〈未来部育成のページ〉 北海道江別市 園町地区の未来部世代“伴走者”2024年5月2日
- 春夏秋冬あなたに会いに行きます
紙面刷新に伴って「未来部育成のページ」もリニューアル! 新企画「Start! 未来部ファースト」では、“未来部を真ん中”に置いた取り組みを重ねている地域を取材し、全国の創価家族が今から、ここからスタートできる“未来部ファースト”の知恵と心に迫ります。今回伺ったのは、北海道江別市の園町地区です。もう一つの新企画「記者も学び始めたこの一冊」では、育成のページ担当に就いたことを機に、未来部員との関わりを本格的にスタートさせた男子部世代の記者が、自身の挑戦も踏まえてオススメの一書を紹介します。(記事=大宮将之、野村啓)
地区の座談会日程が決まったら、その人は必ず会いに行く。毎月欠かさず、大好きな子どもたち一人一人のもとへ。
参加の呼びかけや、未来部コーナーの相談だけで終わりではない。田中美登里さん(地区副女性部長)は何より“顔を見ておしゃべり”すること、それ自体を楽しみにしている。そんな関わりを20年以上続けてきた。
園町地区(杉本崇地区部長、井上史子女性部長)には伝統がある。入会・未入会を問わず、未来部世代を“日常的に応援する担当者”を決めてきた。その一人が田中さんである。任を託された時、未来部育成の経験は全くなし。8歳の長女と5歳の長男の手を引いて一軒一軒、訪ねることから始めた。「わが子と同じように大切にしよう」。それが池田先生の心だと、先輩から教わった。
園町地区の協議会。「子どもの笑顔は大人がつくる」と決めて
やがて一人の少女と出会う。佐々木愛梨さん。彼女が小学校に入学した2012年春4月、田中さんはお祝いを伝えに佐々木さん宅へ。愛梨さんの目線に合わせて膝を折ると、「座談会でお名前を発表してもらえないかな」とお願いした。
佐々木家4人のうち信心していたのは、母・梢さん(女性部本部長)だけ。愛梨さんも父も2歳下の妹も未入会。学会の庭で育つ豊かさを、母はわが子に感じてもらいたかったに違いない。座談会が“子どもの居場所”になるようにと祈り、その願いに地区の同志が皆で応えた。
愛梨さんの未来部コーナー・デビューとなった座談会。いよいよ出番という瞬間、愛梨さんは緊張のあまり泣き出してしまう。が、創価家族のやわらかな笑顔と声援に安心したのか、顔を上げて「ささきあいりです」。この日一番の拍手が送られた。
そんな彼女が11年後、座談会で「学会に入会しました!」と元気に発表する姿を、いったい誰が想像できただろう。
佐々木愛梨さん(右端)が園町地区の未来部世代の仲間たちと。みんな仲がいい。それは地区を離れても変わらない。創価大学卒業後に道内の小学校教員になった友が、帰省もかねて後輩たちを励ましに来ることも。毎回の座談会では一人一人が主役になる。大人も創意工夫を凝らし、御書講義の内容は「子どもたちも理解しやすい表現」となるよう心を砕いている
視点を愛梨さんに移そう。小学1年の春以来、その人は毎月来てくれた。「田中さん」という名前もすぐに覚えた。会うといつもうれしそう。未来部コーナーの相談は、母を通してではなく自分に直接してくれる。それは妹に対しても変わらない。
座談会で“できること”が増えていく。クイズを出したり、新年の目標を「漢字一文字」で表したり。地区の人たちの喜ぶ顔がうれしくて仕方ない。それ以上に「自分の役割」があって、「誰かを元気にできること」が誇らしい。学校では“どうせ私なんて”と感じてしまうことが多かったから。
園町地区の未来部員が年頭の座談会で書いた「目標を表した漢字一文字」
中学1年で教学部任用試験に、高校受験の際には唱題にも挑戦した。反抗期に入って親の言葉に反発を覚えることはあっても、田中さんはじめ皆の応援があったから頑張れたし、合格できたと思う。
人間関係への不安で高校に行けなくなった時、手にしたのは池田先生の『青春対話』だった。その言葉をスマホのメモ機能に打ち込むと、“心の薬箱”が満たされる感じがした。取り出しては何度も何度も読み返した。
愛梨さんがスマホに打ち込んだ『青春対話』の言葉
昨年6月、成人となる18歳の誕生日を前に、入会の意思を母に打ち明けた。母は「私からお父さんに話そうか?」と言う。愛梨さんは首を横に振る。父に日頃の感謝も伝えたい。正面から向き合った。「これから、自分のことは自分で決めていきたいんだ」
親として、娘の成長をずっと見てきたからだろう。父は決断を尊重してくれた。
昨年7月に行われた園町地区の座談会。ここで佐々木愛梨さん(右から2人目)が自身の入会を発表した
北海道内の大学に進んだ愛梨さんは未来部を“卒業”し、池田華陽会となった。“どうせ私なんて”とは、もう思わない。田中さんは今も支えてくれる。未来部世代の担当者というより“日常の伴走者”であり、「家族みたい」と愛梨さんは言う。
田中さんは春夏秋冬、一人一人に会いに行く。私にとって、あなたは世界で一人の“あなた”なんだと感じてほしいから。
田中美登里さん㊧と佐々木愛梨さん。田中さんが心掛けてきたのは「相手を決して子ども扱いせず、一個の人格として尊重すること」だという。愛梨さんも「田中さんは一人一人の意見を聞いてくれる。私たちがうれしい時は全力で喜んで、悩んだ時は本気で心配してくれる」と。大学受験に挑んだこの一年も、創価家族にどれほど支えられたか。「これからは私が」と誓う
記事のご感想や、あなたの地域の“未来部ファースト”の取り組みをお寄せください
<メール>kansou@seikyo-np.jp
<ファクス>03-5360-9613