1999年の旦那デスノート | 牧村しのぶのブログ

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本日発売の「別冊家庭サスペンス」に『悪妻』を再録していただきました。

https://books.rakuten.co.jp/rb/17896682/?l-id=search-c-item-text-01

初出は1999年です。ノストラダムスの大予言が外れた、といわれていた年でした。当時私はまだ女性漫画ではキャリアが乏しく読者や編集者の方が年上の場合が多く、家庭ものを描くにも神経を使いました。担当編集者が保守的でずっと年上なら漫画もその担当の許可しないものは描けません。自由に楽しく描いているというのはありがちな誤解です。仕事として引き受ければその制約の中で努力するしかないものです。「悪妻」はたまたま編集者が許してくれたため描けた作品です。その人がいなければ描けなかったかもしれません。担当の好みというわけでもないのですが、家庭に不満のある読者層にアピールするだろうと考えて認めて下さいました。結婚後夫に裏切られ解放を求める女性を描いた昭和生まれの「旦那デスノート」です。まだ女性の職業選択の幅は狭く、職業経験が乏しいまま結婚し、家事も子育ても介護も引き受けながらパートやアルバイトで働く女性が多かった時代です。

育児休業は1歳までで、未就学児の親の深夜業の制限制度もありませんでした。出産後は退職する人が多数派でした。

そうした時代背景の下で描いています。現代ではありえない事故も出てきます。その部分を描き直し、絵も当時の絵柄で修正しています。

よろしければご笑覧ください。