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 さあ、お待たせしました。命にかかわる体験談の続きです。すべて事実、ノンフィクションの体験談をどうぞ。 ※「血」に弱い方は、読むのをご遠慮ください。

 

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 とにかく引きつけて離れることだけを考えていた僕は、下へ何かがぼとぼと落ちているのに気がついた。

 足元を見ると暗くてよく見えないが何か水がこぼれている。

 最初、水たまりにはまったのかと思った。しかし、その瞬間もぼとぼとと“水”は落ち続けている。どうも僕自身から落ちているらしい。

 一瞬、「おしっこ?」とも思った。怖くて? いや、僕に限ってそれはないだろう。じゃあ、いったいこれは?

 腕に違和感を感じ、見るとそこも水で濡れているよう。

 

 ・・・と、ここで、やっと異変に気づいた。濡れた右腕が全く動かないのだ。“水”が、暗さのために黒く見えるのではないことにも気づいた。


もしかして? まさか? と思いつつも、僕は相手に馬鹿な質問をした。


「もしかして、それナイフ?」
 我ながら間抜けな質問だなあとも思ったが、相手はそれでも何も言わない。
「わかったから、警察にも届けないからもう行って。」
 僕がそう言うと、相手はあわてる風もなく、互いに相談するでもなく、何事もなかったかのように、また、そろって歩き出した。



18:30 いつのまにか大通りまで出ていた僕は、彼らが行ってしまうのを見届けてから、車のところへ戻った。“血”があふれ出している腕を押さえながら


 奥さんにすぐ警察へ連絡するように言った。不思議なことに痛みは感じなかった。車に乗り込むと車が汚れてしまうので、まだ血が流れ出ている腕をかばいながら、携帯で警察に事情を話した。

 警察は何度も同じことを聞く。しかし、ぼくは、だんだん意識が遠のいていくのを感じ、
「すみません、そろそろ気を失いそうなので、救急車を呼びます。切っていいですか?」
と、これまた間抜けなことを言うと、警察は
「もう連絡してあります。そろそろ着く頃ですよ。」
と答えてくれた。そういえば、救急車の音が聞こえてきたみたい・・・。
 奥さんに、

「ちょっと座るね。」

と言って、車にもたれかかった体は崩れ落ちたそう・・・。(もう意識はなかった)

<以下、その③(病院編)へ。続きはICUでの治療場面。これまた壮絶です・・・。乞うご期待?>