読書 仏教からよむ古典文学 末木文美士 | hananoのブログ

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読み終わったけれど読書記録をかけてないものが何冊か。


こちら。少し前に読んだ本。


仏教学者の末木さんが、源氏物語や平家物語、能や謡曲、などのものがたりを、仏教の思想をとおしてよみといていく。

 

今の仏教は思想というよりお葬式やお寺詣でなど、日常の生活習慣の延長線上にありますが、かつては、ひとの生死や生活規範のありかたの根底にある「思想」として、おおきくかかわっていたことがわかりました。


仏教と女性、ジェンダーについてもわかりやすい説明がありました。


仏教が女性は平安の頃広く流布していた法華経によれば、五障のため仏になることができない。男性に変性して初めて仏になれると説かれる。(変性男子論)

著者は仏教誕生のインドにおいて女性が差別される立場にあったことが強く教理に影響してるだろうとのこと。一方で平安の女性たちがどこまでそれを意識していたかは不確かだと。

江戸時代に仏教思想を志したり、僧侶となった女性を紹介していたのが興味深かったです。

また、女性は仏になれないという思想も解釈次第であると述べています。

 

以下、メモ。

 

・仏法は鎮護国家的に儀礼をとおして国を護る

・密教的な呪術が現世利益的に活用される

・源氏物語にみられる仏法の基本的な方向は出家することで、王法と相反する方向へ向かっていく。

・ものがたりは王法と仏法の両極の間で現世の生が営まれる。→あいまいさの中に、「もののあはれ」や「色好み」のような現世を生きる価値観が形成される。

・色好みは折口信夫によって遊興的な好色ではないことが指摘された。・・宗教生をもった帝王の徳

世に未練を残す煩悩を生じさせたり、仏事をさまたげること

・女人の五障は常識かされていたが、女性が仏教に関わることを否定するものではなかった。

・斎宮として神に仕えることは仏から離れ、罪深いことになる。

→後の本地垂迹になると、神に仕えることが仏に仕えることになる

 

・罪は、人生そのもの、現世離脱の志向

 

・俗世から仏法の世界に入ること→出家

・俗世の苦しみ・煩悩や執着によるもの→真実の世界にはいることで、来世に極楽往生して、悟りの世界にな入れる

 

修行する人たちの集団 僧伽(僧、サンガ)

 男性、比丘 女性、比丘尼 戒を守った生活

 見習いの沙弥、沙弥尼 十戒をたもつ← 貴族の出家 

 在家の優婆塞、優婆夷 五戒、不邪淫

 

聖 苦行によって宗教的な力を身につけたもの、山林修行者

僧都 僧位の体系の中、秩序の内側の存在。世俗を離れて仏事を行う。隠遁生活者。

入道 皇族か三位以上で出家した場合。出家しながら俗世に近い生活をしている。

 

法華経 五障説 女性は仏になることができない。→変成男子説 源氏のなかでそれを積極的に受け入れていたかははっきりしない

 

人が死んで転成するまで、四九日間さまよう状態が中有で、そのあいだは乾闊婆と呼ばれて香を食すという。→薫の特徴が芳香で表される 死の世界との密接な関わり

 

 

。。。。。

 

平安以降の仏教 顕密仏教の周縁に新しい聖の仏教が生まれる

 神仏の力(冥)は世俗の力(顕)と拮抗する意味を持っていた

 顕教 南都諸宗に天台宗が含まれる 密教 真言宗 天台宗

 

比叡山延暦寺、三井寺、興福寺など軍事力を蓄えて強い力をもつ

宗教施設、文化、娯楽教養をになっていた

祈祷をとおして、冥の力が強力に発揮された
 

鎌倉時代から 顕密の力が弱まり、周縁の運動の自立が高まっていく →近世仏教


。。。


まとめきらずに返却日がすぎてしまい…


末木さんの仏教本はまたあらためて、買って読みたいです。