
ウクライナ情勢は?(36)__和平提案
間もなく4年を迎えるロシアのウクライナ侵攻だが、戦闘は
継続しており、ロシアによるウクライナ国内の、特に東部地域
における攻撃は止むことがない。
一方、ウクライナは自国内での防衛に終始しており、僅かに
黒海等の海上での石油輸送路に打撃を与える程度に留まって
おり、ロシアにとっては大きな痛手ではない状況。
米欧の支援は継続していても規模は縮小し、ウクライナが
自国防衛を全うするには厳しい状況となっている。
ロシアの継戦能力がこのまま維持できるかは微妙なところで、
米欧がもう少しコミットすれば、ロシアの挫折と行かぬでも、
有利な状況は覆るのではないかという期待もあるんだが、
早く収めたいという機運の方が勝っている状況。
で、米国がロシアと協議して28項目からなる和平提案を
作成し、ウクライナに譲歩を迫っていた。
11月半ばには欧州の意見も入れて19項目に絞ったよう
だが、この提案はウクライナにとって非常に不利なもので、
ロシアの要求を大きく取り入れたものとなっている。
内容は定かではないが、大筋では、
クリミアとドンバス地方(ルハンシク+ドネツク州)を
事実上のロシア領土と認める。
南西部(ザポリージャ+ヘルソン州)は現在の占領地を
ロシアが管理する。
ウクライナのNATO非加盟を憲法に明記。
ウクライナの軍事力の縮小。
ザポリージャ原発の共有(電力を折半する)。
段階的に対ロ制裁を解除する。
などが含まれるようだ。
ドネツク州北部はウクライナの要衝で要塞化されており、
ロシアはまだ制圧できていないが、これをすべてよこせと
言っている。
また、ウクライナの戦闘能力を縮小して、今後は抵抗出来ぬ
ようにするのもロシアの目的だ。
これを以って和平提案というには、あまりにロシア寄りと
いうしかないが、トラジイにとってはウクライナがどう
なろうと知ったこっちゃなく、この戦争が早く終われば良い
というだけのものに見える。
ウクライナとしては、領土放棄は絶対的に嫌なんだろうけど、
飲まなきゃ支援を打ち切ると言われれば、国全体を取られる
よりはマシというしかないのか?
欧州は少なくとも現在の戦線を固定する所が起点という提案
をしているようだが・・・。
ゼレンスキー大統領は「ウクライナ史上最も困難な局面の
一つにある。われわれの尊厳か、重要なパートナーの
どちらかを失う」と苦境を吐露している。
ワシが見るには、この和平案には大きな問題点が幾つかある。
①力による主権国家の蹂躙を認めることになる。
②ウクライナの戦後の安全保障が確約されてない。
③ロシアの再侵攻を防ぐ手段がない。
④野蛮国ロシアを国際社会に受け入れるのか。
等々。
約束は守らない、信義の欠片も無い、軍事力こそすべて、
力でねじ伏せれば解決する、と考える国を容認すれば、
必ず再び同様のことを画策するという例は歴史に余りある。
ロシアはその最たる国の一つだ。
トラジイは歴史なんかどうでもよく、弱小国が蹂躙される
のは仕方がなく、次の大統領の時代に何が起こっても知らん
というとんでもない無責任者に見えてならない。
恐らく、他の項目で、ウクライナの地下資源をロシアと
山分けするようなことが盛り込まれているんだろう。
これまでの武器の販売や今後の資源の獲得など、今回の
戦争で得をするのは誰かを考えれば、この和平提案の
真意が読み取れる。
米国の力をもってすれば、徹底的にウクライナを支援し、
ロシアを後退させ、必要なら経済的に潰し、2度と危ない
真似をさせないことが出来るはずだ。
それをしないのは、自国の富が少しでも減るのが嫌だからに
過ぎず、今後の世界がどうなるかなんてことは感心も無い
からというしかない。
恐らく、今回の和平提案は小修整はあっても大筋は不変で、
取り敢えず事は収まるんだろう。
世界はこの事態を注視しているから、米国に対する信頼は
地に落ち、ロシアや中国がのさばり、将来に不安を残す
結果になろう。
米国はリスクを取らない国になったという感覚が強く残る。
今後考えられる様々な紛争においても、米国が自国利益優先
で動くことが十分予測されることになった。
安易な妥協がその後何倍にもなって返って来ることは歴史上
枚挙にいとまがない。
今後、この問題がどのように進んで行くのかは大いなる
関心事なんだが、まずはロシアによるウクライナ大統領選挙
へのあからさまな介入が起こるんだろう。
武力よりも内部崩壊で親ロシア政府を作る方がロシアに
とっては大きな利益になる。
反ロシア政権が出来てしまった時点で、次の侵攻作戦が
企図されることになろう。
今回の和平提案はその前哨戦とも言えそうだ。
そして、世界にとってこの紛争が大きなターニングポイント
となるんだろう。
力による現状変更が普通になり、帝国主義的な行動が普通に
なるんじゃないかと恐れる。
いわゆる、ケダモノたちの世界であって、法や論理が抑圧
され、恫喝などの無理難題が普通になり、昂じれば、
力で解決することになる。
無法者国家群が互いに見て見ぬ振りをし、あるいは肩入れし、
大国は関与を躊躇い、弱い者が泣き寝入りする。
先の大戦で懲りたはずが、メンバーを変えて、また元の
混沌に戻ろうとしているかのよう。
人間って進歩がないんだねぇ。