滝坂道と円成寺 | 神宮の杜から

神宮の杜から

名古屋・京都・奈良のこと、その他日常のこといろいろ。
…だったのが、最近はほぼ育児日記。ぼちぼち更新。

柳生への道沿いにある「忍辱山円成寺」にずっと前から行きたいと思っていたので行ってきました。

前にも一度、院生の時のゼミ旅行で来たことがあったのですが、その時は奈良には全然詳しくなくて、この寺が奈良のどこにあるのか…なんて全く意識せず^^;

しかも、その旅行では、石上神宮や長谷寺、浄瑠璃寺にも行ったのですが、貸切マイクロバスで連れて行かれるままだったため、現在地の位置関係なんてまるで分かっていない状態…ひどいもんだ(笑)。


さて、そんな円成寺。奈良駅からバスが出ているようですが、本数が少ない。

さらに地図を見ると、そこに至るまでは柳生街道の一部になっている…ハイキングコースがあるなら、せっかくだから歩いていこう!と滝坂道を歩くことにしました。


柳生十兵衛とか柳生藩とか剣豪の里とか、全然興味がないため、今まで柳生街道といっても見向きもしなかったので、今回が初歩きです。


古都☆古都雑記


とりあえず、地図やガイドブックで調べたポイントだけはチェックしていきます。

最初に現れたのが「寝仏」。


古都☆古都雑記


裏に大日如来が彫られています。


古都☆古都雑記


そこからすぐのところに、夕日観音の立札があります。見上げると、3体の像が刻まれた岩があるのが見えました。しかし、ガイドブックによれば、さらにそこから崖を登った所に夕日観音があるとのことだったので、それに従って崖を登ってみるも、よくわからない…下から見えた岩の前までは来れたけれど、そこから上に行くにはかなり急峻なところをよじ登らねばならない!行くか…やめとくか…悩んだ末に意を決して登ろうとしたら、かなり派手にずずずっと滑った~!先日の雨が乾いていないのか、地面が滑りやすくなっていたので、そこで諦めました(T_T)


古都☆古都雑記


で、さくさくと進んで朝日観音。これは能登川対岸の見つけやすいところにありました。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


さらに進んで、首切地蔵。剣で石を割っちゃうなんて、すごいね~。しかも、地蔵だよ?神仏も恐れないすごい度胸ですね…。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


ここで、コースを少し外れて「地獄谷石窟仏」を見に行きました。

これが案外遠くて、ひたすら足場の悪い山道を歩いた挙句、とどめは600mの登りという、「やめときゃよかった…」と何度も後悔した道のり(笑)。


古都☆古都雑記


ですが、見てみると彩色がわりと綺麗に残っており、一見の価値あり、来てみてよかった♪と思いました。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


もとの道に戻り(さくっと書いてますが、実際はかなりの距離と時間がかかってます…アップダウンもあるし、この時点で相当疲れが出てきました)、今度は「春日山石窟仏」を見に行きました。

これまた急峻な崖を登ると、フェンスに囲われた中に、非常に見づらい状態で(笑)岩に石仏が彫られていました。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


ドライブウェイを横切り、石切峠を過ぎるとしばらくは平坦な舗装道路。長閑な田舎道です。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


しかし、途中から山道になり、石がごろごろしていて歩きづらいところ多し!

しかも登りが続くので、息も上がって足も体も疲労感が増すばかり…思わず「疲れた~汗」と何度もつぶやいてしまった;


春日山石窟仏のところから約6キロくらいだったかと思いますが、その途中見事に何もない!ひたすら、目的地目指して歩くのみ(笑)。1時間ほどてくてくてくてく歩き続けて、ようやく、本当にようやく、円成寺に到着!


古都☆古都雑記


中に入ると、早速美しい浄土式庭園が目に飛び込んできました。

そうそう、この光景が見たかった!


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


すでに紅葉が始まっていました。

盛りの頃に来たらきれいだろうなぁ…もみじ


対岸に見える楼門は、応仁2(1468)年の再建。近くで見ると年季が入ってます。

篇額には「忍辱山」の文字。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記

↑楼門内側から


この円成寺は、伝説では聖武・孝謙天皇の勅願ともいわれているようですが、史実的には万寿3(1026)年に命禅上人によって開山されたといいます。

応仁の乱で伽藍の大半が焼失しましたが、栄弘阿闍梨が再興に尽力し、それが現在に残っています。

庭園は、昭和に入ってから整備されているようです。


楼門からは入れないようになっているので、左の拝観受付のある門から入ります。


古都☆古都雑記


本堂は、柱間に舞台が設けられた寝殿造。屋根は銅板葺き。何となく風情がないように感じるのは私だけ…?できれば杮葺きなんかだとよかった(^_^;)


古都☆古都雑記


まずは本堂にて、御本尊の阿弥陀如来にお参り。

はるばる歩いてここへたどり着いたんだなぁと思うと、山道を歩いて仏さまに会いに来るなんて、何だか昔の人になったみたい…と不思議な気分になりました。


お参りを終え、御朱印を書いてもらっている間、堂内をじっくり見学。

見落としてはならないのが、内陣の柱に描かれた極彩色の聖衆来迎二十五菩薩。室町時代の再建当時のものとのことですが、とても綺麗に残っています。

また、創建当時、命禅上人がお祀りしたという十一面観音像も安置されていました。

やっぱり如来より観音のほうが好みだわ…^^;


古都☆古都雑記


本堂を出て、多宝塔へ。1990年再建という新しいこの塔には、この寺にある2つの国宝のうちのひとつ、運慶作大日如来坐像が安置されています。運慶25歳頃の最初期作品、ほぼデビュー作といってもよいかもしれません。

ガラス越しにみることができます。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


もう一つの国宝は、春日堂・白山堂。

いわゆる「春日移し」というやつで、安貞2(1228)年の春日大社造営の際に、旧社殿をここに移したものです。現存最古の春日造の社殿ということで、国宝に指定されています。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


さらにその東には覆屋に囲われた「宇賀神本殿」があります。向拝が唐破風になっています。「宇賀神」てどんな神様なんだろ…?


古都☆古都雑記


毎回思いますが、苦労して辿りついただけに参拝できた有難みを感じますね。

車で連れられるままに来たあの時は「忍辱山」という山号しか印象に残ってなかったからなあ…(笑)。


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記



古都☆古都雑記


帰りは、バスに乗りたかったのはやまやまなんですが、いつ来るともしれないので同じ道を引き返すことに。ひたすら下りなので、往路よりは楽でした。

距離は半端じゃなかったですが…;

ずっと行きと同じ道じゃつまらんと思い、首切地蔵の辺りから春日山遊歩道に入りました。

道が入り組んでいるので、歩行距離は若干伸びますが(笑)、広いので歩きやすいです^^


緑が眩しい遊歩道♪


古都☆古都雑記


古都☆古都雑記


17時を10分ほど回ったころ、何とか明るいうちに山道脱出!!

高畑の住宅地を過ぎ、ならまち方面へまっすぐ進み、もちいどの・東向き商店街を経て近鉄奈良駅にたどり着きました。


暴露すると…この道…あんまり大きな声ではいえませんが(笑)、あんまり好きじゃないです^^;

柳生街道といったらメジャーなハイキングコースだし、実際に歩いている人もちらほら見かけましたが、もともとこの界隈に興味がなかったというのもあるけれど、とにかく足場が悪くてじめっとしてて薄暗くて(笑)、何か歩いててテンションが上がらない。早く着かないかなぁ、ということばかり考えていた気がする。自然と早歩きになって、それで余計に疲れたのかもしれない。

やっぱり、合う・合わないってあるのかもしれないですね。


さらにあの先にある芳徳寺や柳生藩家老屋敷まで歩く人もいるんですよねぇ…すごいわ!!

私はいいです!剣や柳生には興味ないっす!!(笑)


今度円成寺に行く時は、バスで行きまーすバス