私は1986年から投稿を始め、87年末にプロとして受注した仕事を始めました。アナログ時代が長く、デジタル移行は2013年と遅めです。生成AIも昨年試作しており、全部できます。
道具の変化は身をもって知っています。
アナログ時代
80年代はまだスクリーントーンの種類が少なく、高価でした。
漫画用原稿用紙もありませんでした。
まずB4のケント紙の四隅に鉄筆でアタリを入れて鉛筆で基本枠を作り、漫画用原稿用紙として使いました。
枠線は烏口で引きました。インクはパイロットの製図用か証券用です。後にロットリングの0.8を使うようになりましたが、使わない人もいました。やがてミリペンの0.8がよく使われるようになりました。鳥山明先生が使っているという話を聞いて真似する人が増えました。影響はそんなところにも及んでいました。
人物や背景はGペン、丸ペンを使うのが一般的ですが、カブラやミリペンを使う人もいました。決まりはなく好みの問題です。
トーンが少なく高かった時代は点描もカケアミも縄も自分で描きました。デリーターという安いトーンが出てからはトーンを使うことが一般化しました。公園や夜景を印刷した背景トーンや時間のかかるキーボードなどの小物トーンもできて、時間がない時に使う人が増えました。
スクリーントーンを使っていない投稿作(87年)
スクリーントーンを使っている商業作品(91年)
キャンソンボードにドクターマーチンで描いたカラー(2001年)
キャンソンボードにドクターマーチンで描いたカラー(2011年)
デジタル移行後
デジタル移行後は、原稿用紙が液晶タブレットに変わり、枠線は自動的に入れられるようになりましたが、上から加筆する場合もあります。デジタル作画は専用のスタイラスペンを使いますが、自分の手で描くことは変わりません。Gペン、丸ペンなどペン先を選んで使います。トーンはデジタルトーンを使い、貼る部分を決めてトーンを選び、貼り付けます。作業手順は基本的には変わりません。トーンをこする作業は不要になりました。アナログで慣れていればすぐできます。
クリスタを使ったモノクロ(2017年)
クリスタで線画完成後着色途中(2017年)
レイヤーを分けて作業できるため、直したいレイヤーだけ直せるのは便利ですが、細かなチェックと修正が必要なことには変わりありません。早くなったかといわれると、私の場合は1日で着色したアナログ時代より修正に時間がかかるようになりました。
クリスタを使ったカラー(2023年)
フリーレンの作画作業の動画がありました。
どんな先生も自分の手で地味に描いているのは同じでした。
さて、生成AIを使うのはデジタル作画と同じという人がいますが全く違います。アナログでもデジタルでも自分の手で描くことに変わりありません。Gペンがスタイラスペンに変わるだけです。
アシスタントに描いてもらう背景を素材で代用できる部分もある
というだけです。アナログも背景や小物のトーンがありますからさほど大きな違いはありません。
さて生成AIは、プロンプトを自分で書く以外はお任せです。
女子高校生ですが、私の絵とは全く違います。
この絵を作るために似た絵を描いている多くの作家の絵が素材として使われています。
他人の絵を使うのが生成AIの特徴です。
自分で描くデジタルイラストとは違います。
そして素材としてデータセットに入っている学習元の許諾を得ていないことが問題です。使ってほしくない人もいるからです。
ポルノや不本意な広告やプロパガンダに使われたい人はいないと思いますが、現状では著作者側が選択、拒否できません。写真の場合はディープフェイクポルノにされる恐れがあり、深刻です。
自分の絵や写真とそっくりでなくとも、ポルノやCSAMの素材として使われることは自分の信念により拒否します。学習拒否権を求めます。
アナログからデジタルへの移行と生成AI利用が同じだというのは
他人の絵を勝手に使う問題
を隠すごまかしです。