とうもろこしは他のイネ科穀物と違い、原産地と起源が明確にわかっていません。
それは祖先にあたる野生のとうもろこしが見つかっていないためです。しかし、原産地はメキシコ、グアテマラ等の中南米付近だと言われています。
とうもろこしの起源については諸説がありますが、その中でも特に有力と言われている説が「テオシント起源説」です。
それはメキシコ周辺に自生していたテオシントと呼ばれるイネ科・一年草の野生植物を起源とし、改良を続けて(もしくは突然変異をして)、今日のとうもろこしにたどり着いたとする説です。
しかし、テオシントは食用にはならない小さな実が10個程度実るのみで、外見もとうもろこしとは明らかに違います。
他の説では、2つの種を交配させて作り出したものが、とうもろこしの祖先とされる説もありますが、祖先の候補として、絶滅した祖先野生種かトリプサクム属、テオシント等があり、はっきりとはわかっていません。
どちらにせよ、明確な起源は解明されておらず、作物化は他のイネ科穀物よりも困難だったと考えられており、現在のとうもろこしは野生では繁殖できないとされています。
1950年には「とうもろこしの栽培は、メキシコのオアハカとハリスコの間の高地の盆地で始まった。」とする仮説を検証する考古学的な調査が始まりました。
1961年には様々な調査から、メキシコ南部で8千年前(紀元前5960年頃)に栽培されたとうもろこし(テオシント)の痕跡が見つかります。
2000年に入ってからの調査では、1万4千年前(紀元前12000年頃)にはメキシコ西部のバルサ流域に人類が生活した痕跡が見つかり、8千7百年前(紀元前6700年頃)にとうもろこしとカボチャが人間の手により栽培されていた証拠を発見。
そして7千年前(紀元前5000年頃)には大規模に栽培され、焼き畑農業もされていたことがわかるという、歴史的な発見がありました。
その後は南北アメリカ大陸へとうもろこしは渡り、主要農産物となります。