私はプレ均昭和生まれです。バブル時代にデビューしましたが、新人の待遇は変わらず何の得もないままバブルがはじけ、連載していた雑誌が続けて休刊になり、その後は厳しい時代を過ごしてきました。それでも固定読者の方が一定数いて支えて下さり細々と続けてこられました。
読者の方々も同年代か少し下で、80年～90年代の漫画を読んで育ち、2000年前後にブームになった萌えの影響はありません。歳の近い漫画読者の方は、萌えは好きではないといいます。デジコミも好きではなく、アナログの線が好き、個性的な絵が好きでアナログ同人誌を作り続けている方もいらっしゃいます。
女性がほとんどでエッチな萌え絵には興味がありません。
今生成AIを使っているのは男性が7割、30～40歳代が7割、4割近くがセンシティブ即ちエッチなR18を作っています。
それは私の漫画読者と全くかぶりません。
今の萌え絵風、いわゆるマスピ顔の漫画を生成AIで描けるようになっても、その絵を使えば読者が好むとは思えません。
少なくとも使わないとダメだということはありません。
今配信されている漫画は少し昔の旧作が中心です。買って下さる方も年齢は少し高めです。若い方は萌え絵の漫画を好むかもしれませんが、そういう方だけが読者ではありません。
私自身については何も生成AIを使わなくても困りませんし、仮に使う人が増えても影響は受けません。悪くいえばAI登場以前に山を越した勝ち逃げ世代です。何も知らなければ若い人の絵を使って楽をしたいと思ったかもしれません。
しかし現実に多く使われているStabLe Diffusion、Midjourneyの学習に使われたデータセットLAION-5Bに世界中から無断で集められた58億超の著作物、CSAM(児童性的虐待素材）、医療画像等の個人情報、多くの一般の方々の写真が入っていることを教えられ、この目で確認しています。SNSやpixivで交流していたクリエイターの方々が無断で作品を使われることに強く抗議していることも知りました。残念ながら現実の利用者の多くがR18を作っていること、写真を利用したディープフェイクポルノも作られていること、その素材として一般の方々の顔写真が無断で使われていることもわかりました。それらの問題を切り捨てて「著作権」だけを問題にして対価を支払えば解決するとは考えません。
AIイラストをはじめとする現状の生成AIが抱える問題点について、主要なものを図にまとめてみました。 pic.twitter.com/WdpQQ1tUx5
— MAH (@MAH_konnyaku) January 8, 2024
もっと根本的な被写体と著作者の人権を尊重し保護する規制を求めます。著作権も財産権だけでなく、人格権を含みます。
生成に自分の絵が使われかつ似ていなければ著作権侵害にはなりません。しかし特定の画像生成に直接寄与していなくても、似ていなくてもいつどこで誰に使われるかわかりません。ポルノ製作に使われることは受け入れられません。
にもかかわらず現状ではどんな使い方も拒否できません。
素材の著作者、被写体が学習を拒否できる仕組みが必要です。
私は表現規制を求めているわけではありません。
素材提供者と利用者の間に合意があるなら創作は自由です。