『上達の法則』を読んで。

上級者はスキーマが優れている。

スキーマ

スキーマというのは、認知心理学の概念で、もともと枠組みという意味である。

厳密な定義はないが、知覚認知思考が一定の方式のもとでできている状態を観察して、「スキーマ」がある、とかないとか言っている。

車の縦列駐車をする際の、空間認知能力などがスキーマのいい例である。

他には、大きな荷物を受けとるとき、その見た目の大きさから「重さを推測するスキーマ」を用いて、力を調整して受けとる。などもスキーマの例である。

一つの技能多くのスキーマから成り立っているが、上級者は中級者に比べて、全般的にスキーマがよりよく形成されている。

スキーマが出来ている人の特徴


①短時間で反応できる。
②同じ刺激に対する反応が同じで安定している
③刺激や刺激に対する自分自身の反応の記憶が正確。
④新しい刺激への反応も、スキーマにとりこんで、短時間かつ正確に自分のものにできる。
⑤スキーマ依存的エラーが起きる。(玄人だから間違うというエラー。)



コーティング能力が高い

スキーマを支えているのは、コーティング能力である。

技能のなかには、言語的に表しにくい要素が多く含まれている。

たとえば、ラケットでボールにスピンをかける時の動かし方、体のひねり方、タイミングなどは言語化しにくく、手続き型知識として貯蔵される。

しかし、上級者は、それらを、言語に、準じた形にして(コード化して)、さらに一つの体系的をなす。(コードシステム)

そうすることで、宣言型知識手続き型知識の両方の形で記憶を貯蔵できる。

また、このコード化をしていることで、効率的に思い出すこと(記憶検索)が出来る。


コードを整え1チャンクに入る容量を大きくする


ワーキングメモリには容量の限界がある。通常7チャンクである。

たとえば、「3412」という数字の並びをランダムの数字として覚えるなら、4チャンク使うことになる。

しかし、九九の「3×4=12」という意味を知っていたら、1チャンクか2チャンクで覚えられる。

つまり、このように意味をみつける能力が高まると記憶事象の量が格段に上がる。

この「チャンク」は、文章でいうと、分節と考えられる。

上級者は文章の理解が十分なため、起承転結のような大チャンクに分けることも、文節ごとの小さいチャンクに分けることも中級者より優れている。