フロンティア あなたの中に眠る天才脳 NHKBS 6/18放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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FRONTIERS その先に見える世界
あなたの中に眠る天才脳 NHKBS 6/18放送

感想
サヴァン症候群というのは「グッドドクター」でショーンを見ているので、それなりに理解していると思ったが、こんな左脳と右脳の関係があったとは知らなかった。
しかし、左脳が右脳の働きを抑制しているというのも不思議。
脳にはまだまだ「分からないことだらけ」なんだろう。


内容
Chapter1 天才たちの驚異の能力

アレックス・ベイカーの場合
超細密な絵を記憶だけで描ける。

分かったのは小学校に入った頃。


東京 新宿の風景(初見)を5分間見て、記憶だけで絵を描く。
1時間後、完成した絵。

頭に浮かんだものを紙に写す(カメラみたいに)

レックス・ルイスの場合(アメリカ)
ショパンの幻想交響曲を40分間聴いただけでマスター出来る。
4歳の頃から(聴いたものがすぐ弾ける)


ダニエル・タメットの場合
円周率の暗唱を公開で行った。5時間後22514桁を達成。
新しい言葉を学ぶ挑戦→アイスランド語(難しい事で有名)を
7日間で覚えて披露する。アイスランド人と30分間普通に会話。


アメリカ ウィスコンシン州。
ダロルド・トレファード博士は、天才とその家族に注目する。
天才たちの能力の全体像を把握。約半分が自閉症。
サヴァン症候群。生まれながらの天才。
例えばカレンダー能力。10年先の日付の曜日を言う。


突然芽生えた能力もある→獲得性サヴァン症候群
ある日突然天才になる
デレク・アマートの場合
作曲家、プロピアニスト。
ある日の事故で突然芽生えた。
元々は通信会社で営業の指導をしていた。
プールに飛び込んで頭を打った→昏睡状態に
目覚めた時、四角いものが左から右に動いた。急にキーボードに触りたくなり、曲が弾けるようになった。
目の前に流れる四角を音符に置き換えると曲が出来た。

脳で何が起きているのか知りたい・・・

ジェイソン・パジェットの場合
ボディビルをやっていた高校生。カラオケバーの帰り、男に襲われて頭を殴打された。目覚めると蛇口の水が変に見えた。
見るものが全てフラクタルに見える(規則性のある構成)
存在する全てのものは、実はフラクタル。自然界にも多くある。
巻き貝、野菜も。それを見抜く能力を得た。
描いた絵を物理学者に見られ、フラクタルだと知った。


大学で数学を学び直し、見ているフラクタル構造を数式化出来るようになった。学会でも引っ張りだこ。

Chapter2 天才脳の秘密
生まれながらの天才の脳に、ある特徴が現れる。
典型的なサヴァン症候群の人の脳MRI画像。
右半球が左に対して約1.9%大きい。右半球の神経核も異なる。
→偏桃体核、尾状核も同様に右が大きい。
左は言語、右は創造性(芸術、音楽等)を司る。


後天的なもの
天才の10%は脳の損傷や病気による獲得性サヴァン。
野球ボールを頭に受けた脳損傷の少年→天才的計算能力を発揮
落馬して脳損傷した少女→絵の才能が開花
落雷で脳損傷した男性→ピアノの才能が芽生えた
共通する特徴は脳左半球だけを損傷。

神経心理学→機能障害だけでなく、能力発現の事例も経験する
ある脳梗塞の患者の例
病気になる前と、病気後とで描いた絵が全く違う。
写実性、具象性が格段に向上(絵の才能が高まった)


その患者の脳画像(左前球が損傷)
血流測定では右後半球の血流増加(視覚的な記憶力向上)

 

なぜそうなるか
一般に左半球は「優位半球」と言われ右半球を抑制
左半球が損傷すると右への抑圧が低下→機能開花
才能は元々あり、それがきっかけを得て外に出て来る。
(誰の脳にも天才的能力が眠っている?)

その能力を人工的に目覚めさせる研究がある(NY市立大学)
医療用のtDCS装置→低レベルの電流を被験者の脳に流す


マイナス電流→左半球の機能が低下(右半球への抑制が弱まる)
右半球にプラス電流を流せば機能アップ


*tDCS(経頭蓋直流電気刺激)
アメリカではtDCSの軍事的利用研究が進む。
危険物の発見能力→2倍以上に高まる(学びを助ける)


ヘルメット、野球帽にも装着出来る。

一般人でもtDCS使用者が居る。
トラビス・モーガン。ネットで購入した。
大学生の時、記憶力を上げるために使用。成績は著しく向上。
社会人になっても使っている。
中学生の息子にも勧めている(英語が苦手でHELP要請)


賢くなれるのなら使い続ける・・・
中高年の記憶力低下にも効果があるという。


Chapter3 天才的能力はなぜ封印されている?
ナディア・チョミン
少女の時に描いた絵が素晴らしい(4、5歳児と思えない)
サヴァン症候群によるもの。だが大人になる前に失われた。
ローナ・セルフ博士 幼少期のナディアを診ていた。
重度の学習障害があり、言語能力を高めるため自閉症特別学校に入り、教育を続けた。それと同時に絵の能力が衰退。


「言語」が影響を与えた。

緑川晶 中央大学文学部
「意味性認知症」の研究を行っている→言語機能の低下。
言語が才能を抑え込むメカニズムが判明。
患者の膨大な記録(30年分)
発話はスムーズだが、言葉の意味が分からなくなる(脳の萎縮)
こうした患者に不思議な現象が起こる。
突然絵の才能が開花する(写実的)
ある実験。黒丸の数を数える。12個、18個。意外に大変。
意味性認知症患者は数えるのが早い(若者より)

絵を描く行為は、見たものを記憶してそれを描くという作業。
意味性認知症では、そういう記憶が瞬時に行われる。
その要因は「言語」→言語機能が低下する認知症に限られる。
言語機能が視覚的能力を抑制している。

我々は世界のものに名前をつけて認識。
映像記憶の例:ジェットエンジンが消えても気付かない
普通は映像を言葉に置き換えて記憶。(詳細までは覚えない)
意味性認知症では視覚的な記憶力が高まる。

これらは人類の進化と深い関わりがある。3万年以上前に描かれた壁画(フランス アルデーシュの洞窟)写実的。

言語能力が未熟な分、映像記憶が突出(生き残りのため)言語能力の発達に伴い、視覚的記憶力が低下した。
だが人類は言語によって大きな利益を得た。
視覚的記憶力と引き換えにしても惜しくはない。

私たちの脳には、長い進化の中で獲得した能力が、まだまだ眠っているのかも知れない。