「湖底のまつり」
泡坂妻夫。本屋であらすじを読んで面白そうだと、読むことにしました。この作者は古い人で名前だけは知っていましたが、読んだことはありません。「乱れからくり」は映画化され、松田優作が出ていたので、タイトルだけは知っていたという感じです。
本作は、田舎の湖で溺れそうになった所を若い男に助けらえた女、一夜を共にするが翌朝、男は消えている。探すが村の人たちはその男は数年前に亡くなっているという。
話は違う人物のエピソードを交錯し、何がどうなっているのだろうと思わせる。そのため興味深く読み進めることは出来る。
私の感想としては、「よくできた小説」というもの。しかし好きかというと、好きではないかな。
というのも、好感の持てる登場人物がいないということ、作者はトリックに溺れていると感じたということ、再読はしないな、と思わせるものでした。小説としては優れていますが。
愛らしさがないのです。横溝正史などの場合、話が殺伐としていても、金田一が愛すべき人物であったりするわけです。
「晴れた日は図書館に行こう」
最近の作者のもの。この作者自身、本が大好きで、本の想像の世界に遊ぶと言っています。いい人なのだろうなと思います。
作品は、小学生の女の子の若い叔母が務める図書館、女の子は足しげく通うが、謎が持ち上がる、それを解くという連作もの。
殺伐としておらず、かわいい作品になっていると思います。
シリーズにもなっているので他のものも読んでも良いかなと。
「乱れからくり」
泡坂妻夫のもの。松田優作が出て映画化されています。映画の方も見てみたいと思いました。
作品の方は、主人公の名が「勝」苗字なので「かつ」と読むのでしょうが、事件にかかわる美人の人妻が「まさる」という名、名がダブるのです。何かあるのか?
そして女探偵が、常に男言葉でしゃべる、これはきっと何か大きなトリックが小説にしかけてあると思い、一気に読みました。
その結果は明かしませんが、一応、興味深く読めます。
映像化されると面白かろうと確かに思います。
しかしやはり、私の好みではありません。好感の持てる登場人物がいないのです。ユーモアもなく、作者はトリックばかりに気を取られているように感じます。