第1回目が「自分と顧客の直結」で,

第2回目が「既存の流通への参画」でした。

 

で,今回の第3回目からしばらくは…「雇用」について考えていきたいと思います。

 

 

//会社を大きくするという形で成功する人//

 

”仕事で成功する”と言っても,いろんな成功があって…年収だったり,年商だったり,総資産だったり。で,ここでは主として”年収”をベースに話をしているけれど…そうではなく,人を雇い会社を大きくするという形で成功を夢見ている人もいるだろう。

 

年収だけではなく,社会的地位,社会的責任,名声など…他のモノが欲しい場合,会社を大きくしたいと考え…その時に雇用について考えることになる。

 

 

//人を雇用することが難しい時代…//

 

ただ…雇用というものを軽く考えていると痛い目に合う。特にスタートアップや,まだ会社が軌道に乗っていないような時には。

 

まず,経営者には法律順守の義務がある。

 

・労働基準法

・労働契約法

・労働安全衛生法

・パートタイム労働法

・男女雇用機会均等法

・育児介護休業法

・公益通報者保護法

 

ざっとあげても…最低これぐらいある。これらの法律を遵守する”雇用”でなければならない。

 

有期雇用にするのか無期雇用にするのか?賃金は?労働時間は?セクハラやパワハラには誤解を招かないところまで注意をして...他にも,社会保険,労働保険,税金処理なども。最初から社労士に頼ると支出も増えるし,ある程度知識が無いとビジネスモデルの設計にも影響する。何より従業員を不幸にするリスクが高まる。

 

しかも今は,働き方改革真っ最中で...昔以上に労働者の権利を忠実に守る中で指揮命令をしていかなければならないので,それには…かなり,会社の体力(リソース)が必要になる。

 

雇用に関する助成金など国の施策を利用するという手もあるが,それも自分で行うのならまだしも…専門家に依頼するのなら,そこでもさらなる支出が…。

 

法律や制度遵守だけにとどまらない。終身雇用が昔話になったとはいえ,他人の人生を背負うことに変わりはない。”誘う責任”,”引っこ抜く責任”なども考えなければならない。結婚の時の…「必ず君を幸せにするよ」と無責任極まりない言葉の比じゃない。従業員の家族を含めた人生に責任を持たないといけないわけだから。

 

思うように成果を出せない社員に対してはもちろんのこと、例え意図的に働かない社員であったとしても、そうそう容易に...「じゃあ明日から来なくていいよ」とは言えないわけだ。

 

雇用に関するトラブルは...

 

大企業(使用者)と従業員(労働者)の関係だと社員が苦汁を舐めることが多いが,小さな会社と従業員の場合,会社側がダメージを受けることが多い。労働者には自由に辞める権利があるわけだし...。今後ますます少子高齢化による売り手市場が進むのは確実で...それに伴って、小さな会社の雇用リスクは益々高まるだろう。

 

少数精鋭でやってるのに...主力が

 

「俺,辞めます。他に誘われてるので」

 

って感じできたら...

 

とまぁこんな感じで、労働関連の法律や厚生労働省が進めようとしている施策を知れば知るほど…「おいおい,これ大企業ならできるかもしれないけれど,俺たち中小零細企業には無理だよな。」って…中小零細企業の経営者は思うはず。

 

 

//働き方改革の中小零細企業への影響//

 

それに…”働き方改革”を,中小零細企業の経営者目線で捉えると…もはや雇用にリスクしかないって思えることも。

 

働き方改革を...大企業は積極的に推進している。魅力的な会社にすることが,売り手市場に対する最適な雇用戦略になるからだ。ゆえに,大企業はどんどん労働者に優しい施策を展開する。法令順守どころではなく,福利厚生制度を充実させて…それこそ従業員満足度(ES)を高めていくだろう。

 

結果…大企業に応募者が殺到して競争率は高騰し…それゆえ大企業は,より優秀な人材を確保できる。

 

それだけじゃない。大企業は中途採用に力を入れて中小企業で揉まれて育ったところを一本釣りを狙っている。ヘッドハンティングだ。中小企業はたまったもんじゃない。苦労して採用し,投資して育成してきた人材が…育ってきたところを持って行かれるわけだから。

 

一般企業では,芸能界のように圧力をかけることなんかないし,ましてや中小企業が大企業相手に文句も言えない。そもそも表明的には法律違反ではないわけだから。

 

 

僕にも経験がある。

 

うちの娘が小学校1年生の時だった。夏休みの自由学習でベランダでトマトを育てていた時のこと。徐々に赤みが付いてきて…いよいよ明日収穫かなと楽しみにしていた矢先,見事にカラスに持っていかれた。娘は大号泣。

 

ちなみに,「カラスのばか~」と泣いている…あの頃の娘は可愛くて愛おしかった。今では僕のことを”金づる”としか思っていないが。

 

話が横道のそれたのと…長いので次回につづく。

 

(つづく)