では、その田楽とは一体どんなものだったのでしょう。
今では田楽と聞けば、こんにゃくを思い浮かべる人が多いでしょうが、最初は豆腐が使われていました。
また、豆腐やこんにゃくではなく、里いもやじゃがいもを田楽にして食べる地域も各地に点在しています。
この田楽に「お」をつけたのが「おでん」の名の由来。「豆腐田楽」が先祖なのです。
豆腐の記録は、平安末期、奈良、春日大社の寿永2年(1183年)の社務所日記に「唐符」とあり、これが今日の豆腐である証拠に、これを作った大豆の量も示されています。
この豆腐を祭礼の後、拍子木形に切って竹串に刺して焼き、塩をふって仕あげたのです。
この時代、味噌や未醤(みしょう)、醤(ひしほ)を使って煮たり焼いたりする調味技術はまだありませんでした。