太宰治「新樹の言葉」 | 近江の物語を君に捧ぐ

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近江を舞台に、近江に生きる人を主人公にした小説をひたすら書き続けている近江人、木村泰崇のブログ。

太宰治「新樹の言葉」。

私は、この「新樹の言葉」という
タイトルが
何かしら
頭の片隅に
ずいぶんと昔から
存在し続けてきた。

私がこの「新樹の言葉」をはじめて
読んだのは
20代の頃だと思われるが、
何かしら
もっともっと前から
この作品のことを知っているように
思われた。

それで
気になって
調べてみたら、
中学校の国語の教科書に
この太宰治の「新樹の言葉」は
掲載されていて、
私は中学校の授業で
この小説に接していたのである。(笑)

私は
幼少期の記憶については
自信のあるほうである。
けれども
何故か
この「新樹の言葉」の授業は
記憶にない。(笑)


思えば
私は中学校の頃は
まったくもって本を読まない子どもだった。
中学校の時は
国語よりも社会のほうが
好きだった。
(地理が何よりも好きだった‼️)

本を読んでいなかったから
逆に
国語の授業で接する小説は
文句無しに
心に染みた‼️

今でも中学校の国語の教科書に
載っている
魯迅の「故郷」と
へルマン・ヘッセの
「少年の日の思い出」には
ものすごく感動したものだ。
そして、
有島武郎の「生まれ出づる悩み」とか
ロシアのガルシンの「信号」なんかにも
心を揺さぶられた。
とりわけ「信号」においては
授業中の
先生とのやりとりまで
はっきりと
記憶している。

そんなふうに
よく覚えているはずの
中学校の国語で
出会った太宰治「新樹の言葉」だと
いうにもかかわらず
私はこの授業の記憶がない。(笑)




「新樹の言葉」は
原稿用紙40枚の短編小説である。

麻薬中毒、心中未遂、離婚、入院……
と、波瀾万丈の二十代から
なんとか立ち直っていこうと
していた
東京から山梨県の甲府へと
住居をかえた
三十代前半の
太宰治の作品だ。


この小説の、
火事を描いた
ラストのくだりは
見事である。