今回も「12の要素以外」の内容で、「メタ認知能力」を取り上げます。最近、この言葉も頻繁に耳にするようになったと思いませんか。調べてみると、この言葉(と言うよりも能力)は社会人として、仕事をする人にとっては欠かせない能力として考えられるようになってきているようです。ピンと来ない人がいるかもしれませんので、先ずは「メタ認知能力ってなんだ?」と言うところから書いていきます。
メタ認知能力というのは、自分の思考や感情、行動について、つまり自分のすべてに対して、「もう一人の自分」が冷静に、かつ客観的に見つめることによって、自分自身をコントロールする能力のことです。
自分の認知、例えば考える、感じる、記憶するなどの活動を、上位の次元から客観視して冷静に判断することができると、冷静な自分が状況を見て判断することで、より確実な答えに辿り着く事が可能になると思いませんか。実際に、自分が冷静になれば状況を少し離れたところから見渡す事が出来ます。トラブルなどに対して俯瞰してみる事が出来れば、問題の解決策はもちろんの事、自分でも持て余すかもしれない感情をコントロールしたり、自己成長のための判断を下す事も可能になるでしょう。仕事に関する事であれば、業務遂行上に必要な対人関係も、円滑に構築することが可能になります。そのような場面で役立つ、現代のビジネス環境や教育現場での重要なスキルとして捉えられている能力です。
認知と言う言葉の意味は、「心理学や日常生活において、外界の情報を知覚、理解、判断する心のはたらき」の事を指します。五感で感じ取った(といっても、視覚か聴覚がほとんどだと思いますが)、あるいは入ってきた情報について、自分の経験や知識に基づいてその内容を理解し、解釈、そして判断する一連の過程のことですね。この認知の中には、「知覚、記憶、思考、推論」などが含まれるとのことです。
ちょっと気になるのは、「認識」というよく似た言葉がありますよね。認知と比べて、どういった違いがあるのでしょうか。認知と言った場合は、「知っているか、存在を認めているか(表面的な把握)」といった程度のことを指します。「気付いた」と言ったくらいのところでしょうか。これに対して認識といった場合は、「どう理解しているか、どう捉えているか(意味づけを伴う深い把握)」を指します。認知と比べると、より深い気付きですね。
もう一つ、メタ(meta)と言う言葉がありますが、これはギリシャ語由来の「〜を超えた」「高次の」という意味を持つ言葉です。「対象を一段上の視点から客観的に見る(俯瞰する)」、そんな状態を指す時に使う言葉なんです。つまり、一言で言えば「自分自身を外から眺める」ことですね。
こういった事から「メタ認知」といった場合は、外から冷静に自分の言動を見つめるもう一人の自分が、本来の自分が行うその言動を分析や判断をする存在ということになります。もう一人の自分としての、少し高い位置から見下ろす存在ということですね。
この能力、何が良いかというと、メタ認知能力が高い人であれば自分を客観的に、冷静に、かつ俯瞰的に見る「もう一人の自分」がいる事になりますので、自分の感情を冷静に(冷徹に?)理解して、必要に応じて感情をコントロールする事が出来ます。そして、自分への理解が深まれば、より適切な判断ができます。その判断に基づいて行動ができれば、成果にも繋がりやすくなるんじゃないでしょうか。
なにか問題やトラブルが発生した時にも、冷静に対応策を見つける事が出来るでしょう。また、自分の短所を理解してそれを補い、同時に自身の長所を活かすことによって、問題の解決も効率的に行なう事が出来るでしょうし、自身の持続的な成長も捗る事になるでしょう。
反対に、メタ認知能力が低い人の場合はどうなるでしょうか。まず、自分を冷静に見る事の出来る「もう一人の自分」がいませんので、自分自身を客観的に、冷静に見つめることが困難になります。ということは、自分自身を客観的に認知する能力が不十分という事になりますね。何らかの思い込みが強かった場合、誤った方向に判断をしてしまう事が起きてしまうかもしれません。
また、その時の感情に任せた行動を取ることにもなりかねません。ということは、仕事に取り組んでも、その成果が不安定になる可能性が出て来ます。また、周囲の人にすれば「扱いにくい人物、気分屋」といった目で見られるかもしれません。こうなると、対人関係がうまく行かなくなりますので、相手も慎重な姿勢で接して来るでしょう。
相手の言動が変わって来るかもしれませんが、当人はもう一人の自分がいない分だけ相手の行動や質問の意図を汲み取ることに苦労する事にもなります。相手も慎重になってホンネやここだけの話、裏事情などを言わなくなるでしょう。そうなれば、余計に思い込みや感情による言動が増すことになって、状況の判断が次第に難しくなります。適切な判断が出来なくなれば、チームでの協働もうまく回らなくなり、相手の信頼を失ってしまうことも起きるでしょうね。
これは仕事をする上で、大きなマイナスポイントです。そう考えれば、メタ認知能力がビジネスマンにとって必須という事も頷けます。メタ認知能力が低いんじゃないかと思った人は、気付いた時点で「何とかして鍛えてでも伸ばしたい」、そんな思いに駆られるんじゃないでしょうか。
聞くところによると、メタ認知能力は小学校の高学年頃から中学生位にかけての時期に、急速に伸びると言う話も有ります。そして近年、学習意欲を高めるために「メタ認知」が重要だと学校教育でも注目を集めています。メタ認知が発達してくると、それまで一方的に自分の好きなことを好きなように話していた子が、「自分の話があまり相手に受け入れてもらっていないようだ」と気がつきだすのだとか。そして、話の内容や説明の仕方を変えるといった行動が見られるようになり始める、そんな傾向が出て来るのだそうです。
そして学習面では、自分の学習状況や進み具合を振り返る事が出来るようになり、自分が得意なことや苦手なこと、さらにはどのような方法で勉強するのが自分に合っているのかなどの判断や評価が自分で出来るようになっていくのだそうです。こうなってくると、社会人の基礎力云々なんて言っていられなくなるかもしれませんよ。
では、具体的にどうやってメタ認知能力を伸ばせばよいか、その方法が気になりますよね。ここまでちょっと長くなりましたので、続きは次回に致します。


