題名の一文は、帝国憲法疑義にある、帝国憲法第二条の箇所です。
現代語訳をすると
皇統に国民が干渉することは必要としない』となります。
少し回りくどい言い回しですが、つまりは
『皇統に国民が干渉してはいけない』
ということになります。

繰り返しになりますが、これは帝国憲法の義解です。

「そんな過去のもの守る必要はない」と言われる方もいます。
既に『帝国憲法が現在している理由』に書いたのでここで日本国憲法の効力論や、帝国憲法の現存論は差し控えますが、ひとつだけ。


井上毅は帝国憲法をこう歌っています。

外つ国の 千種の糸を かせぎあげて 大和錦を 織りなさばやな  

明治の偉人と明治天皇が紡いで出来上がった大和錦とも称す 帝国憲法

翻って佐々木憲法学者が貴族院で
「この改正案(日本国憲法)は國體の否定に繋がる」と指摘した 日本国憲法

そのどちらが大切ですか?

日本国憲法は帝国憲法を改正したものだ。とか、発布の際帝国憲法第73条に則って改正したと御名御璽まであるじゃないか。
という議論はさて置いて、

日本人として日本国憲法と帝国憲法
どちらが大切ですか?

これは
日本人の心の問題です。
日本人の精神の問題です。
日本人の魂の問題です。


皇統に関する国民の立ち位置は、
帝国憲法では皇族会議。
日本国憲法では皇室会議。
と、それぞれの構成に顕著に現れています。
似たような名前ですが両者は全くの別物です。
以下にみてみます。

皇族会議
正統皇室典範
第五十五條 皇族會議ハ成年以上ノ皇族男子ヲ以テ組織シ內大臣樞密院議長宮內大臣司法大臣大審院長ヲ以テ參列セシム
第五十六條 天皇ハ皇族會議ニ親臨シ又ハ皇族中ノ一員ニ命シテ議長タラシム


皇室会議
占領皇室典範
第二十八條  皇室会議は、議員十人でこれを組織する。

議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、內閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以て、これに充てる。

議員となる皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官は、各々成年に達した皇族又は最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の互選による。

第二十九條  內閣総理大臣たる議員は、皇室会議の議長となる。

要約しますと。
皇族会議は、天皇陛下が親臨し皇族が議長を務めます。国民の代表に当たる二人の大臣は参列するに過ぎません。

それと比べて皇室会議は、内閣総理大臣が議長を務め皇族はたったの2人で、天皇陛下の親臨は定められていません。


この構成の違いを見れば分かると思いますが、皇室会議は名前こそ立派ですが実態は国民会議です。
御存知の通り各々の会議の構成は、皇族会議は日本人が決め、皇室会議はGHQが決めました。

皇統をはじめとする皇室の重大事項を、GHQが決めた構成である、皇室会議で決めて本当にいいのでしょうか?
ちなみに第一回皇室会議での決定事項は、11宮家の皇籍剥奪です。


話を始めに戻します。
皇統に国民が干渉するのは、意識的にしろ無意識的にしろこの皇室会議の構成が影響しています。
「皇室の重大事項までも国民が決めていい。または、国民が決めるべき」と考えてしまっているのです。

しかしそれはGHQの決めたルールです。
では、日本人はどう決めたのでしょうか?

日本人は皇室の重大事項は天皇陛下に親臨して頂き、皇族で決めて頂く。という感覚を長い歴史から読み解いて正統皇室典範に記し(しるし)ました。



現在問題とされている皇統問題はザックリ言うと。
・第一回皇室会議で11宮も皇籍剥奪したことから、現在の皇統問題が起きています。
・神武天皇以来から今上天皇まで男系で続いています。
・現状のままだと男系男子は秋篠宮様の長男悠仁様1人だけになってしまいます。
・過去に女性天皇が即位したこともありましたが生涯独身を貫かれ、女性天皇のお婿さん問題は生じませんでした。
・現在、側室制度は廃止されていて過去とは状況が異なります。
・旧皇族と言われる方は皇籍を離脱してから70年以上も民間人として暮らされています。
・その子孫は皇族の身分になったことはなく、民間人として生まれる民間人として育っています。
という感じになります。

勿論もっと多岐に渡る大きな問題ですがここで1番大切なことは、

天皇陛下以上に皇統問題に詳しい国民は1人もいない。

という事実です。


国民が知っていることは天皇陛下は御存知です。
問題点も国民が声高々に主張しなくとも天皇陛下は大変危惧されています。
皇室の歴史について天皇陛下より詳しい国民などいるのでしょうか?


皇室に対する尊皇心から深く皇統を心配するのは分かります。
自分も僭越ながらその内の1人だと自負しています。
しかし皇室を本当に想うのならば、以下のことを考えて欲しいのです。


GHQが作ったルールを傘に国民が皇統に干渉した結果どうなったでしょうか?

男系固執派と女系容認派に国論が二分し、お互いを批判する醜い有様です。
それにより皇族は勿論、天皇陛下ですら皇統問題について一言も発言できない状態になってしまっているではないですか!
この現状を皇統を大変危惧される天皇陛下に対して誠に申し訳ないと思わずにはいられません。

帝国憲法義解にある
『皇統に臣民が干渉するを要せず』という文言は、現状のような悲惨なことにならぬため先人の知恵だと強く思います。

男系固執派が主張する理論も分かります。
女系容認派が主張する理論も然りです。
しかし両派が対立すればするほど皇統問題は解決から遠のくと思うのです。

両者の思想は違えども
『皇統が非常に心配』
というのは共通の認識だと思います。
それならばこそ個人的な執着はやめて、皇統問題に対する日本本来の姿に戻るべきです。
つまり
『皇統に臣民が干渉するを要せず』を守るべきです。

勿論皇統に干渉せず黙っていても皇統問題は解決しません。
だからこそ日本国憲法無効宣言が必要なのです。

皇族会議によって皇統問題を解決して頂くべく、日本国憲法無効宣言を成し遂げましょう。

『正統皇室典範奉還のための日本国憲法無効論』にも書きましたが、正統皇室典範奉還を実現するには日本国憲法改正では不可能です。

日本国憲法無効宣言を成し遂げ、正統皇室典範を奉還し皇統問題を皇族会議で解決してもらいましょう。
国民はGHQの決めたルールに乗っかって皇統に干渉するのではなく、皇族会議で出された答えを祝福とともに受け止めるべきではないでしょうか?