1集を観て「まあ、こんなもんか」と記事化はパスしていたが、2集も観たので思い直してレビュー。3集の放送は 7/8の予定。ナビゲーターの高橋一生がけっこうチャーミング。6/8に再放送される(1、2集)
第1集「こうしてヒトが生まれた」 4/8放送
ナビゲーター:高橋一生、アナウンサー:久保田麻由子
現人類の祖先であるホモ・サピエンス。猿からヒトへの進化で約20種類から集約されて行った。
道を開いたのは最古の人類「アルディピテクス・ラミダス」。120cm
440万年前のラミダスは、骨盤の形から二足歩行していたと推定される一方、樹上生活もしていた。
大地の大変動により山脈が出現。木がまばらになり、果物の入手困難。果物が持てる事で二足歩行が有利に。
ラミダスでは犬歯が小さくなっている。犬歯は武器(メスを巡っての争い)。一夫一婦制。争う代わりに子育てに注力→家族を持つ人
一夫一婦制はメスにとって有り難い。馬場悠男(国立科学博物館)氏は、進化が偶然で起こる事が多いと話す。
その後生き残ったのが「アウストラロピテクス・アファレンシス」(370万年前)150cm。ほぼ地上生活に適応。
アファレンシスは、ヒョウに襲われる弱い存在。
集団が頼り→仲間を持つ人
その後ホモ属とパラントロプス属に分化。パラントロプスの方がアゴが頑丈で噛む力が強かった。だが残ったのはホモ属。
ホモ属はハイエナ等から食べ物を横取り。骨髄を食べるために石で骨を割った。
割れた石がナイフになる→道具を持つ人
ホモ属が発展し180万年前に「ホモ・エレクトス」となる。180cm。
生き残りの切り札→狩り。確実に肉を手に入れる。
走るのが得意。残った骨の分析で大殿筋が付いていた事が判明(優れたランナー)。体毛が薄いため長距離が走れた(汗をかく事で体温調節)。体毛があると体温下げられず熱中症に。
多くの毛のある動物は長時間走れない。
ドマニシ遺跡から出た歯のない老人の骨。介護されていた。栄養豊富により脳が発達し、思いやりの心が生まれた→心を持つ人
ホモ・エレクトスはその後アフリカを出てアジア各地に散る(ペキン原人、ジャワ原人の祖先)。
アフリカに残った者は、その後ホモ・ハイデルベルゲンシスとなり、欧州に進出した者がネアンデルタール人になる。
アフリカに残った者はホモ・サピエンスになった。
その後19万年前に地球規模の氷期が来て、ホモ・サピエンスは絶滅の危機に瀕する。アジアは温暖でペキン原人たちには影響なく、ネアンデルタール人は早期に寒冷に適応した。
アフリカのホモ・サピエンスは南に逃れた。
南アフリカ南端のピナクル・ポイント。洞窟にホモ・サピエンスの痕跡(古代の炉の跡)。
貝殻が見つかった。今まで口にしなかったもの(ムール貝)。ムール貝はこの辺りでしか取れない。
当時のホモ・サピエンスは1万人以下にまで減少。
その証拠が我々の遺伝子に刻まれている。人口が70億人も居るのに、遺伝子の違いが少ない。
人口の激減で遺伝子の多様性が少なくなった。
見慣れぬ食べ物を口に入れる好奇心が生き残りに繋がった。
感想
人類が猿から人間になったのは、道具を使って相手を殺す事を知ってから、と説くのは「2001年宇宙の旅」・・・
もともと道具を使う事がきっかけだったというのが定説だが、今回の番組で、様々な要因があって辿り着いたのだと再認識。
それにしても、その多くが「偶然」によるものだったというのには驚き。
最終的に人類の祖先となったホモ・サピエンスも、一時は絶滅に瀕したのが、たまたま貝を食べる勇気のために生き延びた。
御先祖様に感謝、てか?
第2集「最強ライバルとの出会い そして別れ」 5/13放送
ナビゲーター:高橋一生
ネアンデルタール人は欧州で進化。ホモ・サピエンスはアフリカで進化。遠い親戚であり最大のライバル。
どう出会ったのか?
エルサレムのマノット洞窟。5万5000年前のホモ・サピエンスの暮らしの痕跡が見つかる。その先40kmほどにネアンデルタール人の痕跡。
ネアンデルタール人の集落にはストーンヘンジ。脳も大きく、従来定説より知的な存在。
ネアンデルタール人は寒冷に適応するため、胴長短足(アレンの法則)。狩りは肉弾戦(骨に傷)。家族単位の小さな集団。
ホモ・サピエンスは道具の革命により狩猟を進化(アトラトル:投擲補助具)。複雑な石器の開発。
100人規模の集団で情報を共有(4万3000年前)。
食べ物の違い。
ネアンデルタール人は肉主体。ホモ・サピエンスは木の実、果物等も含むバランス良い食事。
ロシア、ウラジーミル。ホモ・サピエンスは400人の集団で暮していた(社会)。装飾品は死者の埋葬に使われた。原始的な宗教。死後の世界を想像する力を付けた。宗教が絆を深めた。
大規模な気候変動(ハインリッヒ・イベント)により10年単位で暑さと寒冷の繰り返し。
ホモ・サピエンスは数千人の社会により食料危機を乗り切った。
ネアンデルタール人は生息域を狭め、孤立して行く。狩りで命を落とすため、ほとんど30代で死ぬ。
体が大きいため維持に大量のエネルギーが必要(あだになった)。
ジブラルタルがネアンデルタール人最後の地。最後の一人はとてつもない孤独。刻まれた線(ハッシュタグ)。
意味は不明だが、痕跡を残して姿を消した。
悲しい終わり方。ライバル同士の直接対決はなかった。人類最初の戦争はホモ・サピエンス同士。
ネアンデルタール人のDNAは今のヒトにも受け継がれている。
ドイツ、ライプチヒ。マックス・プランク研究所。骨からネアンデルタール人のDNA復元に成功。アジア、欧州の人に2%程度のネアンデルタール人のDNAが含まれる。
サハラ砂漠以南のアフリカ人にはほとんど含まれない。
アフリカを出たホモ・サピエンスがネアンデルタール人と交わり、世界中に広がった。
ネアンデルタール人との混血は、例えば家族とはぐれた少女が引き取られて暮すうちに、その集団の子供を産むというケースが想像される。
ネアンデルタール人の遺伝子は、ウィルスに対する免疫、白い肌等ホモ・サピエンスにとってポジティブな影響を与えている。
高橋一生のDNA分析。ネアンデルタール人の割合は2.3~2.4%。日本人のほとんどが2%程度持っているという。
感想
ネアンデルタール人は凶暴で頭が悪い、学生の頃に刷り込みがあったので、今回の番組にはびっくり。
体力、知能も優れていたネアンデルタール人が生き残れなかった要因が「集団力」とは象徴的。
ヒトをヒトたらしめているのが社会性だとすると、人とのコミュニケーションが苦手な者にとっては辛い事だ・・・・
第3集は7月8日放送予定。