悠釣亭のつぶやき -285ページ目

遠隔豪雨

あまり聞きなれない言葉だし、気象用語としても新しいと思うんが、
台風などの激甚気象に際して、その周縁部だけでなく、遠く離れた
場所に於いても豪雨が発生するような事象を言うようだ。


先日の台風10号の時に、台風の中心がまだ九州の方にあるのに、
中部地方や関東地方では歴史的な豪雨に見舞われた。
時間雨量が100mmに迫り、長時間雨量ともなれば、平年1ヶ月間
に降る雨の数倍~5倍が数日間で降るような豪雨となった。

必然的に、洪水や土砂災害が各地で発生し、台風そのものによる
被害に匹敵するような被害となった。
この現象、恐らく昔にもあったんだと思うが、昨今のアメダス情報や
レーダー解析の発達によって、その存在が明確になったというのが
真相のようにも感じるが。


ワシがこの現象に気付いたのは、まだ台風が九州南部に居た頃、
8月27日頃だったな。
浜松~静岡沖合に小さな渦が発生したのに気付いたのが、下記の
画像の3日ほど前で、注視していたわけだ。




30日の朝からこれが急激に発達して強い雨雲を送り出しはじめた。
駿河湾の海水温が異常に高いせいで、大量の水蒸気が蒸発して
来てるんだろうなと思ったんだな。


長いこと気象を見てきたけど、こんな状況は過去に無い、全くの
初体験だった。
普通、雨雲は低気圧や局地的上昇風の本体ごと風に乗って移動
して来るものだ。
これは暫く一定の場所に停滞してたので、北関東への影響は
少ないと踏んでいたわけだ。

ところが、この局地的な低気圧は発達とともに、強い雨雲を作って、
風に乗せていろいろな方向に強い雲を送り込んできたんだな。
ちょうど、浜松~静岡の沖合に海から水を汲み上げる大ポンプが
あるような感じで、大量の水分を供給してくるんだな。



折あしく、風が伊豆大島付近を境にして、西側は台風に引かれて
北西へ、東側は北海道西部の秋雨前線に向かって北東へと流れて
いて、この強い雨雲は一部は名古屋方面へ、一部は甲府経由
宇都宮方面へ、早い速度で送り出されはじめた。





結果として、29日夕刻からこの雨雲が中部地域、南関東地域に
豪雨をもたらし、北東へ伸びた雲は北関東まで到着し、強い雨を
長時間降らせる結果となってしまった。






今回の雨雲は台風の前駆雨雲ではなく、局地的に発達した雨雲
だったが、これほどの規模で雨雲が送られてくるのは過去に無く,
とても異常に感じた。
以下は大胆な仮説だが、ワシの知見として、今後の気象予測には
役立つかも。

まずは、駿河湾一帯の海水温が異常に高かった事。
気温も高かったから、台風が来る前から、この地域で盛んに海水から
大量の水分が蒸発していたと思われる。
それが小さな渦状の雲になったのが27日頃。

台風の接近とともに、気圧が低下してきたから、この現象が一気に
加速し、膨大な水分を汲み上げ、空中に川を作った。
これが風で運ばれるに伴って、新たな蒸発が起こり、継続的に強い
雨雲が供給され続けた。
風が北西と北東に分かれたのは台風と秋雨前線による偶然。

この仮説、一つ大きな弱点があるとすれば、高々10hp程度の
気圧低下で、それまで、小さな局地的蒸発だったものがいきなり、
まるで突沸現象の如く、激甚な変化をきたすか?
と言う所かな。

でも、あの現象を説明するのにワシ自身は他の仮説を知らない。
10hp程度下がれば一気に蒸発が激甚化することが実証できれば、
今後の予測が容易になるのは明らかなんだがな。


日本近海の海水温はこの台風でいくらか緩和されたが、まだまだ
30℃近くもあって高い状態だ。
次に接近する台風においても、似たような現象が発生する可能性は
高いと思われるので、注視したい。