聖女(テレビドラマ) 2014年 NHK | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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2014年8月19日~10月7日 NHK「ドラマ10」


脚本    大森美香
演出    日比野朗
主題歌 「ラストシーン」JUJU


キャスト
肘井 基子(ひじいもとこ)    広末涼子
中村 晴樹              永山絢斗
本宮 泉美                蓮佛美沙子
前原 光郎               岸部一徳
黒坂 京子               田畑智子
小池 賢治               田中要次
田中 みはる             清水富美加
中村 百合子             筒井真理子 晴樹の母
中村 克樹               青柳翔      晴樹の兄
阿川 博之                         浜野謙太 (第一の被害者)
坂東 幸雄                         森岡豊     (第二の被害者)
千倉 泰蔵                         大谷亮介  (第三の被害者)
千倉 文江                中田喜子

相関図

 

第1話 「運命の再会」
第2話 「愛を乞う女」
第3話 「プライド」
第4話 「裁かれる女」
第5話 「最後のキス」
第6話 「愛が壊れるとき」
最終話 「この愛の果て」


感想
受験生だった時の美しい家庭教師が、殺人犯の被告として現れる。
なかなかキャッチーな設定。
これは実際にあった「首都圏連続不審死事件」を多少参考にしているのだろう。この犯人 木嶋 佳苗の人生もなかなかのもの。
さて本編。
世間に騒がれた末に逮捕された基子だが、裁判では無罪。
だが晴樹との恋愛は叶わなかった。
その末路は死んだ男の女房の恨みで失明。
結局善人になって入水自殺したのは、丸く収める方便だったか。
過酷な少女時代に、母親が身を以て示した男の操縦法。
愛があれば金を得てもいいという「作り笑いの愛」
それが晴樹を知ったことで綻び始める。
しかし広末涼子の歪んだ笑いの、実に見事なこと。
そして海に没する前、晴樹に見せた天使のような笑顔。

やっぱ女優だわ。

キーとなるフェルメールの「聖プラクセディス」は美しい絵だが、殉教者の血を吸い取った海綿を、若い女性が絞って落とす。

奥には首を斬られた殉教者。実は凄惨な場面。
世に溢れる聖女に捧ぐ・・・・・


あらすじ
連続殺人容疑で逮捕された、自称絵画コーディネーターの肘井基子。

 

愛人だった相手は三人。青年実業家 阿川博之は睡眠薬多量摂取死。プロデューサー 坂東幸雄は崖から転落死。

そして千倉泰三はアパート火事で意識不明の重体。
その弁護を行う事になった前原弁護士事務所の若手弁護士 中村晴樹は、彼女が十年前自分が受験生だった時の家庭教師 緒沢まりあにそっくりなのに驚く。


当初所長の前原とベテラン黒坂京子で対応したが、晴樹との面接を切望する基子。差し入れ名目で晴樹が面会に行くと、十年前突然姿を消した事を謝る基子。だが殺人は絶対やっていないと訴えた。


晴樹は前原に、基子がかつて自分の家庭教師だった事を打ち明け、本件の担当に加えてもらった。
受験生だった晴樹にやる気がないのを心配した母親が、当時の緒沢まりあを家庭教師につけると成績はメキメキ上昇した。
だがその後突然姿を消した。失望しつつも進学を果たした晴樹。

晴樹と黒板は、基子の郷里を訪れ彼女の事を調べるが、極貧の母子で金と欲の醜い話ばかりだった。


晴樹は本件にのめり込み、婚約者の本宮泉美とも気まずくなる。
裁判の見通しが厳しいと予想する前原。そこへ本件被害者の意識が戻り、基子は犯人ではないと証言しているとの情報が入る。

裁判が始まり、第一被害者の阿川について弁護側が知人の証人を出し、自殺をほのめかしていた事を明らかにした。崖から突き落とされたという坂東についても、目撃者のハイカーの先入観だった事が判明。
最も大きいのは重体だった千倉。自分の煙草の不始末だと証言。


その結果基子は殺人については無罪、阿川の自殺ほう助については免訴を勝ち取った。控訴する検察側。
ホテルへ送ってもらうタクシーの中で晴樹の手を握り、いつ会ってくれるの?と言う基子。受験生当時、肉体関係があった二人。


そこに絡む晴樹の兄克樹。今は引きこもりの生活。
晴樹が受験生だった時の基子との肉体関係を知っていた。死んだ阿川は、克樹を引き抜いて転職させる寸前に死んだといういきさつもあった。その恨みもあり、検察側証人として出廷の可能性もある克樹。


更に、自分のせいだと言っていた千倉が、あの時基子が灯油タンクを倒して煙草を落とした事を思い出し、晴樹に話す。

一審無罪となった基子だが、記者会見の場で過去の金目当ての交際が蒸し返される。また内輪の祝賀会で、晴樹の婚約者 泉美を紹介されショックを受ける基子。
一方晴樹は、千倉から聞いた話に悩んだ。

殺人未遂の可能性もある・・・
そんな時に基子がホテルから姿をくらました。
また同じ頃、千倉が病院の屋上から飛び降りたとの知らせ。

基子は判決の後、千倉ときっぱり別れると宣言していた。

何とか基子の居場所を見つけた晴樹は、彼が受験生だった時既に阿川の恋人だったと知る。幸福になるためには金が必須。
だが晴樹を知って自分が恥ずかしくなり、去って行ったという。
その後も忘れられなかったと言う基子に、晴樹もまた同じだったと言い、キスを重ねる二人。


だがあの件はハッキリさせなくてはならない。

千倉に対する殺意がなかったかと問い詰める。
悪びれることなく基子は言った。金はないよりあった方がいいし、厄介者を殺したい気持ちはだれにでもあるでしょう・・・
怒りをぶつける直樹。

あなたはもう十年前に愛した「まりあ」さんではなく「犯罪者」


晴樹はその後、前原に千倉の証言を伝え、基子有罪と言い出した。

晴樹を担当から降ろす前原。
基子とキスだけはしたと言う晴樹に泉美は激怒するが、真実を語ったことでそれを許す。

再び結婚準備を進める二人に嫌がらせをする克樹。


基子も晴樹に電話をかけ続けるが無視される。
意識不明だった千倉が亡くなり、妻の文江は基子を憎む。
一方基子は海辺に家を建て、晴樹と共に暮らす妄想を募らせる。

故郷を出た後の、基子の人生が語られる。

働きながら大学の講座に潜り込んで知識を得た。
そして出会ったのが阿川。

男に気に入られて金を得るため、作り笑いを覚えた。
その頃出会った晴樹。元々は代役の家庭教師。

そして晴樹の前から消えた。
前の二人に比べて千倉は捨て身。切り捨てざるを得なかった。
世間が騒ぎ出し、逮捕されたところに現れた晴樹。

だがその晴樹が自分を責め立てる・・・

大切な聖プラクセディスの絵を切り裂き、泉美がウエディングドレスの試着をしている所に現れる基子。
その騒ぎをマスコミが嗅ぎつけ、自分から晴樹と肉体関係があった事を暴露した基子。
結婚の延期を余儀なくされる晴樹と泉美。

そんな二人に前に再び現れた基子が、晴樹の首を絞めようとするが、そこに千倉の妻文江が、基子をナイフで刺す。

基子を死刑に出来ないと聞いて殺しに来た。
その後も文江が基子の頭を打ち付けたため、基子は失明した。
症状も落ち着いた頃、見舞いに行った前原の前で涙を流す基子。

気持ちを整理し、基子の家に行った晴樹の前で海に入って行く基子。
「行っちゃダメだ!先生」と叫ぶ晴樹の声に振り返り、微笑む基子。

 

 

 

今日の一曲 

JUJU 「ラストシーン」 ジュジュ苑でのフルコーラス