夏の朝、
散歩の途中で出会った花や実に、
そっと耳を澄ます。
朝日にひらく槿からは、
空へほどけていくような、透明なソプラノ。
高い枝に実るオリーブからは、
葉擦れに紛れて聞こえてくる、静かなアルト。
そして、サーモンピンクの夏薔薇には、
光を含んだ、しなやかなメゾソプラノ。
二つの声のあいだを行き来しながら、
旋律にほのかな艶を添えている。
歩きながら、三つの声を心の中でそっと重ねてみる。
高い声、低い声、その間を漂う声。
それぞれ違うのに、不思議とよく調和する。
夏の朝に出会った植物たちの声を、
ひとつの音楽として味わいながら歩く。


