昨年末にお慕い申し上げている方が天に召された。
この方とは10年ぐらい前に仕事をしたことがある。
それは、彼が小さな人たちと楽しむ曲(童謡?わらべ歌?リトミックの曲?)を作曲していて、その曲に挿絵を描くというものだった。
毎月、デモ音源が送られてきて、それを聴いてイメージを膨らませ自由にイラストを描いて返信していた。
彼からイラストについてリクエストやダメ出しされたことは一切なかった。私のイラストは彼の想像を超えていたようで、楽しみにされているように見えた。
月に1回の連載で1年分を冊子にまとめることになった。それは私たちの宝物になった。
彼との往復書簡を通して彼が愛した音楽の世界を私なりに学ばせて頂いて、それはものすごく贅沢なひと時だった。
ある時、彼から今度はどんな曲がいいかと質問が届いた。それにウチの子ども達が「たこやきの歌」をとお願いしたら、「たこやきの歌」を創ってくださった。
それに私は「たこやき家族」のイラストを添えた。
ご自宅に家族でお悔みに伺った時に、彼のご家族が出棺前のエピソードを話してくださった。
出棺を待っている時にマスクの内側にテントウ虫が忍び込んでいたんだよね。これってきっとパパだよね。
確かに、彼はそんなことをしそうなお茶目なところがあった。
そういえば、彼が天に召される少し前に冬菫が1輪咲いた。何かのお知らせなのだろうかと思っていたら彼の訃報が私の所にも届いた。
その菫は、私がお悔みに伺った後もしばらく凛と美しく咲いていた。
先日は、彼の自宅前の電線に白鷺がずっと停まってお家の方を眺めているように見えたらしく、その写真が送られてきた。
こうして彼は時々遊びにいらしているようだ。
彼の音楽が私の心にあるのは嬉しいこと。
お悔みのお返しに私の大好きなものをいただいてしまった。
今度会う時にと用意されていたものだったらしい。
彼が大好きな優しい夕日を眺めながら家族で頂いた。