物事を多角的に捉える | サポートライター みけ の独り言

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電子書籍のはなし、文章のはなし、ことばのはなし、書く事、話すこと、ゆめのたねで喋っていることなど、言葉にまつわるいろいろなことを中心に、書いてみたいと思っています。

 

今回取り上げる「創造的思考を身につけるための方法」として紹介するのは、「物事を多角的に捉える」という考え方です。そのまま言葉にすれば難しいことのようですが、言い換えてみて「どんな捉え方をするか」「どういった視点に立つか」と考えれば、なんとかなりそうです。そして、自分の側の立ち位置が変わることで、ものの見方も変わってくるというなんですね。

物事って、自分の立場や立ち位置からしかものを見ることができないところから、いろいろと問題が起きてくるという場合があります。なぜって、一つの方向からしか物事が見えないので、考え方や捉え方もその方向からに限定されてしまうからです。周囲の人からすれば「随分と頭の固い人」と映るかもしれません。よく言われる「相手の身になって考える」事ができれば、ひょっとしたらそれだけで解決に至るかもしれない例だって、いくらでも出てくるんじゃないでしょうか。

視点を変えるとか立ち位置を変えてみるとか、言うのは簡単ですが実際のところ、慣れるまでには時間がかかります。普段からトレーニングしておいた方がよいでしょう。

よく聞く言葉として、コップの水のはなしがありますよね。コップに水が入っている状態を示して、それを見てどのように感じるかという問いかけなのですが、考えてみるとこの問題、随分深いところまで考えることができるようなんです。ただ、私のようにいちゃもんをつけている文章はあまり見かけませんので、本来ならそこまで考える必要がない話なのかもしれませんが・・・。

ビジネス関連の話題として出た場合は、水の入ったコップの絵か写真、イラストなどが示されて、「この絵を見てどう感じたか」と質問されます。参加者側の答えとして、「まだ半分残っている」というものと、「半分しか入っていない」というものとの二つに分かれることが多いようです。そして「まだ~」の答えを評価するという傾向の質問ですね。皆さんも一度や二度は経験しているんじゃないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください、まだ考える事っていろいろとあるんじゃない? ここからはちょっと面倒くさい(?)私なりの意見を書きます。

まず、口頭で「水が半分入ったコップを思い浮かべてください」といわれたら、どのようなコップを思い浮かべますか。大きさは? 材質は? 形は? 初めてこんなワークを行ったときは、皆さんが思い浮かべたコップは全部違うものだったんじゃないかと思います。ただ、そのうえで絵や写真のように具体的なものを見せられたとしたら、ご自分がイメージしたコップの様子はキレイに吹き飛んで、示されたものに全員のイメージが統一されてしまいませんか。これって、捉え方によれば誘導じゃないのか、私はまずそのように感じました。

それから、絵にしても写真にしても、ある瞬間を切り取ったものではなくて、水の入ったコップが静置している状態、たいていはそんなところでしょう。しかし、答えた側は「まだ、半分残っている」とか、「半分しか無い」とか、そんなコメントで答えているでしょうね。つまり、その写真の状態の前は水の量がもっと多かったが、飲んだためなのか何かの理由で水の量が減ってしまった、けれども「まだ、~」と考えたのか、それとも「もう、~しか~」と捉えたのかという事ではないでしょうか。

 

もし、カラのコップに水を入れたと考えたところからスタートすれば、「半分しか入れてもらえなかった」「半分も入れてくれた」となるんでしょうか。多くの人がもう少し水を注いでもらえることを期待するでしょうから、ちょっとした不満といったニュアンスが答えに含まれてくるかもしれませんね。

答える側がストーリーを作っている、そんな可能性も無いわけではないんです。ただ、客観的に見た事実はというと、「コップに水が半分入った状態である」、ただそれだけなんですよね。前後の状態はまったく分からない、考える必要もない、今はただこの状態、そこから始まって、それに自分がフィルターをかけて判断したという事なんです。今の状態を確認したうえで次に進むという考え方も必要なものじゃないでしょうか。

そう考えると、最初にコップの絵を示した時点で、質問者は「どう感じたか」というくらいのコメントした投げかけてはいないと捉えることもできます。なぜなら、残っている、存在するといった言葉を使うと、答える側から出てくる言葉がそれに影響されてコメントが少し変わってくるかもしれないからです。

そこまで考える必要はないかもしれませんが、立場を変えたり視点を変えたりして物事を捉えなおすには、いろいろと周辺の事まで考えてみる必要が出てくるんじゃないかと思うんです。そうでないと、いくら自分の立場を変えてみたとしてもどこか片手落ちになってしまう部分が出て来るような気がするからなんです。

ちょっと面倒くさいところまで考えてみましたが、普段はこんなことまで深堀りしなくてよいと思います。ただ、立場を変えるなら、その立場ならどう捉えるかによって違ったものが出て来るという事は、意識してよいと思います。