シン・エヴァンゲリオン劇場版:||  2021年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

 

過去作品は「アニメ系」から拾って下さい→コチラ

 

監督             庵野秀明(総監督)
                    鶴巻和哉  中山勝一  前田真宏
原作             庵野秀明
製作総指揮  庵野秀明
音楽             鷺巣詩郎
主題歌         宇多田ヒカル「One Last Kiss」

                                       「Beautiful World (Da Capo Version)」
 

 

感想
新劇場版として「序」「破」「Q」まで辿り着いてから、9年待たされた。
その間「シン・ゴジラ」なんて寄り道したから十分回復したのだろう(監督メンタルとして)
NHKの「プロフェッショナル」観ると、それでも随分苦しんだのだなぁ、と思う。

さて本編
予告として事前公開されていたNERVユーロ支部の復元を経て、「Q」の直後アスカ、レイ、シンジの三人がトボトボ歩くところから始まる。
9年という月日がなかった事にされるのは、いささかツラいが・・・
KREDITの第3村で始まる暮らしは、このロボットアニメの中で「トトロ」的な雰囲気さえ醸し出す。
6番目のレイ(アヤナミとする)の「これ何?」攻撃はちょっとしつこい。NERVでゲンドウや冬月は、なーんにも教えなかったんだ・・
シンジのヘタレぶりにも閉口。それにしても今回アスカまでクローンだったと明かされるが、その割りに「バカシンジ」健在で圧倒される。

一年半前に公開されたユーロネルフ支部奪還のシーンや、ヴンダーとNERV戦艦との戦いはエヴァ映画のお約束でキレのいい展開。
ただ初号機と第13号機の戦いは、その場所がマイナス世界だけにシチュエーションが目まぐるしく変わり、混乱する。

そしてシンジと父ゲンドウとの会話により、今までTV版、旧劇場版でも語られた「人類補完計画」が総括されて行く。
その中には旧劇で、人類が一つになろうとするのをシンジが否定した件も復活。
父ゲンドウの弱さが、自らの口から吐露される。
大人になったら、まず他人には明かさないことを息子の前で話す。

自分に照らし合わせて考えると、身の毛もよだつ。
子供の存在が自分に対する罰だと思う感覚。

これは弱っていた時の自分にも一時あった。

「人類補完計画」を隠れ蓑にして、妻ユイとの再会を願うゲンドウ。
だが人の死を受け入れ、その思いを受け取るシンジの中にユイを見つける。
26年間ループし続けていた「人類補完計画」にも切れ目が出来て、ようやく出口に向かった。
決着のつけ方としては、まあ上出来ではないだろうか。
だが庵野クン 「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」と「シン・○○シリーズ」が商業ベースに乗ってウハウハだな・・・・
更に「シン・ドラえもん」とか?

伏線回収あれこれ
岡田斗司夫ゼミ
・シン・エヴァは「帰納法」(普通は演繹法)
・アスカの「ののしり」は実は励まし
・レイが死ぬことがシンジの復活に繋がる

 →願いを叶えるための犠牲(ミサト、冬月も)
・後半のダサい集団劇は「火曜サスペンス」
・あちこちオマージュてんこ盛り。元ネタへの信仰心。
・わんこの意味

 →最後にマリがDSSチョーカーを外したのは「忠犬だから」

 ポケットに入れたのは、いつでも飼い犬に戻すため(マリはモヨ子)
ラストシーン各キャスト  伏線回収5選


あらすじ
導入

5分で分かる「序」「破」「Q」

前作(序、破、Q)のシャッフル再生
・逃げちゃダメだ・・
・あなたは死なないわ、私が守るもの
・彼は逃げずにエヴァに乗りました。託すべきです
・こういう時、どんな顔すればいいか分からない
・笑えば、いいと思うよ
・運命を仕組まれた子供たち、か
・あんたバカぁ? 
・エヴァに乗って嬉しい人もいるんだ
・良くやったな、シンジ
・綾波を・・・返せ!
・行きなさい!シンジ君!
・私が消えても、代わりはいるもの
・サードインパクトが始まる。世界は、終わるのよ
・碇シンジ君、あなたはもう、何もしないで
・あれから14年経ってるってことよ
・私達はヴィレ、NERV潰滅を目的とする組織です
・第13号機、時が来たらこの少年と一緒に乗れ
・全てのきっかけは君なんだよ
・あの時助けたよね?
・みんなのために槍を手に入れる!そうすれば世界は戻る
・何なんだよ、これ・・・
・フォースインパクト。始まりの儀式さ
・僕が槍を抜いたから・・・・・
・ほんっとに、ガキね
・償えない罪はない。希望は残っているよ、どんな時にもね・・・


本編

概要


真っ赤になったパリの市街地。
アンチLシステム起動を目的とした工作艇「DSRV」がエヴァ8号機と共に斜塔へ降下。クルー5名が作業開始。作業可能時間は720秒。
そこにエヴァ42A航空特化タイプが隊列を組んで飛来。

マリの8号機が次々に敵を倒して行くがキリがない。
次いでボスキャラの陽電子砲搭載 陸戦用後方支援機44Cの出現。
幾重にも連なる戦艦の防御を弾き飛ばした。
倒れたエッフェル塔を掴んで44Cに突っ込む8号機。敵は殲滅された。
ロックが解除され、パリ市街ユーロネルフ支部の復元が開始された。
「カチコミ完了」とヴンダー艦長のミサトに報告する副長のリツコ。
「これで2コいち型2号機の新造と、オーバーラッピング対応型8号機への改造が出来るニャン」
「どこに居ても必ず迎えに行くから、待ってなよ、わんこ君」とマリ。

前作「Q」のラストからの続き
シンジ、アスカ、アヤナミ(ただし「破」でのレイとは別人格)はアスカ主導で人の活動可能地を目指す。


途中でへたり込むシンジ。そこへ車が到着した。
シンジが目を覚ますと、そこに大人になった鈴原トウジ、相田ケンスケ、ヒカリが居た。

ここはヴィレの支援組織KREDIT(クレイディト)が作った「第3村」
トウジとヒカリは結婚し、娘のツバメと暮らしていた。


ヒカリが綾波さん?と聞くと否定するアヤナミ。「じゃあそっくりさん」
ツバメを見て「これ何?」と驚くアヤナミ。
そこに来たケンスケ。三人を連れて来たのは彼。
こいつがサバイバルヲタクのおかげで助かったというトウジは、医者。

ケンスケとアスカが暮らす家に落ち着いたシンジ。
アスカが付けているDSSチョーカーを見て、カヲルの最期を思い出し吐くシンジ。
甘やかしすぎだと言うアスカに

「生きててくれるだけで嬉しい」とケンスケ。

トウジの家で世話になっているアヤナミは「おやすみって何?」「おはようって何?」状態。
彼女を農家のおばさん達に預けたヒカリ。早速田植えの手伝い。


仕事のあとは風呂。服のまま入ろうとして止められる。
「L.C.L.と違ってポカポカする・・・」

相変わらず閉じこもり状態で、クレイション(高カロリー食材)を食べないシンジにイラ付くアスカ。
あんたはまだリリンもどきだから、食べなきゃ生きていけない。
親のいいつけとはいえ、その程度の精神強度でエヴァに乗って欲しくなかった・・・   そのまま家を出て行くシンジ。
ケンスケが帰ってシンジの事を聞くと「家出した」とアスカ。
行き先は北の湖の廃墟(NERV施設の跡地)と聞いて「これも縁か」

農家の手伝いにも慣れて来たアヤナミはおばさんたちに、名前つけたら?と言われる。名前つけていいの?・・・
アスカを訪れ、シンジの居場所を聞くアヤナミ。
彼女を「初期ロット」と呼ぶアスカは、あんたたちアヤナミシリーズは第三の少年に好意を持つよう醸成されてると言った。

アヤナミがシンジを訪れ「拾ったものは返す」とS-DATプレイヤーを渡そうとするが、払いのけるシンジ。アヤナミはアスカから託されたクレイションを置いて去る。その後、泣きながらもそれを食べるシンジ。

何度となく食料を持って行くアヤナミは、なぜ村に戻らないの?と聞く。
自分が何もかも壊したのに、なんでみんな優しいんだよ!と叫ぶシンジ。
碇君が好きだから、と言って手を出すレイ。

そして握手「なかよくなるためのおまじない」

ケンスケの家に戻ったシンジに、一通り悪態をついたアスカ。
「動けるようになったんなら、ケンスケを手伝え」

ケンスケと車で出るシンジ。今日は外郭のインフラと環境チェック。

生活基盤となる水の確認の後、黒い大きな柱を訪れる。
「相補性L結界浄化無効阻止装置」これのおかげで村がコア化されずにすんでいる。ミサトさんたちのおかげ。
最近、ずっと置き去りにされていた首のないエヴァが動き出した。

今日はその監視。

名前がまだ決まっていない事に「いっそ誰かに決めてもらいな」とおばさん。シンジに、名前を付けて欲しいと頼むアヤナミ。
初期ロット、ちゃんと動いてる?とシンジに聞くアスカ。

・・・・アヤナミの腕に出たメッセージ。

そう、私はNERVでしか生きられない・・・

トウジたちの話を聞くうちに「ニアサー」以降の大混乱の中、彼らが早く大人になって非合法な事にも手を染めて来た事を知るシンジ。

医者としての彼も「独学の人助け」
ケンスケの父の墓参りに付き合うシンジ。一度は父親と話せと言うケンスケに「あの碇ゲンドウじゃ、荷が重いわよ」とアスカ。
「しかし、親子だ。縁は残る」

L結界密度の低い部分の復元を行っている場所で、加持リョウジという少年を紹介されるシンジ。
後でケンスケが、ミサトさんと加持さんの息子だと言う。14歳。

本人は両親の事を知らない。
加持はサードインパクトを止めるために命を落とした。 

朝、アヤナミの姿が見えないのに気付くヒカリ。メモが残っていた。
「おやすみ おはよう ありがとう さよなら」
シンジの前に顔を出すアヤナミ。「会いたかった」
S-DATプレイヤーを出すと、今度は「ありがとう」と言って受け取るシンジ。

 

頼まれていた名前は思いつかず「綾波は綾波だ」
村での経験を振り返ったアヤナミ。

その後プラグスーツが黒から白に変わったかと思うと、一瞬で彼女の体がL.C.L.化してプラグスーツが崩れた。
慟哭するシンジ。

ヴンダーが寄港し、アスカが乗艦する。
僕も行くよ、と言うシンジは「じゃあこれ、規則だから」
アスカから注射を打たれて気絶するシンジ。

目覚めた時に見えたのはトウジの妹 鈴原サクラ。
アホー!碇さんのドあほー、と言って泣くサクラ。
女房か、アンタは、とつっこむアスカ。
脱走者として監禁措置が取られるシンジ。
クルーの北上ミドリは、式波少佐はいいが何であの疫病神が一緒なんだと怒る。彼女の家族がニアサーで皆殺しにされた。
ニアサーは結果だ、彼の意思じゃない、との声にも耳を貸さない。

「お帰りー、姫」と帰還を喜ぶマリ。わんこ君との進捗どうだった?の問いには「ガキに必要なのは恋人じゃない。母親よ」

副長リツコが、艦長ミサトがいつもいる場所へ行った。
ここは、本艦の本来目的である、あらゆる生命の情報とその保護のためのエリア。


加持にとっては人類という種よりも、補完計画の巻き添えで消えてしまう多様な生命体を残す事が重要だった。そのためにこれらを地球圏外に避難させる。その計画実現のためのヴンダーをNERVから強奪した。
最期は自らが命を捨ててサードを止めた加持。
だからこの船を人類補完の阻止に使わせてもらう・・・

NERV本部が移動を開始したとの報告。

黒き月の旧爆心地跡に進行中。


冬月が言う。フォースインパクトの要は黒き月の復活。
アドバンスド・アヤナミシリーズの再生。

人が人を再生する「人類補完計画」
その傲慢の行く先がこれとはな・・・
第三の少年はヴィレに戻り、アヤナミタイプのNo.6は消滅した。

自分と同じ喪失を経験させるのも息子のためか?碇。

シンジの様子をチェックするリツコとミサト。

本心では戻って来てくれて喜んでるんでしょう?とリツコ。
ミサトを甘やかすとロクな事がない。私の経験よ。

NERV本部が第13号機の再起動に向けて動き出した事を察知したミサトは、全艦に発進準備を命じる。
クルーたちは、VERVから決起した時の敵味方識別用バンダナを腕に巻いた。ミサトも加持の形見になったそれを巻く。
出撃準備を整えるアスカとマリ。

 

アスカが寄り道をしたいと言った。
シンジに挨拶するマリ。アスカは14年ぶりに再会した時、なぜ殴ろうとしたかを聞く。

助けることも、殺すことも出来なかった、責任を負えない自分だったから・・・
後でスッキリした?とマリに聞かれて頷くアスカ。


準備が進むヴィレ艦隊。艦長より通達。
フォースインパクト阻止のため、旧南極爆心地跡に在留中のNERV本部を急襲、儀式トリガーのエヴァ13号機無力化を目的とする「ヤマト作戦」を決行。決戦にあたって全ての、種の保管ユニットを射出。

L結界境界面を前に敵の攻撃が始まる。

何とか潜航可能ポイントに到達して潜航開始。
だが強化された戦艦群に阻まれる。
L結界の第一層から第三層まで行く間にも、無数のエヴァインフィニティの攻撃。
敵艦に挟撃されて窮するヴンダーだが、3番艦と態勢を入れ替え、それを盾に使うミサト。
「相変わらず無茶をする」と冬月。
第三層に突入しNERV本部を確認するが、既に黒き月の下方にシフト。
黒き月を盾にして突入するコースを取り、被弾面積を最小に抑えるための傾斜。そして誘導弾発射。
第13号機を確認し、エヴァ両機の発進。


NERV側の繰り出すエヴァ7号機の群体。尋常でない数。
ライフルを乱射し、次の武器を要求するアスカの新2号機。

支援する改8号機のマリ。
とうとう見つけた第13号機はまだ起動前であり、持参した強制停止プラグを打ち込もうとするアスカ。

だが自身のA.Tフィールドに阻まれる。何かおかしい・・・・

ゼーレのシナリオにはない、私たちの知らない儀式。
アナザーインパクトという訳か。
NERVの計画は全て叩き潰す!と3番艦に攻撃を集中するミサト。

だが敵の計画がまだあったと記憶していたリツコ。
突然ヴンダーが両舷の主翼を貫通された。敵4番艦の二双の艦首が突き刺さった。罠に嵌った。

一方アスカは全リミッターを解除し「裏コード999」を発動。眼帯をしていた左目から封印柱を取り出し、システムに注入。
「姫!ヒトを捨てる気?」とマリ。
A.Tフィールドを中和してプラグを打ち込もうとするが、第13号機が起動。アスカの前に「シキナミシリーズ」のオリジナルが現われる。
アスカが第13号機に取り込まれた。
新2号機パイロットの信号が全てロスト!の報告。

ヴンダーに敵エヴァが取り付く。オップファータイプでパイロットごと新造のMk9。艦内への侵食が続き、コントロールも乗っ取られる。
艦首甲板上に侵入者確認!
碇指令だった。対峙するミサト、リツコ。
この船は私たちが使わせてもらう、と言うゲンドウを躊躇なく撃つリツコ。だが倒れない。割れたバイザーの奥に目はなく空洞。


ネブカドネザルの鍵を使い、望んで人を捨てたか、とミサト。
情報を自分の体に書き替えただけ・・・
私が神を殺し、神と人類を紡ぎ、使徒の贄を以て人類の進化と補完を完遂させる。
「そのためにアスカを使い捨てるのか!」とミサト。
アヤナミとシキナミ型パイロットはこのためのもの。

セカンドインパクトによる海の浄化。サードによる大地の浄化。

そしてフォースによる魂の浄化。
エヴァインフィニティのコアとは魂の物質化。人類という種の器を捨て、その集合地を汚れなき楽園へといざなう、最後の儀式だ。
セカンドインパクトと引き換えに自らの仮説を実証した、君の父上葛城博士の提唱した「人類補完計画」だよ。
父の世迷いごとは必ず止めてみせます。

使徒に滅ぼされるか、永遠に存在する神の子となるか。

NERVの人類補完計画は後者を選んだ。
私たちは神に屈した補完計画でなく、希望のコンティニューを選びます、とリツコ。
これで全てのフォースマンは揃った。

では預けていた初号機を返してもらおう。

「父さん!」と監禁から解放されたシンジが声をかけるが、ゲンドウは第13号機に取り込まれ、ガフの扉の向こうに消えた。
扉の向こうはヴンダーが手出し出来ないマイナス宇宙。
万事休すね、とリツコ。
「僕がエヴァ初号機に乗ります」とシンジ。
ミサトさんが背負っているもの、半分引き受けるよ。

僕は僕のおとしまえをつけたい。
だがそこでミドリが、冗談じゃないと言ってシンジに銃を向けた。

あんたが起こしたニアサーのおかげで私たちの人生メチャメチャ・・・
だが別のところから銃声。サクラだった。
碇さん、エヴァに乗ってみんなを不幸にして・・・ガマンして下さいっ!
そして再び銃声がして、シンジを庇ったミサトの腹に当たった。

動転するサクラ。
14年前、あなたがエヴァに乗らなかったらその時私たちは滅んでいた。
全ての責任を持つから、シンジに託したいとミサトは言った。
そしてシンジに向く。
「碇シンジ君、父親に息子が出来る事は、肩を叩くか殺してあげる事だけよ。加持の請け売りだけど・・・」
ミサトの息子に会ったことを話すシンジ。

マリと共に初号機へ向かうシンジ。
アンチLシステムが止まる前に第13号機を破壊するというミッションを説明するマリは、その中にアスカの魂が残置されている可能性があるから、お願い!とシンジに託す。
初号機のコックピットに残るレイの思念。
「ありがとう綾波。あとは僕がやる」「うん、お願い」

初号機が起動したのが確認されたが、そのシンクロ率は「0!」と驚くミドリ。「それに最も近いのは∞(無限大)」とリツコ。
マイナス宇宙を進み、互いのエヴァで父と対峙するシンジは、絶望の槍「ロンギヌス」から変形した希望の槍「カシウス」を持つ。
もう一つの「ロンギヌスの槍」を持つ父の第13号機。



二者の戦いが続くが、初号機は劣勢。
負けを受け入れないシンジに「回り道をしよう」とゲンドウ。
第13のエヴァは、希望の初号機と対をなす絶望の機体だ。

これも必要な儀式。
諦めるよう説得するゲンドウに「話がしたい」とシンジ。

ヴンダー上で検討するリツコとミサト。ゲンドウが槍を二本とも使い捨てると、シンジが発動を止める術がなくなる。
私たちが新しい槍を作って彼のもとへ届ける、とミサト。
カナメは脊椎結合システムにあり、退艦命令を無視したクルーたちが作業を分担。

戦闘をいったん中断し、ゲンドウとシンジは記憶の中のセントラルドグマへ降りた。そこにあったのは黒いリリス。

ゲンドウはそれをエヴァンゲリオンイマジナリーだと言った。

葛城博士が予測した、想像上の架空のエヴァ。
虚構と現実を同時に信じられる人類だけが認知できる。
絶望と希望の槍が互いにトリガーと贄となり、これでアディショナル・インパクトが始まる。
私の願いが叶う、唯一の方法だ。
エヴァイマジナリーの仮面が外れ、レイに酷似した顔が現れる。
エヴァインフィニティの肉体が、次々と首なしレイの姿になって行く。

ようやく始まったな、と冬月。
「冬月先生、お久しぶりです」と姿を現すマリ。
ゲンドウの願いを叶えてやりたいという冬月に、人類全てを巻き添えにするのはゴメンだと言うマリ。
欲しいものは集めてある。イスカリオテのマリア君、と言う冬月。
おさらばです、と去るマリの後でL.C.L.に還元される冬月。
用意されていたオーバーラッピング用の9、10、11、12号機を8号機に取り込んだマリ。これでマイナス宇宙への突入が可能になる。

槍が出来た後、全員に退艦を命じるミサト。これを送り届けるために誰かが発動させなくてはならない。「本艦の責任者は私です」
子供たちをリツコに託す。
電磁力が足りず、昔ながらの反動推進型エンジンを起動するミサト。
ヴンダーが動き出したのを知って、合流準備を始めるマリ。

「父さんは何を望むの?」と聞くシンジ。
お前が選ばなかったA.Tフィールドのない、全てが等しく単一な人類の心の世界。浄化された魂だけの世界。

そしてユイと私が再び会える安らぎの世界だ。
ユイ!どこだ、どこなんだ?
もうやめようよ。
なぜだ?なぜシンジがここにいる?
父さんのことが知りたいから。

寂しくて、いつも父さんに近づかないようにしていた。
嫌われてるのがはっきりするのが怖かったから。
でも今は知りたい、父さんのこと。
この私に・・・まさかシンジを恐れているのか、この私が。
これは捨てるんじゃなくて、渡すものだったんだね。
S-DATプレイヤーを渡すシンジ。

父さん、僕と同じだったんだ。
ああ、そうだ。ヘッドホンが外界と私を断ち切ってくれる。
無関心を装い、ノイズから私を守ってくれた。
だがユイと出会い、必要なくなった。
そして子供が生まれた。 男だったらシンジ、女だったらレイ・・・
親の愛情を知らない私が親になる・・・
私は人の繋がりを恐れた。幼い頃から孤独が日常だった。
他人といるのが苦痛。常に一人でいたかった。
好きなものは二つ。

知識は心の飢えを満たしてくれた。もう一つはピアノ。
調律された正しい音を返してくれる。そこに嘘はない。
だがユイと出会い、私は生きているのが楽しい事を知った。
ユイを失った時、それに耐えることが出来なかった。
私は、私の弱さゆえにユイに会えないのか、シンジ。
その弱さを認めないからだと思うよ(子供の姿のシンジ)
そこにミサトの姿が現れる。実世界に出現したエヴァイマジナリーに激突したヴンダー。作った槍「ガイウス」はマイナス宇宙に届けられた。
人類は、神の手助けなしにここまで来てるよ、ユイさん、と言うミサト。
それを受け取るシンジ。
ユイに会えぬまま、新たな槍がここに届くか・・・残念だ。
他人の死と思いを受け取れるとは、大人になったな、シンジ。
ユイを再構成するためのマテリアルとしてシンジが必要か否か、最後まで分からなかった。願いを叶えるには苦痛が伴う。
子供は私への罰だと感じていた。
会わない方が子供のためになると信じていた。
すまなかった、シンジ。改めてシンジを見るゲンドウ。
そうか、そこにいたのか。ユイ。
全てを悟ったゲンドウは去って行った。

カヲルが出て来て、ここからは僕が引き継ぐと言った。
僕はいいんだ。アスカやみんなを助けたい。
そうだった。君はイマジナリーではなく、リアリティの世界で既に立ち直っていたんだね。
イメージの中で第13号機に捉われているアスカ。ホントは寂しい、ただ頭を撫でて欲しかっただけ・・・
いいんだ、アスカはアスカだ。それだけで十分さ。
ありがとう、ボクを好きだと言ってくれて。ボクもアスカを好きだったよ。
エントリープラグと共に現実世界へ戻るアスカ。
「姫、お達者で・・・」と声をかけるマリ。

カヲルと話すシンジ。
僕は君だ、僕も君と同じなんだ。だから君に惹かれた、とカヲル。
そう、カヲル君は父さんと似てるんだ。

だから同じエヴァに乗っていたんだね。
泣かないシンジに驚くカヲル。
うん、涙で救えるのは自分だけ。他のだれも救えない。

だからもう泣かない。
少し寂しいけど、それもいいね、とカヲル。
 

第13号機と初号機の廃棄を提案するカヲルに同意するシンジ。
君の幸せを誤解していた、と言うカヲル。
そこに加持が姿を現す
「ええ、それはあなたの幸せだったんです、渚指令。あなたが幸せになりたかったんです」
「僕は定められた円環の物語の中で、永遠に演じ続けなくてはならない」と言うカヲルに、子供のシンジが

「なかよくなるおまじないだよ」と手を差し出す。
相補性のある世界を望むシンジに感動するカヲル。
だからこそあなたが彼を選んだのです、と続ける加持。
リョウちゃん、カヲルって呼んでよ、の注文にも動じない加持。
あとは彼に引き継いでもいいでしょう、と話しながら二人で去って行く。

残っているのは君だけだ。綾波。
「私はここでいい」
アスカも戻ったら新しい居場所に気付く。エヴァに乗らない幸せ。
だから、ここじゃない君の生き方もあるよ。  そう?
そうだ。僕もエヴァに乗らない生き方を選ぶよ。
時間も世界も戻さない。

ただ、エヴァがなくてもいい世界に書き換えるだけだ。

新しい、人が生きて行ける世界。

世界の新たな創成、ネオン・ジェネシス。碇君。ありがとう!
やってみるよ、綾波。ネオン・ジェネシス!

綾波?いや違う。この時のためにずっと僕の中にいたんだね、母さん。
やっと分かった。父さんは、母さんを見送りたかったんだね。

それが父さんの願った「神殺し」

さようなら、全てのエヴァンゲリオン

マリの8号機が現れる。
「よっしゃー、間に合った。ぎりぎりセーフね」 「マリさん!」
相棒に感謝するマリ。
ありがとう、8+9+10+11+12号機。

ごくろうさま。最後のエヴァンゲリオン。

駅のホームで座っているシンジ。成長している。
後ろから目を隠される。「だーれだ?」
「・・・胸の大きい、イイ女」

 

ご名答。うーん、相変わらずイイ匂い。大人の香りってやつ?
「君こそ相変わらずかわいいよ」
「ホホぉ、いっぱしの口をきくようになって」

シンジの首のDSSチョーカーを外してポケットに入れるマリ。
「さ、行こう、シンジ君!」

「うん、行こう!」
手を繋いで階段を駆け上がる二人。