『上達の法則』を読んで。
上級者と中級者の違いは、知識の絶対量の違いは当然だが、他にも大きな違いがある。
記憶力の差
それは、新しく覚える能力・記憶に関わる認知反応の差である。
上級者は例えば、将棋でいえば自分の指したものを次の日でも再現できる。絵画の上級者は一つの作品から多くの情報を記憶できる。
記憶を分類すると、意図的記憶と偶然的記憶があるが、上級者は両方の記憶力が高いので記憶量も多くなる。
では、それら両方を高めるには、どうすればいいか。それは、上達という現象を知ると理解できる。
上達という現象
1,宣言型知識と手続き型知識の長期記憶を豊富に、効率よく形成すること。
2,長期記憶にある知識が効率よく検索できる状態をつくること。
(つまり、a:必要な知識を早く検索、b:関係ない知識を誤って検索しない状態にする。)
3,長期記憶から検索した知識が、ワーキングメモリに呼び出しても、ワーキングメモリに余裕がある状態を維持できること。
(そのためには、多くの知識を少ないチャンク数で表している必要がある。)
ということになる。
用語説明
そもそも、知識には二種類ある。
・宣言型知識→言語で表せられる知識。
・手続き型知識→自転車の乗り方、花の香り、味覚の記憶など言語だけでは表せない知識。
上達にはこの両方の知識が必要である。
・アイコニックメモリ→感覚記憶。ほんの数百ミリ秒だけ貯蔵できる記憶。
・ワーキングメモリ→作動記憶。容量限界は7~9チャンク。だから、例えば電話番号は8桁ほどなので、その並びがランダムなら覚えるのはその辺が限界 ということ。
(時間限界は数秒。)
・チャンク→まとまった意味一つ分を指す大まかな単位。
・リハーサル→記憶が揮発する前に頭の中で繰り返すこと。