ETV特集 患者が医療を変える 〜肺がんサバイバーの挑戦〜 NHK1/27放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

感想
2016年に義父が肺腺がんで他界した事は以下で説明している。


7年前の時点では、確か分子標的薬は2種の遺伝子にしか対応していなかった。それが今では9種見つかっているという。
私は14歳でタバコを喫い始め、10年で止めたものの主治医に言わせるとダメージが残っており「ガンになるなら肺やね」と言われて毎年CT検査を受けている(トホホ)
この長谷川氏のバイタリティには敬服する。

内容
長谷川一男。2010年から肺がんとの戦いが始まる。咳が止まらず。肺がんでステージ4。余命10ケ月との診断。当時39歳。


職業はTVディレクター。それ以来自身の自撮りを始めた。
抗がん剤の副作用で苦しむ。陽子線治療にもトライした。
余命の10ケ月は乗り切り、3年目に外科手術を決断。
通常はステージ4の患者に手術は推奨しない(マイナス面多い)
対応出来る病院を探して実施。切除は成功したが、術後感染のため手術跡を塞ぐ事が出来ず穴が空いたまま。


3年後に腹膜に転移。

治療の情報を知るため患者会を立ち上げた(2015年)

免疫チェック阻害剤について厚生省にも働きかけた。

2023年現在、腹膜のがんは小康状態だという。
この年、対面での患者会を開いた。

来られない人のためにリモート参加も手配。


肺がん患者の5年生存率は低いが、近年生存者は増えている。
会員は今6千人。患者だけでなく家族も近況・情報を伝え合う。

 

がん細胞遺伝子に直接働きかける→患者会でシンポジウム開催。
遺伝子検査の重要性を学ぶ。遺伝子検査はやった方がいい。

肺は腺がんが最も多く、研究が進んでいる。


変異した遺伝子にターゲットを絞った薬(分子標的薬)

腺がんに対してはEGFRに対応した薬を皮切りに次々増えた。
現在は8種類見つかっている。


遺伝子「ROS1」が見つかって喜ぶ患者青島氏。

44歳の時肺がん手術しその後転移。

2年は生きられると聞き、却ってショックを受けた。ネット検索で長谷川の会を見つけ、患者会に入った。
入ってびっくり。皆さんステージ4で淡々と語る。自分は何も知らなかった。主治医に再検査を懇願。検査の結果「ROS1」が見つかる。分子標的薬はピンポイント攻撃(効果が高い)


患者にとっての新たな壁
遺伝子プロファイリング検査」2019年に導入されたが、EGFRに対する治療は、抗がん剤治療後の患者にしか保険適用出来ない。また設備の整った中核病院でないと対応出来ない。


長谷川の仕事をイラスト作りでサポートする娘。


EGFRに対する治療は、耐性遺伝子有りの患者にも71%の効果を示すが、ない人では21%。それでも見方を変えれば通常抗がん剤の2倍の効果。

投与を望むが治験に1.5億かかり、国内では退けられた。
それに患者会が挑戦した。「キセキ トライアル」


2018/3月に資金集めを開始。3ケ月で500万集まったが圧倒的に足りない→製薬会社に直談判。向かったのはスペイン。
投資効果から見ればNG。だが患者にいかに貢献するかの判断でゴーサインが出た(製薬会社の支援)その結果、耐性遺伝子がない人でも約30%の効果が出た。道が開けた。

現在、肺がん患者の半数が分子標的薬を使っている。その不安。何年効果が続くか、副作用がどうか・・・

2023/9月、シンガポールでのシンポジウム(世界肺がん学会)
「キセキ・トライアル」の発表。患者の存在は重要。

長谷川は学会から「今後の医療を変える5人の患者」に選ばれた。

これは第一歩。もう一つのプロジェクト。
「LCスクラム・アジアパシフィック」アジア圏の治験情報のデータベース化。アジア人は遺伝子変異が多い(欧米も成果享受)
今回その成果で「Her2」遺伝子が追加された(9番目)


2023/12月。いつもはバスで帰る道を歩いて帰る長谷川。
大事なのは生きる勇気。がんと共に生きるには勇気が必要・・・