最初のキャンドルはミツバチの分泌物である「蜜ろう」を原料として作られました。
蜜ろうはミツバチの分泌物で、巣の原料にもなるもの。加工も簡単だったため、エジプトやギリシア、ローマ、中国などで幅広くキャンドルの原料として作られました。
9世紀ごろになると、ヨーロッパでは蜜ろうだけでなく、獣由来の油、獣脂が主なキャンドルの原料になりました。
蜜ろうはキャンドルの原料としては燃えやすく、火をつけると甘い香りもするため非常に優秀なものでした。
しかし蜜ろうは原料としては非常に高価で、貴族階級や教会、寺院など使われるだけでなかなか庶民の手には届きませんでした。
その点、獣脂は何度も芯を切らなければならないという手間や、煙が多く、不快な臭いがあるといった欠点はあるものの、非常に安価で、庶民にとってはありがたい存在でした。
その後、アメリカではシロヤマモモの実である米ベリーから取れたベイベリー・ワックスが誕生。このワックスはいい香りがするだけでなく、煙も少ないため、手作りのベイベリーろうそくが照明として使われるようになりました。
やがてオイルランプの時代になるとろうそくの消費量は減少しましたが、代わりに石油から作られたパラフィンワックスが誕生。
このパラフィンワックスは現在も使用され、流通している多くのキャンドルに用いられています。
日本にキャンドルが伝わったのは6世紀ごろ。仏教の伝来とともに中国から伝えられたと言われています。
その当時は中国からの輸入に頼っていましたが、やがて国産の「松脂ろうそく」が使われるようになります。
これはぬかと松脂を笹の葉に包んだ珍しいものでしたが、燃焼時間が非常に短いことが欠点でした。
やがて室町時代になると「木ろうそく」が誕生します。
これはウルシやハゼノキなどから取れる木蝋で出来たろうそくで、やがてこれが発展、江戸時代にはウルシやハゼノキの栽培が盛んになり、各地でろうそくが作られるようになります。
その頃のロウソクの芯にはモロコシやアシの茎が利用されていたそうですが、やがて紙製の芯が使われるようになりました。
ただし、この時代のろうそくは非常に高価なぜいたく品という扱い。庶民の日常の明かりはなたね油などを使用する行灯が中心でした。