ヒューマニエンス「“土” 生命の星の小宇宙」BSP 12/25放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

ヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「“土” 生命の星の小宇宙」 BSP 12/25放送

感想
養われた家が農家で、土の大切さはある程度理解している。
だがこの団粒とか、微生物を守るための土の構造とか、新鮮な情報に圧倒された。

しかしあの利き酒、必要だったか?(笑)

合理的な大規模農法に支えられて来た人類の「食」
それが破綻し始めている今、どう辻褄を合わせて行くのか。
この番組の先に見える「暗黒」がコワい・・・

内容
【司会】 織田裕二、藤井彩子
【出演】 元村有希子 科学ジャーナリスト
【解説】 藤井一至 森林総合研究所 主任研究員
     大久保智司 東北大学 特任教授
     染谷孝 佐賀大学 名誉教授

地球の薄皮が地殻。その表層1~数十mが土。


太陽系内で土があるのは地球だけ。

ヒトの生き方を決めるのは土
地球表面の3割は陸地。
地球上の土は12種に大別される。


最も肥沃なのはチェルノーゼム。北欧に多く分布し小麦を育む。
日本で多いのは黒ボク土。元々酸性で農業には不向き→改良
南米のオキシソルは養分が少ない。鉄、アルミ分を利用。

土に合わせた生活スタイル
モノの味にも影響を与える。酒造会社にある「土壌モノリス」


酒米に麹菌を混ぜて作るのが日本酒。

同じ米(山田錦)でも味が変わる→先々代の社長が突き止めた。
それは土の違い。土の下層の差(①川 ②沼 ③陸)

それが味に反映される。3種の酒を皆で飲み比べる。


世界の12種のうち5種が日本にある。


土が出来るための要素→気候、生物、地形、時間
日本では土が1センチ出来るのに100~千年必要。
だが土砂くずれ、火山噴火(火山灰)等で大きく変化。
雨でカルシウム分が流出して酸性になる→アルミ成分が流出して植物に有害。

土は5億年の賜物
土が地球に生まれたのは5億年前。
地衣類(藻類と菌類が共生)

→菌が岩を溶かしてミネラルを吸収
→それを使って藻類が光合成し糖分を作る。

陸に栄養分が蓄積。更に生物の死骸(有機物)が微生物を育てる。
土壌微生物は土1gあたり50~200億存在。

微生物が土の有機物を栄養分に変えて利用出来る様にしている。

作物の収量アップに貢献する栄養源と菌類(現場を研究)
農業生態系のデジタル化

微生物は一人勝ちしない→1種の微生物が土の栄養を全て消費し尽くさない(ブレーキをかける)
種の存続のためには必須な縛り。

隙間という小宇宙
土を握ると団粒になる。これには半分ぐらいのすき間がある。

団粒             左記のすき間部分


すき間に微生物を住まわせ水のある所、ない所を作る。


団粒はマイナス電気を帯びており、雨で流出しようとするカリウム等のプラスイオンを留める。
更に団粒は細かいミクロ団粒としての構成もあり、種々の微生物が生息出来る環境になっている(安全なシェルター)


また団粒は有機物が接着剤となり炭素の固定体として地球温暖化防止に貢献(大気中の倍のCO2を固定)

耕さない農業
「耕す」という行為は雑草を防ぐためだが微生物には迷惑。
耕されることで団粒は消滅し微生物激減(棲家が壊される)


不耕起栽培が模索されている。
一例:カバークロップ
ライ麦を密生させてから一方向に倒す。その後種や苗を、ライ麦をかき分けて植える。

作物の生育良化し農薬、除草剤が減る。

WHOが提唱する「ワンヘルス」

→人の健康は環境の健全性と一体
農地も健康である必要がある。
今まで「耕しすぎて来た」かも知れない。
ただし不耕起栽培は大規模農業には不適(1haまで)
 

CO2抑制に理想的なのは、もし土中の有機物が毎年0.4%ずつ増えれば工場から出るCO2を土中に閉じ込める事が出来る。
食料問題も解決出来るかも・・・土は生き物。
互いに健康であるべき。ヒトだけの健康はあり得ない。