悠釣亭のつぶやき -321ページ目

最新型火力発電所

先日、内陸型の最新型の火力発電所を見学する機会を得た。
多くの発電所が海や河川の近くに設置されるのは排気の冷却に
大量の水を活用するからなんだけど、ここでは大気放出と空冷で
冷却を行なっていた。
都市に近いので、送電距離は短く、地産地消型と言っても良い。


発電所は栃木県南東部の真岡市にあって、正式名称は
「コベルコパワー 真岡発電所」と言うようだ。
名前から分かるように、神戸製鋼所の別会社である。

 



この会社は東京ガスから都市ガスの供給を受け、発電作業のみを
行なっており、出来た電気はすべて東京ガスに引き渡している。
例の、電気の自由化の産物で、東京ガスの電気事業の一翼を
担っているという事。


先進的なのは、発電方式で、ガスタービン・コンバインドサイクル
方式を採用している事。
ガスタービンエンジンの燃料として都市ガスを使い、排気熱を
活用して蒸気を発生させ、蒸気タービンを回す。
で、発電規模は約125万kW、発電効率は国内最高レベルの
60%以上というから、最新型の高効率発電所である。

ガスタービンの排気はボイラーに送り込まれ、温度勾配によって
高圧、中圧、低圧の蒸気を発生させ、それを蒸気タービンに送る。
冷めた排気は高い煙突から大気に放出され、冷えた蒸気は更に
空気冷却して水に戻し、再びボイラーに戻る。





都市ガスを燃焼させているので、炭酸ガス以外に排出される物が
少なく、少量の窒素酸化物やばいじんは中和され捕捉される。
年間排出炭酸ガス量を質したが答えは無かったけど、年間の
ガス使用量が124万トンというから、恐らく、30万トン強は排出
されているんだろう。

それでも、同規模の石炭火力なら100万トン、石油火力でも80万
トン、通常のLNG火力なら50万トンは出ようから、最新型火力の
CO2排出量は格段に低いと言える。


なぜこんな内陸に設置されたのかを聞くと、東京ガスの那珂湊港
からのガス供給ラインが近くにあり、大容量送電線が近く、近隣に
都市が多いというような好適なインフラがあったからのようだ。

敷地は9haと広大で、ここに2系統の発電システムがあり、それぞれ
最大62.4万kWを発電する。
定期点検などは片方ずつ行われるので、発電が途絶えることは
ない。

建屋のすぐ横にまで行ったが、タービンの音は全く聞こえない。
排気の音が僅かに聞こえるかな?って程度だし、復水器のファン
の音の方が大きいくらいの静粛な発電所であった。

では、このシステムを構築するに要した金額は?
答えは約1,000億円という。
同規模の原発の建設費が3,000億円規模で、処理設備も入れ
れば、更に金額が増える事を考えれば、非常に割安と言える。
炭酸ガスは出すけれど、放射能廃棄物は出さない。


ワシが感じた最大の課題は、これほど高効率の発電所なのに、
常時フル稼働してない事かな。
その理由を聞くとちょっと悲しくなるな。

原発は大容量を発電するが、発電量の調整が難しく、昼も夜も
ほぼ一定の発電を行っている。
逆に、太陽光や風力は昼間や晴天や風の強い時は大量に
発電するが、そうでない時はガクンと発電量が落ちる。
自由自在に発電量が調節できる火力発電所や水力発電所が
その穴埋め調整をしているという事だ。

だから、
悠「夜間の電力不要時はフル稼働しないんですか?」
電「そうではなく、晴天の昼間は稼働率が低く、寧ろ夜間に多く
  発電することが多いです」
だってさ。

ま、確かに、原発や自然エネルギーや水力は炭酸ガスは出さない
けど、効率の良い大容量発電所が調整用に使われているという
のは如何なものでしょうかねぇ。


ま、カーボンニュートラルなんて無理なことしてるから、こういう
ことになるんであって、化石燃料は論外としても、今後は石炭や
石油の火力発電所を最新型の高効率発電所に順次置き換えて
行く事も必要なんだなろうな。

ワシが考える究極はもちろん、木質燃料による火力発電なんだ
けど、これも遅々として進んでないからなぁ。
いくら燃しても、出る炭酸ガスは太陽由来という木質燃料こそが
原発の欠点を克服し、他の自然エネルギー発電の不安定さを
凌駕し、未来永劫持続可能な発電システムだと思うんだがねぇ。