イラン映画、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した、ジャファルパナヒ監督の作品。
監督は2010年以降、2回投獄され、20年間映画製作と海外渡航を禁じられていたそうだ。
この作品は、獄中での経験がもとになったという。
イランでは言論の自由がなく、反体制と見られると政治犯として投獄され、ひどい虐待を受けるというのは、以前読んだ小説、「スモモの木の啓示」にもあった。
イスラエルとイランの戦争が起こる前、記憶にあたらしいのがマフサアミニさんがヒジャブの被り方が不適切との理由で投獄され、虐待死したことを発端におこった、全国的な反政府デモ。
この運動ではヒジャブに反対する女性たちだけでなく貧困にあえぐバザールの商人たちなど多くの市民が参加する運動となるが、結局、政府に弾圧された。
多くの市民が監獄に送られた、その記憶がテーマとなるこの映画。
この映画は監獄や虐待のシーンは映さずに、過去に監獄に入れられたひとたちに、そこで何があったのかを語らせている。
ストーリーは、政治犯で投獄され虐待された経験のある自動車修理工のワヒドが、片足義足の看守エクバルに偶然出会い、拉致して復讐しようとするところから始まる。
でも、彼がほんとうに看守のエクバルか不安になる。
同じように投獄された経験のある人たちを探しながら、真実を探っていくスリリングなストーリーから目を離せない。
「虐待の記憶と後遺症」をテーマにして、人間の暴力性と政治、権力と市民の関係が暴かれていくこの映画。
イランの政府がいかに市民の生活を疲弊させ、自由を奪っているか。
映画にも出てくるように警察や病院など末端まで賄賂が横行しているのをみてると、善良さ、はどこへいった?と。
まっとうに生きようとするほど損をするのでは?
と、見ながら腹が立った。
まだまだイラン情勢は厳しい。
トランプもイスラエルも最悪だけど、イランの現体制もだめだ。
ストーリーを追いながら、外側から見えないイランの今が見えてくる映画でした。
