かなとこ雲
かなとこ雲ってご存じですよね。
時に、入道雲っていう事もあるが、最早、とても古い言葉の
感じで、若い人には分からんかも知れんなって思う。
夏空にムクムクと沸き上がり、高く高く上に伸び、多くは
頂上が風に流されて横に曲がる。
厚く濃い雲になると、雷を伴い、その下では豪雨になること
もある。

正式な名称は積乱雲というのだけれど、古来、かなとこ雲と
呼び習わしているな、
何故そんな名前になったんでしょうか?
それは、ズバリ、金床にそっくりな形をしてるからですな。
金床ってなぁに?って思う方も居ると思うんだが、これも
今ではほとんど見かけないなぁ。
昔は、中小の鍛冶屋や板金屋には必ずあったな。
金属加工(刃物打ちや板金成型など)をするときに、台座に
使う工具ですな。
よく似てるでしょ。

さて、雲の出来るメカニズムをお浚いすると、
地表で熱せられた空気の塊は周囲よりも軽くなるから上昇
する訳だ。
上昇するにつれて、熱交換のしにくい空気塊は断熱膨張に
よって一定の割合で気温が下がる。
じゃぁ、どこまで上昇し続けるのか?
大気は高度が上がる程に気温が下がっているんだが、場所や
気団内の気温などによって、その低下の度合いが異なる。
下図のように、高度による気温の低下の度合いが異なってくる。

上空が暖かいと(図の左側)空気の塊の温度が低い高度で
周囲の気温と同じになってしまうから、それ以上上昇しなくなる。
逆に上空の気温が低いと(図の右側)どんどん高い高度にまで
上昇を続けることになる。
空気に溶け込める水分量(蒸気)は気温と気圧が低いと、
溶け込む量が少なくなるので、これ以上溶け込めない所で
水滴になってしまう(冷たい瓶が結露するように)。
その温度を露点温度というが、そこで雲が発生する。
図では27℃が露点温度で、その辺りから雲が現われて来る。
左側では低い高度で、空気塊はそれ以上上昇せず、雲が
湧きだす。
一方、右側ではもっと上昇を続けるが、雲は27℃になった所
からわき出しはじめ、さらに上に行くほど水滴が増えて大きな
雲にまで発達する訳だ。
これがかなとこ雲という訳。
冒頭の写真には左下に小さな雲が発生してるが、これが
図の左側に当たり、ムクムクと立ち上がってるのが右側に
当たる、珍しい現象だな。
最近、特に今年は、かなとこ雲をまるで見なかった。
これは日本列島周辺の空気の温度が高いことを意味する。
特に上空の気温が例年より数℃~5℃も高くなってるな。
これじゃ、雲は大きく高く発達することはできない。
その結果、俄か雨や雷雨、ゲリラ豪雨なんかがとても少ないし、
やっと降っても極く限られたエリアにしか降らない小規模な
雲になってしまっている。
夕立って言葉が懐かしいほどだな。
ところが、寒冷前線が来ると、様相がまったく異なる。
暖かい気団に冷たい気団が突入して来るから、暖かい側が
一気に上昇し、大規模な雲を作る。
それも前線に沿って、長々とした雲の帯になってしまう。
前線の速度が遅いと、局地的な豪雨が長い間振り続ける
結果となってしまう。
前線上に線状に濃い雲が湧くから、前線の移動方向に
よっては同じ場所に豪雨が降り続けることにもなる。
何で、こうも列島付近の気温が高いのかはよく分からんが、
フィリピンやボルネオの近辺に熱水塊が居座ってる
(ラニーニャっぽい)し、チベット高気圧が強いことも影響
してるようだな。
地球全体が温暖化してる上に、東アジア周辺も温暖地帯に
なったせいなんだろううけど、これはいつ頃まで続くのかしら?
大陸が冷え込んで、強い高気圧が発生する頃までなんだ
ろうから、今後は大陸の気圧配置をよく観察する必要が
ありそうだな。