読書感想4 | 預言者のコラム2

預言者のコラム2

俗言ではなく、預言者の視点から哲学、
人生、宇宙、宗教、
時事問題などを語って行きます。

「湖底のまつり」

泡坂妻夫。本屋であらすじを読んで面白そうだと、読むことにしました。この作者は古い人で名前だけは知っていましたが、読んだことはありません。「乱れからくり」は映画化され、松田優作が出ていたので、タイトルだけは知っていたという感じです。

本作は、田舎の湖で溺れそうになった所を若い男に助けらえた女、一夜を共にするが翌朝、男は消えている。探すが村の人たちはその男は数年前に亡くなっているという。

話は違う人物のエピソードを交錯し、何がどうなっているのだろうと思わせる。そのため興味深く読み進めることは出来る。
私の感想としては、「よくできた小説」というもの。しかし好きかというと、好きではないかな。

というのも、好感の持てる登場人物がいないということ、作者はトリックに溺れていると感じたということ、再読はしないな、と思わせるものでした。小説としては優れていますが。

愛らしさがないのです。横溝正史などの場合、話が殺伐としていても、金田一が愛すべき人物であったりするわけです。



「晴れた日は図書館に行こう」

最近の作者のもの。この作者自身、本が大好きで、本の想像の世界に遊ぶと言っています。いい人なのだろうなと思います。

作品は、小学生の女の子の若い叔母が務める図書館、女の子は足しげく通うが、謎が持ち上がる、それを解くという連作もの。
殺伐としておらず、かわいい作品になっていると思います。
シリーズにもなっているので他のものも読んでも良いかなと。


「乱れからくり」

泡坂妻夫のもの。松田優作が出て映画化されています。映画の方も見てみたいと思いました。

作品の方は、主人公の名が「勝」苗字なので「かつ」と読むのでしょうが、事件にかかわる美人の人妻が「まさる」という名、名がダブるのです。何かあるのか?
そして女探偵が、常に男言葉でしゃべる、これはきっと何か大きなトリックが小説にしかけてあると思い、一気に読みました。
その結果は明かしませんが、一応、興味深く読めます。
映像化されると面白かろうと確かに思います。

しかしやはり、私の好みではありません。好感の持てる登場人物がいないのです。ユーモアもなく、作者はトリックばかりに気を取られているように感じます。