映画シリーズ「男はつらいよ」 21~30作 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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シリーズ 1~10作   11~20作   31~40作 41~49作

BSテレ東の開局20周年特別企画として、2020年4月から1年間週イチで集中放映された。

10作単位で超あらすじをまとめて行く。
詳細を知りたい方はコチラ

キャスト(レギュラー)
車寅次郎               - 渥美清
諏訪さくら                - 倍賞千恵子
諏訪博                     - 前田吟
車竜造(おいちゃん)  - 下條正巳
車つね(おばちゃん)  - 三崎千恵子
諏訪満男           - 中村はやと(1~26作)、吉岡秀隆(27作~)
桂梅太郎(タコ社長)  - 太宰久雄
御前様                      - 笠智衆
源吉(源ちゃん)         - 佐藤蛾次郎

感想
盆と正月の定番映画として、盤石の地位を確立した時期。
配給収入は安定して10億を超え、ある意味関係者にとってプレッシャーにもなっていただろう。
基本は寅が美人のヒロインに惚れて振られるというパターンだが、若い男女の恋愛の後押しをする様な位置付けも散見される。
第23話で共演した田中裕子と沢田研二は、後に結婚している。

そんな中で浅丘ルリ子との「ハイビスカスの花」は、寅とリリーの新婚モドキが垣間見られて、ダメになるとの予感がありつつ応援したい気分になった。シリーズ最高傑作とも言われる。

渥美清亡き後、シーン追加して特別版「第49作」となった(ギネス記録としては48作まで)

印象的だったのが第27作。弟を訪ねた姉(松坂慶子)が彼の死を知って、残された模型飛行機を手に取る場面。

作りかけだが、その出来の悪いこと・・・


あと別の意味で印象的だったのが第29作。
陶芸家の家を辞めたかがりが戻った家を訪ねた寅。

その家があまりにもみすぼらし過ぎて、観ている方も暗たんたる気持ちになった。何といっても娯楽映画、やりすぎはアカんて。
満男役が、中村はやとから吉岡秀隆へ変更となった(27作~)。

元々泣かなかったことから乳児で抜擢されたが、結局俳優にはならなかった様だ(こちら




あらすじ
第21作「男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく」

1978年8月5日 配収 12.3億
例によって熊本 田の原温泉で金が足りなくなり、さくらに迎えに来てもらった寅次郎。
反省のためとらやでしばらく働いていたが、さくらの学友でSKD(松竹歌劇団)のスター紅奈々子(木の実ナナ)が訪れたことでレビューに入り浸る寅。


田の原温泉で一緒だった留吉(武田鉄矢)が農業シンポジウムのため上京して来たのを、レビューに誘い込む寅。
親しくなった寅に、好きな人がいると話す奈々子。

だがその一方結婚したら即引退だから出来ない、とも。
その晩、奈々子に誘われて二人で飲む寅次郎だが、そこに照明係の隆(竜雷太)が現れる。抱き合う二人。
全てを知って立ち去る寅次郎。
引退公演「夏のおどり」で、自分のために作られた「道」を歌う奈々子。さくらが観劇していたが、寅次郎もその場にいた。途中で退席する寅。

第22作「男はつらいよ 噂の寅次郎」

1978年12月27日 配収 11.6億
旅先で雲水から「女難の相」があると言われる寅次郎。

ダムで佇む娘 瞳(泉ピン子)に声をかけるが、貢いだ男に振られた話をまくしたてられ圧倒される。
その後のバスで博の父飈一郎(ひょういちろう:志村喬)と会い温泉宿に泊まる寅次郎。そこで「今昔物語」の講義を受け、本も借りる。
柴又に帰った寅は今昔物語の講釈をして、翌日出掛けようとするが、職安の紹介で勤め始めていた荒川早苗(大原麗子)に会うと出発を中止。


ある日、男性に付き添われて離婚届を役場に出した早苗。
ギクシャクしながらも寅次郎に優しくされ、次第に明るくなる早苗。
早苗の引っ越しを手伝う寅次郎に、従兄の添田肇(室田日出男)を紹介する早苗。
ある日とらやを訪れた添田は、不在の早苗を待っていたが、預金通帳と伝言を寅次郎に託した。そこに早苗が帰るが、すぐ立ち去る添田。
彼に職が見つかり、小樽に戻るという伝言を伝える寅だが、あの男はずっと君を好きだったんだと言って早苗に追わせた。
そして寅次郎は、また旅に出た。

第23作「男はつらいよ 翔んでる寅次郎」

1979年8月4日 配収 10.7億
北海道で、車の一人旅をしていたひとみ(桃井かおり)と知り合う寅次郎。その後別れ、ガス欠した際助けてくれた男(湯原昌幸)が豹変して襲われそうになるひとみ。それを助ける寅次郎。


ひとみはお嬢さまで、父親の会社で働く御曹司 邦夫(布施明)との結婚を控えていたが、気乗りせず一人旅をしていた。
日も過ぎ結婚式当日、お色直しの途中で式場を逃げ出したひとみは、とらやに逃げ込む。
たまたま帰っていた寅次郎は、さくらの報告を受けて訪れたひとみの母親に、しばらく彼女を預かると言った。
冷却期間を置くうち邦夫が来て、父親の会社を辞めて工場で働いていると伝えた。そのうち、寅次郎は邦夫と失恋ネタで酒を酌み交わす仲になっていた。
ひとみが邦夫のアパートを訪れた。結婚し損なった二人の再恋愛。
改めての結婚式は、勘当中でもありこぢんまりとしてはいたが、温かいものだった。
ひとみは挨拶で寅さんのおかげ、と話す。

第24作「男はつらいよ 寅次郎春の夢」

1979年12月28日 配収 12.2億
帝釈天の境内で座り込む外人マイケル・ジョーダン(ハーブ・エデルマン)を見かねた御前様が、彼をとらやに連れて来た。

たまたま満男の英語塾の教師めぐみ(林寛子)が母親圭子(香川京子)と来訪しており、圭子の通訳でマイケルが宿を探していると判明。

とらやの二階に下宿する事になったマイケル。


ビタミン剤のセールスをしているマイケルは失敗続きだが、とらやの皆は「マイコさん」と言って励ます。
帰った寅がアメリカ人は嫌いだと言い、さくらの兄だと知らないマイケルも険悪に。だが誤解は解け、友情が芽生える二人。
一方圭子と知り合った寅次郎は、彼女が未亡人と知り例によって入れ込む。
文化の違いを理解せず、さくらの手も握らない博に「愛してないのか」とマイケルに質問されたとめぐみが言った。
 

商売がうまく行かずアメリカに帰ることになったマイケルだが、思い詰めてさくらに「アイラブユー」と告白。

だが教えてもらった英語で毅然と "This is impossible." と言うさくら。
一方寅次郎は、圭子に結婚相手と言える立場の船長 柳田がいる事を知る。
帰国前のマイケルと上野の飲み屋で過ごす寅次郎。

第25作「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」

1980年8月2日 配収 12.5億
帰郷した寅次郎に、リリー(浅丘ルリ子)からの速達。

沖縄で倒れ入院しているという。
もう一度寅さんに会いたいとの言葉で、苦手な飛行機に乗って駆け付ける寅次郎。
寅の献身的な看護でリリーは回復して退院。漁師の家を借りて二人の生活が始まる。夜は母屋で寝る寅次郎だが、その仲睦まじさは村でも公認。


だがその一方で、地元の娘にも声をかける寅次郎と喧嘩になるリリーは、書置きを残して去ってしまう。それを知った寅次郎は、島伝いに鹿児島から陸路で何とかとらやに辿り着く。
行き倒れに近かった寅が何とか回復して、沖縄の様子を伝える。

リリーとの絆を強く感じるとらやの人たち。
そこにリリーが訪れる。誤解も解け、沖縄での生活が幸せだったと言うリリーに「俺と所帯を持つか?」と洩らすが、すぐ否定する寅。

結局それを冗談にしてしまったリリー。

第26作「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」

1980年12月27日 配収 13.8億
一戸建てを購入した博にお祝いを渡すため、源公から無理やり二万を借りた寅次郎。祝いの額が多いのに博が恐縮するあまり、例によってトラブルが起きる。
江差へ仕事で出向いた寅次郎は、仕事仲間が死んだ事を聞き奥尻島を訪れ、忘れ形見のすみれ(伊藤蘭)と出会う。


東京で、働きながら定時制に通いたいというすみれを連れてとらやに帰った寅次郎。
皆の支援で受験勉強をして編入試験に合格するすみれ。

教室に毎晩顔を出して馴染みになる寅。
そこへ北海道からバイクに乗って来た若者 貞夫(村田雄浩)。

すみれと恋人同士だったが喧嘩別れしていた。

一緒に暮らしたいという貞夫。
翌朝帰って来たすみれを叱る寅だが、貞夫との真剣な思いを知り励ます。

第27作「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」

1981年8月8日 配収 13.1億
瀬戸内海の小島で祖母の墓参りをするふみ(松坂慶子)と知り合う寅次郎。離婚した両親に代わって祖母が育ててくれた。


大阪で水中花の出店をやっている時、芸者姿のふみと会う寅。

喜ぶふみは芸者仲間と共に遊ぶ。
ある日ふみと宝山寺に行く寅次郎は、彼女に生き別れた弟が居るのを知る。是非会うべきだと言う寅は、その足で弟の勤務先の運送会社に行った。だが弟は先月急病で亡くなっていた。弟が住んでいたアパートに行き、作りかけの模型飛行機を手に取るふみ。
弟の恋人にも会い、彼が姉に会いたがっていた事も知る。
大事な接待の仕事のため戻ったふみだが、悲しみのあまり逃げ出し寅のところへ転がり込んだ。

泊めて欲しいというふみを残して別室で寝た寅。
翌日置手紙を残して居なくなっていたふみ。
柴又に戻った寅は、芸者に振られた顛末を語るが、そこに来るふみ。喜ぶ寅だが、約束をしていた板前と結婚して対馬に行くと聞き落胆する。

第28作「男はつらいよ 寅次郎紙風船」

1981年12月29日 配収 12.1億
大分 夜明の宿で家出娘の愛子(岸本加世子)と相部屋になった寅次郎は、その気っ風の良さを気に入り一緒に旅を続ける。
その途中テキ屋仲間常三郎(小沢昭一)の女房・光枝(音無美紀子)と会い、彼が臥せっている事を聞き見舞いに行く。

 

先が短い事を悟っている常三郎は、自分が死んだら光枝を
貰ってくれと頼む。病人の手前、それを受ける寅。
愛子とはそのまま別れた寅だが、愛子は寅を求めて柴又まで来てしまった。人あたりのいい愛子は皆の人気者。

そこへ愛子の兄 健吉が迎えに来る。一本気の漁師でとっつきは悪いが妹思い。マグロ一本を置いて愛子を引き取って行った。
寅次郎に光枝から連絡があった。

本郷の旅館で働いていると聞いて様子を見に行く寅次郎。
とらやへ来るように話す寅は、家の者に結婚を匂わせ、就職活動まで始めた。そして訪れた光枝。落ち着かない寅次郎。

帰りがけに、亡き夫との約束を聞いた?と尋ねる光枝に「病人の冗談に付き合っただけ」とごまかす寅。
そして寅次郎の恋は終わった。

第29作「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」

1982年8月7日 配収 10.4億
京都で、たまたま老人加納(片岡仁左衛門)の下駄の鼻緒を直したことで気に入られた寅次郎は、自宅へ招待される。

彼は人間国宝の陶芸家。
内弟子の近藤(柄本明)をからかう寅は、そこの女中かがり(いしだあゆみ)に一目惚れ。


加納の元弟子だった蒲原が、出資者の娘との結婚を報告に来たが、彼は以前かがりとの結婚を匂わせていた。
加納が、何も言わなかったかがりを叱責したため、彼女は実家の丹後に帰った。かがりの様子を見て来てくれと頼む加納。
 

かがりを訪れる寅次郎。母と、幼い娘との貧しい暮らし。一泊する寅次郎だが、惹かれながらも寝間を訪れたかがりを拒絶してしまう。
葛飾に戻った寅次郎は、その反動で寝込んでしまう。
そこへ友達と訪ねて来たかがりは、寅次郎に言伝を渡す。
それは鎌倉あじさい寺でのデート。寅は満男を無理やり同行させた。
緊張のあまりいつもの軽口も出ない寅。別人みたい、とかがり。
品川で別れ、大阪に帰って行ったかがり。悔やむ寅も旅に出た。

第30作「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」

1982年12月28日 配収 15.5億
大分 湯平温泉で、母の遺骨を郷里に持って来た青年三郎(沢田研二)の話を聞いて心打たれた寅次郎は、働いていたという宿で法事の手助けをし、そこで知り合った螢子(けいこ:田中裕子)とゆかり(児島美ゆき)にも参列させた。その後この四人で三郎の車に乗り観光。

三郎は螢子に惹かれていたがうまく言えず、大分で別れる。
葛飾まで寅次郎を送った三郎は、螢子の事をよろしくと頼んだ。
螢子が旅行の写真を持って来たことで、三郎の事を伝える寅次郎だが「二枚目すぎる」と断る螢子。
何とか会う機会を作ってやった寅だが、三郎は働いている動物園のチンパンジーの話をするばかり。
この先を不安に思う螢子に、寅次郎が三郎の心を代弁する。
観覧車の中で、とうとう「好きや」と言えた三郎。