■イエスとモノラル・ミックス


日本盤シングルはステレオでした


『ザ・イエス・アルバム』スーパー・デラックス・エディションのDISC THREEを聴きながら気がついたのですが、M1「ユア・ムーヴ」のシングルバージョンはモノ・ミックスです。

確認してみたら、Expanded & Remastered盤のボーナストラックも同じモノラルなんですが、日本企画盤のCD『The Greatest Hits』収録バージョンはステレオ・ミックスでした。

同じくM2の「スターシップ・トゥルーパー」シングル・バージョンもモノ・ミックスで、Expanded & Remastered盤も同じです。


1960年代から70年代序盤のシングル盤はモノ・ミックスが主体で、エンジニアが丁寧にミックス&マスタリングしていたのに対し、ステレオ・ミックスは色物だったのか、助手が担当したりして、やっつけ仕事が多かったそうです。

60年代作品ではモノ・ミックスが重視される所以にもなっています。

出典:


ラジオのFMステレオ放送が本格的に普及したのも70年代からでした。(60年代からステレオ放送は実用化されましたが、BBCラジオワンが定期的なステレオ放送を開始したのは1973年です)

イエスは最初期を除けばアルバム重視のバンドであり、発売されたイエスのLPは最初からステレオだったので、あまり意識していませんでしたが、シングルはどうだったのか気になりました。


アナログは集めていないので現物で確認できませんが、最初のシングル「Sweetness」 UK 1969 c/w Something’s Comingは間違いなくモノ・ミックスでした。『Yes Special Sampler』CDに収録された同シングルもモノ・ミックスです。



以降、モノとステレオ(モノ・コンパチ)が混在しているようですが、その中では以下のあたりがモノ・ミックス・バージョンだった可能性がありそうです。


「Looking Around」 UK 1969 c/w Everydays

「Sweet Dreams」 UK 1970 c/w Dear Father

「Time And A Word」 UK 1970 

 c/w The Prophet

「Your Move 」1971 US c/w Clap

「Yours Is No Disgrace」 1971 Netherlands 

 c/w The Clap


米国で制作された1972年のシングル「ラウンドアバウト」はステレオ(日本盤も同じ)なので、1969年から1971年の『ザ・イエス・アルバム』までのシングル(の一部)がモノ・ミックスだったと思われます。

このDISC THREEに収録されたモノ・バージョンM5〜M10も、確証はありませんが元は当時制作された音源だろうと推測されます。


ところがややこしいことにプロモ盤LPにもモノラル盤があり、『ザ・イエス・アルバム』の後もモノ盤があるようなのです。

例えば、下記のようなモノラル・ミックスのプロモLPがDiscogsに掲載されています。

『Yes』  US Atlantic 8243

『Time And A Word』 US Atlantic 8273

『The Yes Album』US Atlantic 8283

『Close To The Edge』US Atlantic 7244

『Yessongs』US Atlantic 3-100


つまり少なくとも73年の『イエスソングス』まではプロモLPにモノラル・ミックスが存在したということのようです。


友人のO氏によれば、「都内の某有名レコードショップで『危機』のUSモノミックス・プロモ盤が80万円超で売られていた」そうです。

ステレオのホワイトレーベルプロモLPなら1万円位で買えるんですけどね。


イエスはステレオのオーディオ機器が広く普及した70年代に活躍したバンドですし、エディ・オフォードが関与したサード・アルバムからは間違いなくステレオがメイン・ミックスなので、自分はモノ・ミックスにこだわる理由はあまりないような気がするのですが、コレクターの世界は底なしのようです。😱





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