米国の苦悩(その1) | 悠釣亭のつぶやき

米国の苦悩(その1)

このところ、世界経済の関心はトランプ関税一色に染まっている。
ま、あんなに極端にやれば、米国経済が大ダメジを受けるのは
避けられないし、その煽りを喰らった世界経済も深刻な
リセッションに見舞われる恐れが十分にある訳で、程々の所に
落ち着くだろうというのが一般的な解釈ではある。

トラジイとて、米国経済の低迷を望んでる訳じゃなく、一時的な
経済悪化はあっても、来年秋に回復してれば、中間選挙は
乗り切れると踏んでるところはあるんだろう。


日本としては、10%の一般関税+鉄鋼・アルミ・自動車への
25%関税+相互関税24%なんて極端なものが容認できる筈も
ないから、何としても高関税廃止か軽減が焦眉の課題である
のは当然の事だ。
時間が掛かっても、粘り強い交渉が必須である。

さて、「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」との諺があるが、
じゃぁ一体、敵の状況は如何なるものなのか、何でそこまで
急進的な答えを求めるのか、緩和策はあるのかなどを考察
してみる。


まずは米国の経常収支と累積債務の状態は如何に。
裕福な経済と世界の安全保障にコミットし続けてきた米国は
長年、歳入以上の歳出を続けてきたわけで、政府の総債務残高は
右肩上がりの一方であった。
このところは毎年1兆ドル(150兆円)を超えて増加する状態で、
総債務残高が35兆ドル(5300兆円)を超える状況となっている。




トラジイの一次政権ではやや抑制的だったが、コロナ対策での
大判振る舞いが効いて、一気に増大し、その後の景気刺激策
によって、大幅な債務増大に直面している。
政府は債務上限を引き上げ、国債発行で対応しようとするが、
格付けが下がって引き受け手が減るためにこれもままならない。

この政権は大胆な歳出削減に走り出した。
年金・医療などの国内改革を進め、国家公務員の大幅な削減、

大学への補助金の削減、NASAやNOAHなどへの予算削減など

の荒療治迄始めている。
ここで余剰となった雇用を輸出産業に振り向けることが出来れば
一石二鳥と言えようが、国内の反発は大きいだろう。


一方で、国際収支の改善も急務となっている訳だ。
米国の対外流出の大きなものとして、安全保障費や貿易赤字が
存在する。
内部改革は国内問題だが、この部分は国際的関係に左右される。

各国に、もっと防衛費を負担しろというのは米国の安全保障費を
下げたい訳で、現今の米国債務の状況からすれば当然の行動と

見て良い訳だ。
NATOの如き古くからの同盟国からも距離を置こうという動きを
顕わにしている。
この圧力は今後とも強まって行く事だろう。


そして、貿易収支はどうなっているのか?
中国が世界の工場として頭角を現し、安価な商品が出回る頃
から、米国の貿易収支は一気に赤字額を伸ばしてきた。
そして昨今では、年間9千億ドル(135兆円)もの赤字を積み
重ねるようになっている。
この改善も急務な訳である。




トラジイの進めようとしている、安全保障に関する経費削減、
高関税による国内産業保護、製造業の国内回帰等はいずれも
米国経済の持続性を担保してゆくための必須の行動なのだ。

本稿では米国の製造業の現状やトラジイが何をしようとして
いるのか、それに対してどのような答えがあるのかなどについて
考察してみる。
以下、その2へ。