松井秀太郎さんのトランペットの演奏を聴く機会があった。
彼が奏でる音色が真っすぐ私に届いた時、おもわずその音を空気ごと胸いっぱいに吸い込んだ。
それは初めての経験だった。
音を吸い込むってこんな感覚で、それは心地よい喜びに満たされるのだと
彼の演奏は多彩で豊かだった。
ジャズを音楽ホールで演奏するとたいていのお客様はスイングなさらない。もしかして、会場全体でスイングしたらとても愉快なものになるだろうけれど、そんなことにはならなかった。
反応がシャイで真面目?な観客の前での演奏はどうだったのだろうか。
それでも、彼はホールの空間の広さを見事に生かして高らかに、そして大空に向かって演奏しているかのように気持ちよく爆音を轟かせた。
それだけではなく、ホールの音響の良さを生かした音色もあった。ニュアンスを微妙に変化させロマンティックな音色を耳元でささやくように響かせ、あっけなく私の心を捉えた。
いつか、Blue Noteで聴けたらと、そんな風に思った。