、背景の事情なども含めて何が起きているのか解釈出来るようになった方が解決に至りやすくなると思います。そのためには、なぜそんなルールが必要なのか、このルールが出来た背景は何なのか、そしてこのルールを破るとどうなるか、考えてみるのも一つの方法ですね。
場合によっては、ルールそのものから改善する必要があるかもしれません。周囲の人の意見も聞きながら、改善案の提案が必要かどうかも考えてみる必要に迫られるかもしれませんよ。
いずれにしても、状況が混乱していては仕事は出来ませんので、まずは整理することろから手を付ける事も必要になるでしょう。そのための仕組みを作るという方法だってあると思います。状況の整理が出来れば、仕事にも安定したパフォーマンスが出せるでしょうし、成果にもつながるんじゃないでしょうか。
こう考えると、規律性は「チームで働く力」の要素の一つとして必要なんですね。その時の状況に応じて、そして社会や会社のルールに則って、自分の言動を適切に律する事が出来れば、仕事もうまく回るでしょうし、信頼にもつながります。ちょっと堅苦しく感じるかもしれませんが、仕事であれば正確さはもちろんの事、真面目に、計画的に取り組まなければなりません。むしろ、これが出来れば「信頼できる」、「管理能力が高い」といった評価にもつながると思います。
社会人基礎力に規律性が入っているという事は、つまり「組織の一員として、他者に迷惑をかけずに、社会から信頼を得るため」には不可欠な要素だからという事ですね。だからといって、規律(性)を守るばかりだけでは融通の利かない人物になってしまいます。柔軟な対応が必要になる時に、「ルールに従えば不可能」という場合はどうすればよいでしょうか。ルールに固執していては解決できません。突発的な変化に弱いからといって、「起きたトラブルの方が間違っている」とは言えないでしょう。
それこそ、報告、連絡、相談、そして周囲の人を巻き込んで柔軟に考えて解決策を練ることになるんじゃないでしょうか。


