先日こんな記事を見つけました。


Study Says Teacher Training Is Chaotic


http://hosted.ap.org/dynamic/stories/T/TEACHER_TRAINING?SITE=NCMAR&SECTION=HOME&TEMPLATE=DEFAULT


Report Blasts Teacher-Education Programs as Outdated and Low-Quality


http://chronicle.com/daily/2006/09/2006091904n.htm


先日、アメリカの大学における教員養成プログラムの質は低すぎる、というリポートが、Arthur Levine、という元コロンビア大学のティーチャーズ・カレッジの学長によって発表されました。おそらく主なターゲットは学部レベルのプログラムだと思われますが、読んでいて興味深かったので紹介します。


リポート: Educating School Teachers

http://www.edschools.org/teacher_report.htm


このリポートによると、要するに以下の点が問題だということになります。


1.簡単に入れて簡単に卒業できてしまうプログラム

2.教授、カリキュラム、そして研究が現場から遊離してしまっている

3.ほとんどの大学の教員養成プログラムの質が低い

4.州と認証機関のアクレディテーションシステムが機能していない


なんか日本でも聞くような話ですが・・・。どこの国も抱えている課題は一緒ということでしょうか。


ちなみに、このリポートは5つの提案をしていますが、特に興味深いと思ったのが、3番目の提案である、教育課程を5年制のプログラムにする、ということです。これはつまり、学部4年プラス修士1年ということで、言い換えるならば、専門知識もないのに、教師になろうとしてもだめだ、ということで、学部の4年間でまず英語(日本で言う国語)なり、数学といった、将来自分が教える分野をしっかり学ぶことが先決だ、ということです。


これってその通りだと思います。やっぱり教え方がうまい先生の条件というのは、話がうまいとかではなく、どれだけ深い知識を持ち合わせているか、だと思います。その分野に関して知識が深ければ深いほど、それを簡単な言葉で説明できて、したがってわかりやすい授業になるというのは真実だと思います。

ここになって随分ブログの更新頻度があがってきました。

どこまで続くかわかりませんが、とりあえずやれるだけやってみようかなと思っています。


というわけで今日の話のネタは、「コロンビア大学」

大学関係者でなくとも知っているニューヨークにある有名な大学ですね。

今日、こんな記事を見つけました。


"Columbia Drops Talk by Iranian"


http://www.nytimes.com/2006/09/22/nyregion/22columbia.html?_r=1&ref=education&oref=slogin


現在、アメリカニューヨークの国連本部で第61回目の国連総会が行われていますが、そこに、イランのマフムード・アフマディネジャード大統領も来ています。この大統領、自分が説明するまでもないかもしれませんが、ホロ・コーストを否定するような発言や、イスラエルに対する過激な発言などで知られています。また核開発疑惑などもあり、欧米から警戒されています。


ともあれ、上の記事によれば、コロンビア大学が、そのイラン大統領をスピーカーとして大学に招こうとしたようです。そして大統領も承諾して、話は進行していたのですが、結局コロンビア大学は大統領を招く上で様々な障害などがあり、結局オファーを取り下げたということです。


日本で言えば、北朝鮮の金正日を大学にスピーカーとして招く、といったような感じなのでしょうか?

こういう発想は、純粋に全ての意見は最低発言される権利があるという、学問の自由を大学の思想の根本においている、アメリカの大学ならではかもしれません。


今回感じたことは2つあります。


1.学問の自由はどこまで守られるべきなのか。今回の件に関して言えば、イランの大統領のようにホロ・コーストを否定するような発言や、イスラエルは地図から消えるべきだといったような極端な発言も大学内においては認められるべきなのか。


2.そういった有名な人物を招けてしまう地理的な優位。やはりニューヨークというのは、世界中から人が行き来する場所であり、そこに大学があるというのは、かなりうらやましいです。


日本でも報道されていたようですが、スターウォーズで有名なジョージ・ルーカスが約200億円を、母校である南カリフォルニア大学に寄付したそうです。


http://www-cntv.usc.edu/article.cfm?article=380&type=4


卒業生の寄付がアメリカでは盛んである、というのはよく知られた話で、こういった大きな寄付がたまに出るのがアメリカの大学なのですが、その一方であまり知られていないのが、大学の卒業生に対する積極的なアプローチかもしれません。


これは個人的な話ですが、自分も毎月のように母校のミネソタ大学から寄付金を要請する手紙が届きます。2ヶ月に1回、卒業生向けの雑誌も届きます。自分はまだ経験はありませんが、電話も毎日午後5時から9時くらいにかけて卒業生に対して行っているとのことです。バイトで雇われた学生が卒業生に電話をとにかくかけるということを聞いたことがあります。


このような地道な作業のもとにたまに出てくるのが、今回のようなジョージ・ルーカスの件であるわけですけれども、それよりまして大事なことはやはり、大学が在学中に学生をどれだけ大事にしたか、ということに尽きると思います。


ジョージルーカス曰く、


“I discovered my passion for film and making movies when I was a student at USC in the 1960s, and my experiences there shaped the rest of my career”


こういう風に40年経った今も言ってくれる学生をどれだけ輩出できるかがやはり一番の根幹なのだと思います。大学はどうすればお金を集められるのかという策だけに走らず、「現在自分たちは学生を大事にしているのだろうか」、「自分の大学は学生の期待に答えられているのだろうか」ということを常に問いかけていくべきだと思います。


これで3日連続の更新ですが、今日は一つの記事を紹介します。


"An Influential Mentor 50 Years Ago, and Today"


http://www.nytimes.com/2006/09/20/education/20EDUCATION.html?ref=education


一人の教授が若き日に教えた学生と50年経った今も交流を続けているという話です。

やはり教育って素晴らしいと思わされた記事です。


それと同時に印象に残ったところが、その教育が最近は大事にされていないということを指摘した以下の文章です。


Donald Kagan, dean of Yale College from 1989 to 1992, , points out how little professors actually teach — two courses, or one, in many elite colleges, half the load of his student days 50 years ago. Basic classes often are taught by graduate students. Faculty senates strive to let professors teach what they wish, resulting in fewer core courses that students have in common.


それと共に、次の文章も印象に残りました。これはある学生が、自分がお世話になった教授に対して述べた感謝の言葉です。こういう学生と出会うことが教える者にとっての醍醐味なのでしょう。


“If it weren’t for the professors, I would have dropped out and probably worked at Wal-Mart,”


大学の根幹は教育であり、いかにしっかりとした人間を育てていくか、が大事なのだということをこの記事は改めて思い返させてくれたように思います。





先日のブログでハーバードが Early Admissionの廃止を決定したということを書きましたが、今日の新聞を見ると、プリンストンも廃止を決定した、という記事が出ていました。


http://www.nytimes.com/2006/09/19/education/19admit.html?_r=1&ref=education&oref=slogin


先週のハーバードの報道から一週間も経っていませんが、記事によれば3年ほど前から調査は行っていたようです。ただ、今回のハーバードの決断がプリンストン大学の首脳陣を一気に廃止へと動かしたということは間違いないようです。この決断の早さはさすがプリンストンと思いました。やはりしっかりした大学というのは、決断が早いですね。


アメリカにおいて驚かされるのは、大学とか、政府といったいわゆる非民間セクターが時に民間企業であるかのように大胆な決断をあっという間に下してしまうということです。例えば日本で最近話題になっている、コロラド州のバウチャー制度とかはそのいい例かもしれません。前例がないことをどんどんやってしまう、そのリスクを恐れない姿勢が、アメリカの原動力になっているのではないか、とたまに思います。


リスクを恐れず、自分でよいと思ったことを実行する、人間も社会も成長の原則は一緒なのかもしれません。



最近、大学の動きについてあまり話していなかったので、今日はその話に。


Early Admissionというシステムがアメリカの大学にはあります。要するに、例えば来年の9月に入る学生を、通常は来年の2-4月くらいに決めるのに、今年の12月までに決めてしまう、というシステムです。学生は早めに入学できるかどうかの結果を教えてもらう変わりに、受かったらその大学に行かなければなりません。


日本で言う推薦制度がそれに似ているのかもしれません。


これは、優秀な学生を確保するために大学がよく用いているストラテジーであり、学生にとってはEarly Admissionのほうが合格率が高くなるというのもあって、多くの学生が利用しています。


先週色々な新聞で一斉に報道されていましたが、ハーバード大学が先日、そのEarly Admissionの廃止を決定しました。


http://www.usatoday.com/printedition/life/20060913/d_earlyadmissions13.art.htm


その理由としてあげているのが、


1.Early Admissionを利用している学生は、一つしか受けることが出来ないので、大学選択の余地がない(例えば、奨学金をもっと出してくれる大学があるかも知れないのに、Early Admissionのためにそれを知ることが出来ない)


2.Early Admissionで受かった学生が大学に入るまで時間が空きすぎて、怠けて学力が下がる傾向がある


3.Early Admissionを利用しているのは、裕福な学生層が多く、貧困階級の学生への門戸を狭めている


この動きは他の大学からすれば多少驚くべきことかもしれません。例えばランキングなどでは、どれだけ合格者が入学してくれるかが影響を与えるので、Early Admissionはランキングを維持するために必要な戦略なわけです。またこれらのランキングを気にしているような大学は、優秀な学生を集めようと必死になって、Early Admissionを促進しています。ハーバードはその競争から抜け出す、ということであり、理論的には他の大学より学生集めの競争で劣勢にたってしまいます。


個人的には歓迎すべき動きだと思います。


自分たちの大学にEarly Admissionをやめたとしても優秀な学生を集められるというそれなりの自信と、経済力があるからおそらく出来ることなのでしょうが、こういう大学の利益を度外視し、学生のための手が打てるのがやはり一流の大学なのだと、改めて思った最近でした。


OECDから、Education at Glance 2006が先日発表されました。


http://www.oecd.org/document/52/0,2340,en_2649_34515_37328564_1_1_1_1,00.html  (英語)


日本に対する分析(一部)はこちら

http://www.oecd.org/dataoecd/32/13/37393546.pdf  (日本語)


教育の国際比較はなかなか難しいというのが僕の持論ですが、それでもOECDは興味深いデータを提供しています。


例えば15歳における数学能力を計った生徒の学習到達度調査( Programme for International Student
Assessment:PISA)」によれば、日本は先進国の中で第4位だということです。ちなみに上位三位は上から、フィンランド、韓国、オランダだそうです。


更にアメリカは何位かというと、23位。このデータを提供しているのが29カ国なので、下から数えた方がいいということになります。


たまに日本からアメリカの初等中等教育を視察に来る人がいますが、学習能力という点だけで判断するならば、日本のほうが優れているということになるんですね。日本の初等中等教育は様々問題ばかり取り上げられているような気がしますが、良い点もしっかり見ておくことが大事だと思います。



最近、国や州の経済の動向を調査する仕事の内容が増えてきました。


教育政策関係の仕事をしているのになぜ、と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカにおいては「教育政策=経済政策」という図式が完全に当てはまります。経済発展のための教育政策という位置づけですね。すなわち、公立の大学が経済をどれだけ発展させているのか、というのが非常に重要視されているわけです。


一方日本の高等教育政策はどうなのかというと、日本の外から見る限り、今まで放置されてきたいわば負の遺産を整理することが政策の中心になってしまっている感があり、いわば「教育改善のための教育政策」の状態で、政府が国の発展の原動力となるような政策すなわち「社会の問題に対処するための教育政策」は少ないように思います。


現在日本は国際的な経済力がかつてと比べて低下しています。


世界銀行の発表したデータによれば、2005年時点で、GDP (国内総生産)でいえばアメリカに続いてまだ第2位ですが、国民一人当たりの収入は$31,410(International Dollarで)で、世界19位まで落ち込みます。自分は経済の専門家ではありませんが、もう日本が経済大国であるという時代は過ぎつつあるようです。


http://siteresources.worldbank.org/DATASTATISTICS/Resources/GNIPC.pdf


http://siteresources.worldbank.org/DATASTATISTICS/Resources/GDP.pdf


経済発展が全てとは言いませんが、経済発展なしに国の発展はありえません。

そして日本の経済力の発展のためには、効果的な教育政策は必要不可欠になります。


もっとも21世紀COEなどのように、教育界から社会にダイレクトに影響を与えられるような政策もでてきつつありますが、研究の分野だけでなく、教育の分野でそのような政策が今後もっと必要になってきます。そのためには一つ一つの大学が力をつけて、政府が大学を国の発展のために有効活用することの出来るレベルに大学が達しなければなりません。日本の高等教育界は「教育改善のための教育政策」という段階をいち早く終え、「社会の発展のための教育政策」が実践できるように、各大学が力をつける必要があります。


日本の今後の発展は、現在存在する一つ一つの大学が今後どれだけ短期間で成長できるか、ここにかかってくるといっても過言ではない、そう思います。

今日、Measuring Up 2006というPolicy Reportが発表されました。


Measuring Upについての記事: http://chronicle.com/daily/2006/09/2006090701n.htm  (有料)


Measuring Up 2006はここにて: http://measuringup.highereducation.org/


このMeasuring Up、2年に一回発表されるリポートで、各州の大学教育を6つのカテゴリーからA-F段階で評価するという手法を用いていることで業界で有名なリポートです。


ちなみに6つのカテゴリーとは


Preparation (高校生、大学1年生のの学力レベル)

Participation (どれくらいの市民が大学に参加しているか)

Affordability (大学に通うコスト)

Completion (卒業率)

Benefits (大学が社会に対してどれだけ影響を与えているか)

Learning (学生がしっかりと学ぶべきことを学んでいるか)


この6つのカテゴリーはそれぞれ複数のデータで構成されていて、成績が決まります。


このMeasuring Up、2000年に発表されて以来、Policy Reportの概念そのものを変えたと専門家たちの中では評価されています。


このリポートは「わかりやすさ」と、「いかに政治家・官僚にメッセージを伝えるか」をその最大目的においています。

宣伝にもかなり力をいれ、デザインにもにかなり力を入れています。


わかりやすさ、ってPolicy Reportにおいて非常に大事です。

どんなにいいことを書いたとしても読まれなければしょうがないですよね。


自分も心しなければならない、そう改めて思った一日でした。






先日、ユタ州にある、MOABというところへ遊びに行きました。

コロラド州デンバーから西へ約6時間。

ユタ州のソルトレイクからなら南東へ約4時間。

アーチ状の形をした岩があるということで有名な国立公園があります。

でっかい岩がごろごろ転がっていました。

転がっているということは実は正しい表現ではなく、隆起して出来たものなんですね。


MOAB


人の姿見えますか?少し小さいけれども、それはどれだけ逆に岩が大きいかをあらわしています。


MOAB2


まあ、そんな感じでいい息抜きが出来ました。

なにかと経済力とか軍事力などが目立つアメリカですが、アメリカの一番いいところは、なんといってもこういった雄大な自然だと思います。


砂漠のど真ん中にあるこのMOAB、アメリカ来るならば是非訪れておきたい場所のひとつです。


今日は大学の話とは全く関係ありませんが・・・。