
米国の苦悩(その3)
米国が実際に何を望んでいるのかは定かではない。
単に債務削減したいのか、貿易赤字を減らしたいだけなのか、
ホントに製造業を復活させたいのか、雇用を増やしたいのか?
債務削減なら、米国製の高い武器を大量購入したり、思いやり
予算増大したりすれば目的の一部は達成できるわけだ。
備蓄米をカリフォルニア米で充填するのも良い案かも。
目的によって方策は違うんだが、ここでは貿易赤字を減らす
という方向で考えてみる。
では、自動車に関する貿易赤字の改善にはどんな手があるん
だろうか?
米国が望む状態とはいかなるものかを考えると、
輸出の拡大
輸入過剰の解消(国産の拡大)
国内メーカーの復活(雇用の増大)
このうち、輸出の拡大については米国の自動車メーカーの努力
に負うところが大きいと感じる。
即ち、世界のユーザーが好む車を作ることが求められている。
テスラが良く売れているのはそういう需要を得ているから。
そして、トラジイが言うような非関税障壁(安全基準など)は
各国が譲れるところは譲るという妥協は出来るんだろう。
大して効き目は無いと思うが。
輸入量を減らすための高関税に他国が対応するには、更に
安い車を作るという手もあろうが、それは逆効果で、更なる輸入
拡大になり兼ねない。
米国の自動車産業の復活と言っても、今や、GM、フォードなど
国内メーカーだけで拡大するのは困難だろう。
売れ行きは価格だけでなく消費者のニーズで決まるものだから。
米国内で生産する他国企業も含めた国内自動車産業の雇用拡大
の方が現実的と思える。
ならば、米国内での生産を増やすのが好手と言えるのかな。
日本の各メーカーは米国工場を持っているから、その生産量を
増やすことは可能だろう。
また、部品の現地調達率を上げるのも効果があろう。
ただし、日本国内の操業を減らすことになるので、一気に大幅に
とは行かないと思うが。
もう一つの好手として、逆輸入があるのかも。
米国工場製日本車を日本に輸出する訳だ。
さすれば、米国の雇用は増大し、日本への輸出も増大する。
仕様変更は大変だし、日本国内雇用を減らすのは同じ事だが。
もちろん日本製車の仕向け先を米国以外にするのが一番の好手
なんだけど、これは今でも盛んに進めてるけど、大変難しい作業
なんだな。
スズキがインドで上手くやってるような方法しかないと思うが、
他のメーカーでも不可能ではないだろう。
あの手、この手を考え、ミックスしながら、進めるしかなさそうだ。
鉄鋼においても同じような事が言えるが、USSを買収するような
露骨なやり方でなく、合弁や資本参加などの緩やかなやり方が
適しているのかな。
これなら米国世論を強く刺激せずに実現が可能と思えるし、
トラジイもこの方向を望んだようだ。
高機能製品に特化し、生産量を増やし、生産性を上げれば、
米国の高い賃金でも、米国内の需要を取り戻すことは可能だし、
中国は別として、世界に太刀打ちできるようになると思う。
鉄鋼業においては米国内のインフラやサプライチェーンはまだ
生きてるから、復活は早そうだ。
国内需要を国内で賄う容量も十分にあるからね。
造船業は一番困難な業種かも知れない。
既に、インフラやノーハウが相当に毀損していると思えるから。
それでも、国内需要は大きいうえ、国内に労働者は多いし、
経験者も多いはず。
問題はやはり、高賃金下でも良いものが安く作れるかがすべて。
ならば、中国以外の、技術を保有する国との協同しかないだろう。
日米韓が協同し、中国に対抗できるだけの生産性を上げ、
必要なら、中国並みの補助をしてでも、産業として成立させねば
ならないということだ。
日韓は一貫して米国の味方だったではないか。
同盟関係強化の一環としても、造船業での協同は大きな意味
がある。
安全保障とも密接にかかわる業種だけに、同盟国としての協同に
日韓が否定的になる事は無い筈だ。
USSの時のように、米国のプライドを傷つけるようなやり方は
拙いし、中国シェアを少しでも取り返せれば、3方1両得を実現
出来るんじゃなかろうか。
いま、日米間で様々な議論がなされていると思う。
高関税で締め出すという手段では同盟関係が弱まるだけに
なる事や、経済が大きく毀損することなどを示し、Win-Winの
解決策を模索するのが一番のやり方であるのは論を俟たない。
トラジイも分かっているはずで、今必要で不可欠な策はそれを
如何に具体化してゆくかだけだと思う。
同盟国には関税は掛けないが、こういうやり方で米国製造業の
復活に協同して取り組むという姿勢が必須で、それぞれの業種
において、具体的な解決策を模索してゆくしか無かろう。
