フロンティア「アルツハイマー病 克服に挑む」NHKBS 3/13放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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「アルツハイマー病 克服に挑む」NHKBS 3/13放送

感想

アルツハイマー病克服の決定版遺伝子発見!
アルツハイマー病については「レカネマブ」による治療が350万もかかる割りに効果が低い(27%)という事で、あまり大きな期待はしていなかったが、今回その薬効の根拠が興味深かった。
また原因物質を遺伝的に持っている「家族性アルツハイマー病」の中で、因子があるにも関わらず進行しない人がいるという。
その人が持つ防御遺伝子を見つけた(リーリン遺伝子
あと10年もすれば根本的な予防・治療の手立てが見つかるという。期待したい。
オマケ

①タウ関係の情報      
リーリン遺伝子関係の情報    
②治療については超音波を使うものもある→コチラ


内容
アルツハイマー病の原因物質に薬がとりつく。
病気克服の道筋が出来た。カギは確実に発症する家族。

Chapter1 アルツハイマー病克服に遺伝子から挑む
世界中で5500万人が患っている認知症。

その6割以上を占めるのが「アルツハイマー病」
アルツハイマー病は神経細胞が壊れ、脳が萎縮して行く病気。

たん白質アミロイドβが溜まって行き神経細胞を傷付ける。
原因物質は他にもある。神経細胞の中にある「タウ」というたん白が集まり変化して神経細胞が死ぬ。それらがいつから、どの様に増えるかが謎だった。注目したのは「遺伝子」
発症前の状況を知るために、家族性アルツハイマー病の子供を調べてその経過を知る。患者の子供が発症遺伝子を受け継ぐ確率は50%。もし受け継いだら親とほぼ同じ年齢で発症する。
発症に関わる遺伝子(APP PSEN1 PSEN2)家族性アルツハイマー病の割合は全体の1%。

若い頃からの変化が観察出来る→他の患者に展開可能
研究に参加したのは米拠点の6施設、ロンドンの1施設、オーストラリアの3施設。プロジェクトを「優性遺伝性アルツハイマー・ネットワーク」DIANDominantly Inherited Alzheimer Network)と呼ぶ。2001年からDIAN研究が始まった。
参加者は発症遺伝子を持つ親の子供。年1度、脳の画像撮影、血液や認知機能検査、髄液採取実施。参加者は世界中に約670人。

DIAN研究で、発症までの詳細な過程が明らかになった。
病気は15~20年前から始まっていた。アミロイドβ蓄積の過程。
何の症状もないまま病気は進行。ひとたび症状が現れると記憶障害の先に介護→それが最後の10年。全30年の過程の病気。

アミロイドβの次に来るタウの変化は、急速に起こる。


画像確認されてから1年で脳全体に広がる。

2012年にアミロイドβを標的とした予防試験を始めた。

被験者は家族性アルツハイマー患者。144人が研究に参加。
ブライアン・ホイットニーへのインタビュー。13年前から参加し現在51歳。家族の平均発症年齢は50歳。遺伝子PSEN2を保有。
臨床試験に参加。現在発症は確認されず。予防効果は未確認。
娘エミリーの将来が心配。

Chapter2 遺伝子研究で誕生 アルツハイマー病の薬
治療薬レカネマブによる進行遅延。2023年に承認された。

明確に進行を遅らせたのはレカネマブだけ。

日本のエーザイが中心となって開発。開発番号:E2012。2012年までに出すという願望で命名。その後失敗、改良の連続。
当初の標的はアミロイドβが固まった「老人斑」だったが、それに疑問が生じる。その前段階の凝集体「プロトフィブリル」をターゲットとする事で研究が進化(北欧の病変研究「北極変異」により解明)これの抗体。そしてレカネマブが完成。

レカネマブがどう働くかの検証(金沢大学で実施)
薬効の可視化。手法は高速AFM(原子間力望遠鏡)
動くたん白質を分子レベルで追える。レカネマブがプロトフィブリルを取り囲む→免疫細胞がそれを取り除く。

効果は以下の通り。

その先はヒトでの検証が必要。薬の開発の成功率は1/3万。
 

新薬開発は次の段階へ
DIAN研究ではもう一つの、タウを標的にした治験に取り組む。
一つはアミロイドβを標的にしたレカネマブ。もう一つはタウを標的にした「E2814」 併用してより大きな効果を得る。


タウは非常な悪玉。それを止めるのが重要。
タウの「ある特徴」を捕えて考える。脳内で伝播して行く。タウが細胞外に出るのを阻害する方法の確立。治験に加えられた。

効果が分かるのは数年後。チームで進めるのが「すばらしい」

Chapter3 希望の遺伝子
家族性アルツハイマー病研究で、注目される発見があった。
発症を食い止める「防御遺伝子」の存在。
コロンビアにある、家族性アルツハイマー病の世界最大の一族。
その中で2015年、1人の女性が発症していない事が判明。
名は「ジョセフ・アルボデラ・ベラスケス」PSEN1の遺伝子がありながら、アルツハイマー病から守られている。

経過を辿ると、70代になっても認知機能は低下せず。
遺伝子分析の結果「リーリン」という遺伝子に辿り着いた。


一種の回復力を生む経路。アミロイドβやタウがあるのに脳が壊れていない。リーリンが働き守られている(治療に利用可)
予防法を見つける事にもなる。
今まで間違った場所を探していた。

治療法は打ち勝った生身の人の体内にあった。

防御遺伝子は他にも存在する可能性がある。先のブライアン父ダグラス・ホイットニーが24年経っても発症していない。
50歳で発症する筈が75歳で発症していない。


父はゴールデンユニコーンと呼ばれている(笑)
ダグにも希望の遺伝子が?発症を防いでいる何かがある筈。
ダグ以外の彼の家族から、血液DNAを採取した。
その結果ダグで働いている防御遺伝子を見つけた
決定的な治療や予防が実現する可能性がある。
ダグは、自分の体をDIAN研究に捧げると言っている(死後も)
ブライアンのコメント:その遺伝子が自分にも引き継がれている事を願う。それが遺伝性であれば娘エミリーにも引き継がれている可能性がある(現在13歳)彼女が18歳になって、研究に参加するかどうかは彼女が決める。
エミリーの言葉:その年齢になったら参加したい(興味ある)
たくさんの人を救うことが出来る・・・



アルツハイマー病の未来は
予防法や治療法が確立し、病にかかる事がなくなるだろう。
10年以内にはその治療法を一般の人が享受出来るだろう。
認知症を恐れない世界が待っている事を夢みている・・・

ワシントン大学に飾られた、研究に参加する家族が作ったキルトに記された言葉は「HOPE(希望)」