「サトミとアオゲラ探偵」
これも松尾由美。アオゲラというのはキツツキの一種で、これが探偵役をするもの。
小学生の女子、孤独で公園で読書していると、どこかから話し声が聞こえる。それは木にとまっているキツツキ同士の会話だった。大きいキツツキと小さい子分のキツツキの会話を聞くことが出来るのは孤独な人間だけ。
そしてサトミは日常の謎を鳥に持ちかける。アオゲラはその謎を解く、というもの。
現場に行かずにその場で推理のみで解決する、いわば安楽椅子探偵ものの一種。
読みやすく、かわいい本になっていると思います。
「ニャン氏の事件簿」
松尾由美、再読。これはシリーズになっていて他に「ニャン氏の童心」があります。
猫が探偵で推理するというもの。私は気に入っていて、もっと作品が出ることを望みます。
何しろ、猫=ニャン氏が推理する所の活字が、「ニャーニャ、ニャニャーニャ」という感じに羅列される馬鹿馬鹿しさが笑えます。
もちろん論理はしっかりしています。ただネコ語なので、通訳がいて、執事の男です。
この作者の作品はどれもスーパーナチュラルで、SF要素を持ちます。現実にはありえないシチュエーションで、現実的な論理を用いるという風なのです。
「魔性の町」
眉村卓。彼は子供向けジュブナイルを数多く書いた人。私はそちらは気に入っています。大人向けの作品はあまり・・・という感じです。
これは大人向け。戦後から平成にかけての架空の町の、不思議な出来事をつづったもの。
連作ですが、主人公が一定でないのが少し馴染めなくしていると感じました。一人の主人公がいて、それを追う方がよかったと思います。