前回の「批判的思考」の話から、しばらく時間が経ってしまいましたが、今回はその続きです。前回の話しは「批判的思考について」、どんな考え方かといった内容でしたが、社会人として必要な資質や能力であるならば、どんなメリットがあるのか知りたいですよね。今回はそんな話です。
クリティカルシンキング(つまり批判的思考)が必要なモノならば、誰だって身につけておきたいと思うでしょう。中には、ある程度の事は分かっている人もいるでしょうし、よく知っている人だって居るかもしれません。ただ、慣れていない人も多いことだと思います。
そんな、慣れていない(かもしれない)人もクリティカルシンキングの手法を身につけようとするならば、それ相応のメリットが無ければガンバって取り組もうとはしないでしょう。先ずはメリットの辺りから考えてみたいと思います。
クリティカルシンキングのメリットを挙げていくと、個人的な応用も含めて考えるならば、
一つ目、「騙されにくくなる」ということでしょうか。これは怪しげな口コミなども含めての話になりますが、メディアによる報道やウワサ話など、私たちの身の回りではいろいろな情報が飛び交っています。その中には正しいものはもちろん数多く存在しますが、中には怪しげなモノ、にわかには信じられないようなモノ、不安を煽るだけのモノなど、どう考えてみても「誰も得をしない」おかしな情報も溢れています。
クリティカルシンキングの手法を応用するならば、懐疑的にその情報を捉えることで矛盾点や事実に合わない内容、過去からの状況の変化などと照らし合わせることで情報の誤りや偏りに気づくことがあります。ヘンだとか、この話はおかしいんじゃないかと感じたら更に深掘りをしてみるなどで考えてみるんです。そうすると、その情報が正しいのか、どこに誤りがあるのかなどの判断が出来るようになるでしょう。そうなれば、どれが正しい情報かを見極めて選択することができます。つまり、騙されたり踊らされたりせずに済むということですね。
二つ目、これに関連しますが、意思決定の質が向上するというメリットもあるようです。これは「思い込みによる失敗を減らす」ということですね。物事を考える時、誰でもその人特有のクセがあるものです。これは「鵜呑みにしやすい、信じやすい」とか、「悲観的に物事を考えやすい」、反対に「楽観的に物事を考えるので周囲がヒヤヒヤすることが多い」とか、「つい目の前の現象に集中してしまう」などの傾向って、本人もなかなか気が付かないモノだと思います。それをいったん横に置いて、懐疑的に「本当にそうか?」と考えてみるんです。そうすると、意外なところの落とし穴に気付いて難を逃れる事が出来たという事が起きるかもしれません。
物事を懐疑的に捉えることによって、話の中に矛盾や必要な情報が抜けていたりすることに気付いたり修正したりするだけに留まらず、検討しておきたいポイントが見つかり、そして深掘りも可能になります。そうやって本質に近づいていくことで、本当の課題や解決方法などが明らかになっていきます。その結果、意思決定までの時間と労力をムダにすることなく、意思決定の効果を高めることができるようになります。
三つ目、その結果として問題解決能力の向上も見込める事になるでしょう。根本的な原因(つまりボトルネック)を特定できれば、それ以後はもうその問題の解決に労力をつぎ込まなくてよくなりますから。本質は根本的な原因のところになるわけですから、それを見極める事が出来るというのは大きいですよね。
二つ目のところでも出て来ましたが、懐疑的に、批判的に考えていくことによって、
「どうしてこうなるのか」、「本当にこの考え方でいいのか」という視点で思考を続けることが、物事の本質を理解することに繋がります。そして、これは仕事上の問題や課題の解決などにも活用することができます。つまるところ、視点を変えることで新たなアイデアの発見につながる可能性が出て来るということになります。
四つ目、チームの全員が円滑なコミュニケーションが取れるようになる事も期待できます。
自分と他のメンバーとの間に何らかの認識のズレがあると、コミュニケーションはうまく噛み合いません。クリティカルシンキングを応用すれば自分の主張を正確に、説得力を持って伝えることができますので、相手に行動を促すことが可能になるできるでしょう。相手の話を聞く場合も、発言の背後にある相手の意図を汲み取りやすくなるため、円滑なコミュニケーションにつながります。
五番目、実績なども含めて仕事には必ず数字を使ったデータが必要になりますが、その数値データから的確な判断をすることも可能になるんじゃないかな。とくに管理職の場合では、「売上、コスト、利益」などの管理であったり、統計データに基づいたマーケティング戦略を立てたりする必要があるでしょう。データを見ることで「何でこの数字なんだ?」といった疑問が湧くこともあると思います。懐疑的な、批判的な捉え方をすることで、数値データが何を意味するのかを理解し、的確な判断ができるようになります。
クリティカルシンキングが身に付けば、その背景にまで理解が及ぶでしょうし、場合によっては大きな変化の前兆に気付くかもしれません。これは「良い意味で」ですよ。マズいことが背景にあると感じたならば、それは大きなトラブルやリスクの芽を摘んだことになります。
もう一つ、斬新なアイディアや新商品に繋がるかもしれない「新しい何か」の発見だって、あるかもしれませんよ。このように、クリティカルシンキングの手法を使うことで過去の経験からは思いつかないような、今の時代に合う新しいアイディアを導き出せることもあります。
クリティカルシンキングっていい事尽くめのように聞こえるかもしれませんが、正しく理解したうえで理性的に運用することで得られるメリットの可能性を書きましたので、少なくとも感情を廃した話し合いをすること、先ずはこれを心がける事から始める必要があります。
さて、これをどうやって身につけるかなんですが、そんな話をするだけのスペースが無くなってしまったみたいです。なので、その話は次回ということで・・・・。


