ヒューマニエンス「“ミトコンドリア” 最も古く 最も大切な友人」NHKBS 2/19放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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ヒューマニエンス 40億年のたくらみ NHKBS 2/19放送
「“ミトコンドリア” 最も古く 最も大切な友人」

感想
この番組は、知的好奇心がくすぐられるのでほぼ毎回観ているが、今回は実に興奮した。
自分たちの細胞一つひとつにある「細胞小器官」
よくぞ組み込まれたものだ。そしてこれが、入れ替わることのない神経細胞等の活性化に重大な役割りを担っているという。

ミトコンドリアを増やすにはカロリー制限が有効だとは、これまた逆説的。断食の健康への寄与も証明される。
また、これからは薬の概念が変わるかも知れない。
その後イロイロ情報を集めてみた。

 

 

 

 

https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/10/82-02-06.pdf

 

当分ミトコンどる生活が続きそう・・・

内容
【司会】 織田裕二、藤井彩子
【ゲスト】太刀川英輔 デザイナー
【解説】 中田和人 筑波大学 生命環境系 教授
     宮城島進也 国立遺伝学研究所 教授
       北岡祐 神奈川大学 人間科学部 教授
     石原直忠 大阪大学 理学研究科 教授

ミトコンドリアの研究は世界的に進んでいる。
生と死を制御している細胞小器官。生命現象に入り込んでいる。


語源はMito(糸状)+Chondrion(粒状)の造語。

糸状に見えるが断面を切ると粒状→様々な状態を見せる。
ミトコンドリアは赤血球以外の全ての細胞に存在している。
断面100~150ナノメートル。ヒトを富士山とすると石ころ程度。生命に必要なエネルギーの90%を作っている


20億年以上前の原点(ドラマ仕立て)
グータラ男が目覚めると、知らない娘が料理を作っていた。
家事をしていたのはミトコンドリアの祖先。
グータラはヒトの祖先(古細菌アーキア)

娘は窓を開けて酸素を入れ、得意料理の「ATP」を作る。


それを食べるグータラ。「うまい!」力が出て来た。
君、名前は?「ミト子」

20億年以上前の地球で酸素濃度上昇。ヒトの祖先 古細菌アーキア」はミトコンドリアの祖先と細胞内共生を始めた。

うまく行ったのはATP(アデノシン三リン酸)のおかげ。
ATPは生命活動全てに必要なエネルギー分子(好気性)
古細菌は嫌気性。作れるエネルギーは少ない。ミトコンドリアにより莫大なエネルギーを手に入れた(約20倍)
その代謝は解糖系(グルコース→ピルビン酸)酸素不要
は酸素活用 ②の代謝がヒトの進化を加速。

 

ミトコンドリアがなければ真核生物(ヒトを含む)は存在し得なかった。生活の全てに関わった→外に出るグータラ。
細胞内共生がなかったら、ヒトは単細胞のままだったかも・・・


古細菌の研究が進む。40億年前から存在。25億年前に大気の酸素濃度が上がってミトコンドリアとの共生が生まれる。


本来酸素は毒。古細菌は得たエネルギーで複雑化。進化を加速。


ミトコンドリア側にも事情があった。

人生はギブアンドテイク
「ミト子、家は?」と訊くグータラ。ミトコンドリア側の事情。
誰も私を守ってくれない・・・私にもアナタが必要。


ミト子の祖先「アルファプロテオバクテリア」古細菌に入ればサバイバル能力は必要なくなる→エネルギー生産に専念。
ミトコンドリアのDNAは現在37個しかない。

元は約2000個あったが、必要がなくATP製造に機能特化した。


単体の時は食べ物を横取りされ、ウィルスに襲われた。
やる事を減らしたからATPをたくさん作れる。


ヒトのDNAと別れている理由は電池と同じ。ATP製造には多くの電流が必要。最低限必要な遺伝子が37個。電圧は1V程度出る。
その代わり良く壊れる。宿主に直してもらうのは時間がかかる。
すぐ直すのに遺伝子が必要→自分のゲノムを持っていたい。

ミトコンドリアのDNAは母性遺伝
精子の持つミトコンドリアは受精時に消える。結局卵子由来からしか受け継がれない(父方は積極的に排除される)

ミトコンドリアの動作で父方と母方が混ざると歪みが出るため。


頼れる友人は増やせる
トレーニングするとミトコンドリアは増やすことが出来る。
最大酸素摂取量の比較:アスリート58.3、スタッフ41.5
トレーニングで効率良くエネルギーを生み出す。
馬はミトコンドリアが多い(馬肉が赤い理由)赤身魚も。
白身魚は少ない。だがそれを食べるだけでは増えない。
他に増やす方法がある
カロリー制限+運動 断食は有効

温熱刺激 リハビリで注目される

→寒冷刺激 褐色脂肪細胞に刺激を与える
「楽して」はダメ

秘めた能力「ダイナミクス」
彼は貪欲な人間になった。働くミト子。働き過ぎで調子悪化。
限界が来て倒れた。「何だ?この臭いは」戸棚に一杯。
それは活性酸素。たんぱく質、脂質、DNAに傷を付ける。


細胞に変異を起こし能力低下、皮膚老化、心筋症等を起こす。

 

それを食い止める現象がある。新しいミト子が合体。
ミトコンドリア ダイナミクス。機能を失ったミトコンドリアと健康なミトコンドリアが融合する事で回復する(品質管理)


融合だけでなく細胞間移動・分裂も行う。

 

いいものと悪いものが融合すると全部良くなる(維持出来る)
助け合い(保存療法)
もっと悪くなると分裂して悪い部分だけ切り離す。
→分解(オートファジー)膜で包んで掃除(分解→再利用)


80%のDNAが変異しない限り機能は維持される。

ミトコンドリアが切り拓く医療
あらゆる病気にミトコンドリアが関わる(糖尿病、神経変性疾患、不妊症等)様々な疾患でミトコンドリア異常が発見される。
もの忘れ、言葉が理解出来ない→ミトコンドリアの劣化。
ミトコンドリアの入替えが可能(細胞間移動)


点滴を用いて活性化(脳)再生が可能
治療に使えないか→新薬開発
不調のミトコンドリアが断片化(正常に機能しない)


→特殊な化合物を振り掛けると向上。3日間で劇的に改善。

 

細胞に備わった品質管理。薬は悪いミトコンドリアに目印を付ける。元気なミトコンドリアも増える。


神経細胞は一つの細胞が生き続ける→細胞の掃除は世界に大きなインパクトを与えた。万能薬になるポテンシャルあり。
薬の正体:ミトコンドリアを積極的にオートファジーで分解し易くするもの。今までの積み上げが花開いた。
本来の力を引き出す。副作用は少ない。

ミトコンドリアはまだ分からない事の方が多い(分裂の意味)
有能。仕組みが良く出来ている。
これがなければ「我々」ではない。