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※この記事はあくまでも私が感じた総体的な印象と、「こんな子におすすめ」、「こういう子なら書きやすいかも」 という点だけピックアップしています。私個人の感想や作品のあらすじ、書き方のポイントなどには一切触れませんのでご承知おきください。
※また、私個人の配慮として、障害ではなく「障がい」という表記に統一します。
ぼくの色、見つけた!志津 栄子 作末山 りん 絵
志津栄子さんは教師として10年以上勤務された経験もある作家さん。2022年、第24回ちゅうでん児童文学賞大賞の受賞を機に、児童文学作家としてデビューされています
装画、作中イラストの末山りんさんは神奈川在住のイラストレーターさんで、平面作品だけではなく、半立体の木工作品も制作 物販なども精力的に取り組まれています。
筆を持つ少年の横顔が目を引く、こちらの作品。
主人公の信太朗くんは5年生の男の子。作品紹介文で明言されているとおり、色覚障がいという特性を持っています
特定の色が見分けにくいことから日常で起きる不便なこと、不快なことに悩む信太朗くんですが、だからこそ発揮できるようになった自分の「特殊能力」に気づきます まだ若い父と母、親子3人で密に暮らすなかで、両親の過去と自身の出自に向き合いながら成長する様子が展開されています
本作は主人公の信太朗くんだけに限らず、外から見ただけではわからない、本人にしかわからない事情があることが、小学生にも伝わりやすく書かれています。この作品は、自分にしかわからない不便さを感じている子や、そうした子と接したことがある子は、大いに共感できると思います。
信太朗くんはその特性から、熱中することを見つけます。絵を描くのが好きな子、絵の具を使うのが好きな子にもぜひ読んでほしいと思います 私自身は絵心がありませんが
あるシーンでは、ああ、絵を描くの楽しそうだなとワクワクして引き込まれました。
そして昨今の児童文学は、私が子どものころとは違い、かなり家庭事情の設定も現代を投影しています。信太朗くんのお父さんが仕事をふたつしていたり、お母さんが働きお父さんが家事をするシーンなど。それが当たり前なのですよね、今は。
作中では信太朗くんが生まれたときのこと、そこに至るまでの両親の事情も語られており、ともすれば「小学生が受け止めるには少々重いのでは?」とも思えたところがあります。けれど、子どもは大人が思うほど、子どもではありませんよね。
この作品は、ぜひともお母さんお父さんにも読んでほしいと思います。
通常、読書感想文の本は親御さんは読まないほうがよいのですが(こちら)、この作品は親御さんの視点で、信太朗くんのご両親の生き様に共感する方も多いと思います。
ただ、親御さんが読むなら、お子さんが読書感想文を書き上げてからにしたほうがいいですよ。(ついつい、口出ししたくなってしまうので)
また、本作は実在の絵画も登場します。特にゴッホの「星月夜」が作中で良い仕事をしています。ネットでも検索すれば画像が見つかりますので、お子さんが読む際は見せてあげると、イメージしながら読み進められると思いますよ。
どうでもいい余談ですが・・・・・・
私は5年ほど前から聴覚が過敏になってしまいました なかなか理解されませんし、人にもあまり言いません。
しかし、体に感じない地震に音で気づいたり、部屋のどこかにGがいると気づいたり(聞こえちゃうのヨ這い回る音が)、止まないかすかな水滴の音を突き止め、天井裏の水道管の故障に気づいたことがあります。
これも覚醒した私の特殊能力かもしれません
『ぼくの色、見つけた!』 ぜひ読んでみてください。
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お読みくださりありがとうございました♪