犯罪者を喜ばす下関市廃棄物行政では? | ニッコリ会・下関

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犯罪者喜ばす下関市廃棄物行政?

犯罪被害の市民の質問に市長無回答

1月25日、金山三郎さんは通告書(36)を前田晋太郎市長に送付しました。先に1月10日に前田下関市長に対して通告書(35)で「市長は私、金山三郎を犯罪被害者と認識しているのか、回答をハイ、イイエで答えてください」と問いましたが、2週間たって何の返事もなく無視されました。市が不法投棄に対する規制権限を持ちながら、何の規制もせずに犯罪行為を放置して来た為に何も回答出来ないのでしょう。犯罪被害者に対してサポートしようという姿勢が皆目無いことが明らかです。

 

最初から廃棄物混入を確認

2009(平成21)年4月16日より、金山氏の所有地を賃貸契約していたU氏が契約不履行のまま所在不明となり現地に搬入された建設混合廃棄物の不法投棄状態はもうすぐ満15年になります。市も警察も金山さんの訴えで現地を見に来て、市は同年5月15日に「建設残土及び廃棄物が確認できた」[i]と記しています。市は初めから廃棄物が混じっていることを知っていました。

 

金山さんは犯罪被害者

金山さんはこの建設残土等の小山によって目的使用できなくなり、生活にも支障を来しています。これは詐欺による不法投棄及び不動産侵奪という犯罪行為であることは誰の目にも明らかです。にもかかわらず前田市長は犯罪であるか否かも答えませんでした。金山さんが不法投棄の被害者であることは自分で提訴した民事訴訟[ii]で明らかです。

 

前田市長はなぜ市民を無視するのか

地方自治体は市民の生命、財産を守るということが大切な責務ではないのでしょうか?市長が何も返事をしないのは答えようにも答えられないからでしょう。それほど明らかな違法不当行為を市がしていることの裏返しに他なりません。

 

不法投棄規制の行政権限は不要?

下関市には不法投棄を規制する行政権限があります。廃棄物処理法や他の関連法規、そして守るべき「環境省通知」もあります。しかし、これらの法規や行政責務がありながらデタラメな産業廃棄物管理票状況等報告書でも受け付け、行政として規制すべきを放置(権限不行使)する職権濫用罪(刑法第193条[iii])に該当するものです。

 

市民をごまかす市の回答

金山さんは1月25日付けでさらに次なる通告書(36)を出しました。昨年1月20日に提出した公開質問状4では「本件残土には(略)コンクリートくず等が混入していますが、コンクリートくず等は廃掃法上の「産業廃棄物」に当たるのではないでしょうか。」に対して市は「本件残土に混入しているコンクリートくず等については、それらが廃棄されたものならば廃掃法上の廃棄物となる可能性があります」という回答でした。しかしコンクリートくずは廃棄されようがされまいがこれを産業廃棄物と規定している[iv]のであって、「廃棄されたならば」とか「可能性がある」というものではありません。これは全く廃掃法をごまかすものであり、金山さんは「文書をねつ造したもの」と指摘しています。

 

解体工事現場で出たコンクリートくずは産業廃棄物となる。これは中間処理施設で再利用へ向かう。

 

産廃物保管基準違反は不法投棄

また産業廃棄物は保管基準が定められ、排出事業者はそれを守り最終処分する責任を負います。処分されるまで保管基準の規定[v]があり、放置すれば不法投棄となり(法第16条)「五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」(法第25条第1項第14号)となっているのです。

 

「廃棄物であったとしても市ができることはない」

黒井に不法投棄されたこのコンクリートくず等の産廃物保管基準違反を市は排出事業者らに対して行政指導すべきでした。2010(平成22)年7月、大雨でその小山の一部が崩落した時、金山さんが市に連絡し、不法投棄の被害を受けた結果と訴えても、市は「…廃棄物であったとしても市ができることはない」[vi]と突き放しています。

 

環境省通知は「積極的に告発を」

先の公開質問状に前田市長はさらに「本件残土を廃棄物とは判断できない。」と文書回答しています。たとえ市長がいうように残土(有価物)だけであったとしても、これは不法投棄(犯罪)であり、他者の所有地を侵害する不動産侵奪が行われていますから不動産侵奪罪[vii](刑法235条の2)が起きています。

また「環境省通知(p45)」[viii]では「不法投棄」について「有価物と称する廃棄物については、それが廃棄物であること(略)を行政が積極的に判断し、投棄の実行者に必要な行政指導を行い、その指導の状況を記録しておくこと。」とあり、さらに「不法投棄の悪性立証のため、投棄された廃棄物の排出物の排出元の特定が望ましいが、(略)特定が困難な場合であっても積極的に告発を行われたいこと。なお、これについては警察庁とも協議済みであること。」(アンダーラインは筆者)となっています。

つまり「残土は(有価物だから)廃棄物ではない」との市長回答は環境省通知の「積極的に告発を行われたい」とは真逆です。15年間も放置された「産業廃棄物保管基準違反による不法投棄」及び明らかな「産業廃棄物管理票」の虚偽記載[ix]を何ら規制せずに「残土は廃棄物ではない」から市として何もしないというのです。

 

下関市は無法地帯か

これでは市は業者らの廃掃法違反行為を知りつつ、環境省通知も無視し、なおかつ不法投棄(犯罪行為)を知りながら何もしないということは犯罪行為へのほう助、加担に他なりません。これで法に則った市政といえるでしょうか。逆に多額の費用のかかる廃棄物のリサイクルや最終処分費用を負担することなく、常習の悪徳業者により市民の土地が建設混合廃棄物の最終処分場にされてしまったことを市は是認しているのです。そして不法投棄犯罪を告発しない下関市、被害届も受けない下関警察署により、明白な犯罪行為により巨額の不当利得を得るという、まるで悪徳業者を告発、告訴もしない無法地帯のような状況が惹起されています。

 

規制権限不行使による職権濫用(差別)は許されない

下関市も金山さんが被害を受ける1年前にU氏によって同様の産廃物不法投棄被害を受け、市有地4351㎡を格安の3千万円で売却し、約4千万円の損害を被った上に、U氏が黒井で連続不法投棄事件を起こしていると知りながら、U氏への告訴を取り下げ、金山さんの事件では告発も行いませんでした。これは金山さんならば加害者に対し関連法での規制をしないということであり、明らかに下関市の規制権限不行使という職権濫用による差別ではないでしょうか。

 

224日の講演会にご参加を

被害者の訴えはもう15年も続いています。ぜひとも黒井不法投棄問題について知っていただき、法に則った下関市政とするために、一緒に考える場にご参加下さい。

2月24日(土)、午後2時から下関市民活動センター大会議室へ。

なお、金山三郎さんが出した通告書(36)は以下の通りです。

 

 

以上


[i] 「建設残土及び廃棄物が確認できた」:平成21年5月20日、市廃棄物対策課 業務日誌より。

[ii] 自分で提訴した民事訴訟:2012(平成24)3月12日U氏ら元請下請全七社を提訴。2018(平成30)1月、U氏の全責任に。

[iii] 刑法第193条:(職権濫用罪) 公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮に処する。

[iv] 廃棄物処理法施行令第2条、第7号、9号: 第二条 法第二条第四項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。  ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず   工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物

廃棄物処理法第2条第4項第1号:法第2条第4項 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。

 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

[v] 保管基準の規定:法12条2項: 事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。」

[vi] 「廃棄物であったとしても市ができることはない」:平成22年7月20日、市廃棄物対策課業務日誌より。

[vii] 不動産侵奪罪: 刑法第235条の2 他人の不動産を侵奪した者は、十年以下の懲役に処する。

[viii] 環境省通知(p45): 環循規発第2104141号〈令和3年4月14日〉

[ix] 「産業廃棄物管理票虚偽記載」:廃棄物処理法第12条の3